シェア
君思ふ心 ひとつでたりず 複製できたならと 繁華街を深夜徘徊 西口公園の噴水に煙があがる …
ぽたりと垂れる湯気の雫 睡蓮は硫黄に侵され 香る銀杏の湯あたり 「黄泉の国には湯あたりを…
朱色の千代紙 季節外れのつるし雛 天井を舞う蝶蝶 キラ…
心にうつりゆくよしなしごとを そこはかとなく書きつくれば あやしうこそ ものぐるほしけ…
曇天に燃ゆる薄情 揺れる灯火 菜種油 薄紙を巻く唇の誘惑 ざらつく三味線 安物のスピーカー …
得るものと 失うもの 天秤の傾きは平行 背を向ければ傾く 賽の河原 宿に吸い込まれる人間は…
手にした空蝉 羽音はじりじり 初夏を思い 越冬を生きる 「姫様!」 歌姫様の胸に飛び込む。 慰めようなんて、烏滸がましい。 わたしは寂しくて、不安で。 そんな気持ちを歌姫様のせいにしてしまった。 庇わなくていいです。 「マチ。。いい匂いだね。あんなに小さな娘が、もう立派な女性になったんだね。」 ぎゅっと ぎゅっと ぎゅっと 涙が知らぬ間に垂れていた。 優しくて温かい。