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口語俳句集『早春』50句 〜口語体の作品集〜
口語俳句集『早春』
口語体・現代仮名遣い・現代的切れ字を
基本にした作品集です
春の作品を集めました
575の型、季語、切れ字の基礎を活かしつつ
「俳句としての側面」「一行詩としての側面」
また個人的な俳句の目標も意識しました
口語体で俳句を詠むと俗、稚拙になるのかについても検証など行ってみてください
楽しんでご覧いただければ幸いです
*作品はすべて既発表句です
*文語・口語の図を記事末に記しています
『早春』
口語体俳句
つぎつぎよ玉がほぐれてうめの花
ふきかえすいのちとは野の蕗の薹
首伸ばすみずうみの鳥春いちばん
はるの鹿くびをのばして飲む淵よ
蛙鳴くいけのみなもをふるわせて
天が地がはじまりのいろ芽吹き山
黄のいろはほほ笑む程度菜の花漬
土筆摘むじぶんの影に手をのべて
いっせいにはばたく鳩よ受験あと
春の夢いまもそのなかかもしれず
◇
山焼きかけむりにしろむにしの空
早春よかがやくみずたまりすべて
杖置いて遍路は名さえのこさずに
すでにして大ぞらにある鳶の巣よ
中のひとほほえませては木の芽山
木の芽晴海にさす日はこなごなに
ゆきどけの一滴ずつに瀬かがやか
卒業のわかれたがいにふりむかず
生きる意味じぶんのむねに春夕焼
はるの星千のこどくをあおぎ見て
◇
交番にじてんしゃ二台うららかよ
ちょうが飛ぶ陰陽思想目にみえて
風花よ言わなくてよいことばかり
うぐいすもち粉まで目出度銘々皿
やわらかにはずむ背なかよ春の咳
水たまりのこしのこさず春しぐれ
いしづちのみずしぶきだす春の滝
空港を飛び立つおとよ木々芽吹く
かげろうとおもいかばんと上京と
まっすぐに見定めるのがおぼろ月
◇
半生に過去とみらいよ野にあそぶ
木々の芽よじぶんの体ながれる血
これというやくわりもなく鶯聞く
蟻穴を出てくるか地を盛りあげて
沖の船映えてうごかずおそい日よ
つきおぼろ津波が来るという浜の
いなかとは噂のるつぼげんげ咲く
はるのゆき古今和歌集読むように
ふとつぎの秋のけしきよ鶏頭蒔く
ゆくゆくはじぶんもいない家が春
◇
スケッチブックまだ一冊目桜東風
目できいて千々の羽おとよ鳥雲に
しるすたび黒よ句帳にぼたんゆき
ライオンが腹見せるほどはるの風
やどかりの波打ちぎわの旅つづく
春の海なにを得るでもなく暮れて
のこる鶴池だけそめてゆうばえよ
明治以後おぼろにともるガス燈が
ぼたん雪街はひとときゆるされて
つぎつぎととりもどす空初ざくら
いつも
ご覧いただき
ありがとうございます
下記の文語体、歴史的仮名づかい、古典的切れ字を使っていないこともご確認ください
や・かな・けり・たる・たり・なる・なり・あり・をり・ぬ・べし・にて・らむ・けむ・とや・てふ・ゐて・ゐし・等々
◯俳句、川柳、一行詩の大まかな特徴
俳句は発句。季語、切れ字、切れを常用して、四季折々の自然とその暮らし、風雅さ、余情、感動などをより突き詰めて「詠む」傾向があるそうです
川柳は平句。季語、切れ字、切れは常用せず、人情や滑稽さ、機知、風刺などをより突き詰めて「吐く」傾向があるそうです
一行詩は575の型、季語を用いる場合でも詩的な側面が重視され、自己性、社会性、思想性、比喩性など、また感性や繊細さなどがよりあらわれやすい傾向があるそうです
◯文語・口語の大まかな図
下記は、俳句における
文語・口語の大まかな図です
◇文語=文語体=古典語=古い時代の文体
◇口語=口語体=現代語=書き言葉
∟==話し言葉
◇仮名づかい 歴史的仮名遣い 現代仮名遣い
◯使用している切れ字について
この作品集では
現代的な切れ字の候補を使用しています
「現代切れ字 十八字(推奨)」
よ・か・ぞ・と・に・へ・せ・で・まで
ず・れ・け・た・が・て・は・な・こそ
◯俳句の目標
下記について、毎日の投稿などで
月日をかけて探っていければと思っています
「表現の新と万象の真」「驚きと感動の詩」
「一新一真」「都市詠の探求」「一句新世界」
「ものごとの花」「沈黙の美」「内的宇宙」
「三物一句」「風情の継承」「平明深遠の詩」
*作品は主にXに投稿したものです
*解説について至らない点、充分に書き尽くせていない部分もあると思いますがご容赦ください
*俳句については個人・団体によって様々な考え方や見解があります
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