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牡丹 22

手にした空蝉
羽音はじりじり

初夏を思い 
越冬を生きる


「姫様!」

歌姫様の胸に飛び込む。
慰めようなんて、烏滸がましい。

わたしは寂しくて、不安で。
そんな気持ちを歌姫様のせいにしてしまった。
庇わなくていいです。

「マチ。。いい匂いだね。あんなに小さな娘が、もう立派な女性になったんだね。」

ぎゅっと ぎゅっと ぎゅっと

涙が知らぬ間に垂れていた。
優しくて温かい。