俳句づくりとAI 〜俳人の生成AI利用について〜 小エッセイ
俳句にご興味のあるnoteのみなさまに俳句の様々なことについてご紹介していく記事です
2024年2月15日現在の記事です
俳句づくりとAI
〜俳人の生成AI利用について〜
最近ではスマートフォンで手軽に利用できる無料生成AIアプリが次々と公開されています。
ChatGPT、Microsoft Copilot、Google Geminiなどは使い勝手もよく、あたらしい技術としても魅力的です。
利用する俳人の方も増えてくるのではないかと思います。
俳句づくりやその学びの場で、AIをどのように使うことができるのか、また気をつけるべき点などについて現状を調べた範囲内でまとめました。
1、生成AIという俳人たち
俳人の方々のなかには、生成AIに俳句をつくらせてみたご経験がある方も少なくないのではないかと思います。
簡単な指示で、ときにはっとするような作品をつくって驚かせてくれることがあります。
ただその作品はまだつたないものである場合が多いようです。
一方で、俳人として生成AIに俳句をつくらせる行為に抵抗がある、もしくは反対というご意見の方もおられるようです。
AIに心ある俳句がつくれるはずがないといった拒否感や、AIがつくった作品を人間が悪用することに対する危機感などが、不安を掻き立てているのかもしれません。
下記は、AIが生成した俳句作品の例です。
各アプリなどから引用させていだだきました。
悲しみも 牡丹の芽や 癒えゆく頃
俳句:GPT-3.5
2024.2.9 ChatGPTアプリより引用
牡丹=ぼうたん
春の海 貝殻に耳を 当ててみる
俳句:Copilot
2024.2.16 Microsoft Copilotアプリより引用
春の雲 絵画の中に 描かれて
俳句:Gemini
2024.2.13 Google Geminiより引用
指示をすれば、膨大な数の作品を短時間でつくりあげることもできるようです。
生成AIがつくる俳句作品が、これから先どれほど質の高いものになるのかは未知数ですが、
人間の側としてそれを悪用することなく、俳句を学ぶため、鑑賞するため、楽しむために活用していくなど、より良い方向性を探りつづけていく必要はありそうです。
俳句の世界では「AI一茶くん」がその先駆けとして早くから注目を集め、現在も活躍と進化をつづけているようです。
それにつづくように、パソコンやスマートフォンアプリの生成AIが人々の要望に応じて俳人のように良質の作品を生みだし、披露していく未来がもうじき訪れるのかもしれません。
2、生成AIという俳句の製作助手
AI技術が生み出された理由については、その利用目的によって様々なとらえ方があるようです。
人間のサポートをするためという側面があることもまた確かなようです。
俳人の方々の俳句づくりの現場でも、AIは製作助手、相談相手、鑑賞者など様々な役割を果たしてくれそうです。
スマートフォンアプリの生成AIも、的確に指示を出すことで、いくつかのサポートをしてくれます。
◇サポートの例
・俳句に関する情報を調べて回答
・俳句に関する疑問・質問に返答
・自作の句について尋ねたことに返答
・句の比較検討など様々な支援
・俳句について議論・討論をする
・俳論・記事・レポートの執筆に関する支援
・句の鑑賞
等々
ただ、こうしたサポートはすべてが正確というわけではなく、誤った判断・情報やつたない回答をすることも現状では少なくないようです。
随時チェックをしたり、参考にとどめるなどして、最終判断は自分で行う必要がありそうです。
俳句の製作助手、相談相手、鑑賞者などの役割を、すべて人間に依頼するとすれば、それはそれで大変なことです。
ただそうした存在が常に身近にいれば、自分がめざす俳句の追求に、より専念できるように思います。
ですので、ふだん季語を調べるのに歳時記を使うように、身近な方々に作品への意見を求めるように、
AIによるサポートを必要に応じて受けることも、良識の範囲内で行うのであれば、有益なことではないかとも思いました。
3、生成AIという俳句の鑑賞者
自分でつくった俳句作品について、その良し悪しを判断することはなかなか難しいです。
身近な方々や句友に意見・感想を求めるだけでなく、AIに尋ねてみるのも方法の1つかもしれません。
作品を鑑賞してもらい、その内容から気づきを得るという使い方もあるようです。
鑑賞文ついては、長文、短文など様々な字数で書いてくれます。
下記は、生成AIによる一文鑑賞です。
各アプリなどから引用させていだだきました。
来る春よ蛇口を落ちるみずのおと
【一文鑑賞】
春の訪れを象徴し、蛇口から滴る水音が季節の変化と共に静かな調べを奏で、自然の律動を感じさせる俳句です。
文章:GPT-3.5
2024.2.12 ChatGPTアプリより引用
ひとつぶにそうぞう力よものの種
【一文鑑賞】
種は小さくても、中には無限の世界があります。種から花や木が育つように、人も想像力で夢を実現できます。種は自然の恵みであり、創造の源です。
文章:Copilot
2024.2.16 Microsoft Copilotアプリより引用
いちりんよ水面揺れやむうめの花
【一文鑑賞】
静寂の池面に映る一輪の梅。風が止み水面が静止すると、花がくっきりと浮かび上がり、その存在がより一層際立つ。作者の視線が花に集中し、春の訪れを静かに喜ぶ心が伝わってくる。
文章:Gemini
2024.2.13 Google Geminiより引用
指示を出せば、作品の内容や意味、季節の背景、季語、技法、特徴や傾向、感想、関連情報などを答えてくれます。
作品について、自分とはちがった読みや視点があることに気づかせてくれることもあります。
ただ鑑賞の精度にばらつきがあり、誤りも多く、暗意や含意などを深く読みとること、くみとることはまだ十分に行えないようです。
ですので、鑑賞を参考にするかどうかの最終判断は自分で行う必要がありそうです。
これから先技術が進歩していけば、鑑賞者にとどまらず批評者として俳句作品の批評をするといった段階に到達していく可能性もないとはいえないように感じました。
4、まとめ
俳句でのAI利用は、現状では使っていてもどかしさを感じる場面が多いです。(2024年2月現在)
技術の進歩や提供を待つと同時に、使う側として意識や取りあつかう能力を高めて対処する必要があることを感じました。
俳人の方々にとって生成AIは、俳句の製作助手、相談相手、鑑賞者など様々な役割を果たす存在になり得るようです。
将来的にはAI俳句、俳句指導、批評などその役割も多岐にわたっていく可能性があるように感じました。
さいごに、俳人としてルールとマナーを守りながらAI技術を活用していくことは、これから先身につけておくべき技能の1つになるようにも思いました。
いつも
ご覧いただき
ありがとうございます
*個人的に調べた範囲内で短くまとめてみました
*至らない点、充分に書き尽くせていない部分もあると思いますがご容赦ください
*記事に記した生成AIの使用法とその結果については、実際に検証確認をしました
*生成AIへの指示の出し方などの違いから、記事に記してあるとおりの結果が得られにくい場合もあります
*俳句でのAI利用については個人・団体によって様々な考え方や見解があります
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