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②Audible『はじめての構造主義』橋爪大三郎(1988・講談社現代新書)

相対性理論は大きなスケールの話だったが、ミクロな領域でももう一つの革命が起こった。原子の構造は原子核の周りを原子が回っていて太陽系に似ている。だからニュートン力学でそのままいけるんじゃないかという呑気な予測もあった。だが、手をつけてみると大ハズレ。全く勝手が違う。それでもボーアやプランクといった学者が奮闘した結果、不確定性原理であるとか新しいアイデアを含む量子力学が誕生した。量子力学を数学的に基礎づけたのはフォン・ノイマンである。彼は20世紀最大の天才といわれる人で世界最初のコンピューターを設計するやらゲームの理論というのを思いつくやら大車輪の活躍をした人だ。量子力学に関しては1932年にヒルベルト空間によって量子力学の数学的表現を与えうることを示すという大きな業績を上げている。ヒルベルト空間というのはユークリッド空間と少し違った空間の一種である。そこでは例えば通常のユークリッドの距離が成り立たない。その後も物理学は相対性理論や量子力学を包括する大統一理論の完遂に向かってまっしぐらに前進している。

真理の相対主義
というわけでユークリッド幾何学の位置はここ百数十年の間に決定的に変化した。それはもう唯一の幾何学ではないし理性の象徴でもない。物理学や自然科学の唯一の導き手でもない。色々な考え方のうちの一つにすぎないのである。こういうことがわかってみるとヨーロッパの精神史も違ったふうに見えてくる。ヨーロッパ世界はこれまで唯一の真理があることを信じてきた。その心理が啓示によってもたらされるのか、それとも理性によってもたらされるのかという違いはあるにしろ、真理を目指して運動してきた。ところが今や何が正しいかは公理、前提をどこに置くかによって決まる。つまり考え方の問題である。公理を自明のものと考えれば証明や論証の結果は真理に見える。しかしそう見えるのはある知のシステムに閉じ込められているくせにそのことに気づかず、それを当たり前と思っているからじゃないか。こういう反省が起こってきて当然なのだ。こういう反省は数学や自然科学の内部に留まらず当然社会科学や思想全般にも波及していく。ヨーロッパの知のシステムは真理を手にしていたつもりで実は制度の上に安住していただけではないか。こんな疑問をもっと深刻な形で突きつけることになるのがほかならぬ構造主義だ。

注:聞き取りに失敗してるかも。

これはっっ。「なぜ今多様性なのか」の答えに近いのでは・・・!?
耳読書、まだ途中なんだけどメモとっとこうかな!!と思って。
このあと続きが楽しみです。でもとっても難しいので聞くのに体力がいる~(^^ゞ

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