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俳句の日 8月19日 〜俳句読みくらべ〜 文語体・口語体・しゃべり言葉

俳句にご興味のあるnoteのみなさまに俳句のさまざまなことについてご紹介していく記事です


今日は8月19日で「俳句の日」ともされているそうです。

今回の記事では8月の頃を詠んだ、文語体、口語体、しゃべり言葉の俳句をそれぞれ15句集めて、最後に感想文を添えました。

note未発表の作品も多くふくまれています。
楽しんでいただけたら幸いです。


俳句の日

「8月の頃」

俳句
口語体が基本の作品

あさぞらよ季節がかわる赤とんぼ


野良猫のみるみる痩せて路地は夏


日とともにとおのいてゆく大夕焼


のぼりざかうしろかぜ吹く立秋か


飛び立って鳩もどりくるあきの空


コーヒー店外にまで灯よ秋のあめ


もくとうのまた合掌のはちがつよ


とけて鳴るグラスのこおり原爆忌


とつげきのこえとおざかる八月か


まんてんよいくすじとなく流れ星


新幹線おもくはしるかぼんやすみ


秋の島きらめくなみのこまやかよ


ジャングルジムを縦横無尽秋の風


さいげつと遊んで風のコスモスよ


せまりきていつとも違ういわし雲


俳句
文語体が基本の作品

つかふ水手に添ふ秋となりにけり


落ちかかるわが身のかげや墓洗ふ


ちんもくの手がにぎる鬼胡桃かな


せんさうや首の折れたる大向日葵


かげ曳きて坂のぼるなり墓まゐり


はかまゐり三代つづくへいわかな


秋風鈴はるばると鳴り止みにけり


こほろぎにゆるしてをりし心かな


秋の蝶かぜのすきまを飛びにけり


おのづからうまるるかげや盆の月


ふるさとを明らかにして月夜かな


白露や行く手になびくくさのはら


海にでて秋の野あそび果てしかな


あかとんぼわけて城趾あるきけり


かがやきて底の見えざる銀河かな


俳句
しゃべり言葉の作品

きえるまで黙っています門火焚く


伝統がすすみ行きます阿波おどり


墓参り手あわせながら老いてきた


盆の月この地もわるくありません


遠花火みじかいへいわ生きてきた


日に月に飛ぶのでしょうか渡り鳥


沿いあるく波打ちぎわは秋でした


かげばかりおどっています盆太鼓


流灯がとおのくやみにあの世見た


じんせいの旅大すすきはらでした


後悔が暮れのこりますあきのくれ


都市ただのかげではないか秋夕焼


自転車がちりんと秋日暮れました


息子ひとりゆるされに来た秋の墓


出会うひとみらいにいます星月夜


◇作者の個人的な感想

これらの作品はすべて俳句のつもりでつくりました。

俳句と川柳の基本的な違いについて気になる方は検索や生成AIなどで調べてみてください。


まず口語体の俳句について、個人的にはこのつくり方がふだんのつくり方です。

現代の言葉で読者の方により伝わりやすく表現をすることができます。

ちなみによく言われる「口語体で俳句をつくると575の型に言葉が収まりにくくなる」というのはただの迷信です。


つぎに文語体の俳句について、作品をつくる際に文法や歴史的仮名遣いに誤りがないかを辞書で調べたり、生成AIに確認してもらうと、

作品のほとんどに誤りがあることに気づかされます。

修正したり、推敲したりしながら、文語体の作品づくりも楽しんでいます。


さいごにしゃべり言葉の俳句について、先人や先輩、若手の方々など一部の俳人のみなさんがすでに取り組みを進めておられるようです。

どうすれば軽薄にならず、一句に驚きと感動、奥深さなどを持たせることができるのか、

その言葉づかいの斬新さなども楽しみながら、個人的に少しずつ取り組んでいます。


これらに取り組んでみて思うことは、

口語体の俳句は、比較的容易で内容と表現の工夫に集中してつくることができます。

ただ、あきらかな古典語を持ち込んで常用したいという方も少なくなく、使う言葉自体がまだ安定していないようです。


文語体の俳句は、いまもなお俳句の主流として作品も盛んにつくられています。

ただ、現代俳人でありながら使う言葉は過去のものという事実と、そこから来る様々な問題に直面することも少なくないようです。


しゃべり言葉の俳句は、大変斬新で将来にむけて一定の可能性を秘めていそうです。

ただ、例となる作品や表現の工夫、技法、川柳との線引きなどの探究をさらに進め、定めていくことが大きな課題としてありそうです。


最後に、どのつくり方をしても作品を仕上げることはできますし、何よりその過程はたいへん楽しいです。

これからも作品づくりを楽しみながら、個人的に取り組みをすすめていきたいと思っています。


*個人的な考えや見解をまとめた記事です

*至らない点、充分に書き尽くせていない部分もあると思いますがご容赦ください

*俳句については個人・団体によって様々な考えや見解があります


◇追記
俳句作品をつくる際には「文語体、口語体、しゃべり言葉」をできるだけ使いわけています。

仮名遣いも同様です。

作品集についても、それぞれの言葉でつくった作品を別々にまとめることを始めました。

個人的に、読者の方々にむけて言葉のまとまりがある程度あってむきあいやすい作品集づくりをと考えています。


下記は、俳句における
文語・口語の大まかな図です

◇文語=文語体=古典語=古い時代の文体

◇口語=口語体=現代語=書き言葉
         ∟==話し言葉

◇仮名づかい 歴史的仮名遣い 現代仮名遣い


◇使用している切れ字について

口語体の作品では
現代的な切れ字の候補を使用しています

「現代切れ字 十八字(推奨)」
よ・か・ぞ・と・に・へ・せ・で・まで
ず・れ・け・た・が・て・は・な・こそ


いつも
ご覧いただき
ありがとうございます


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