9.EMDRセラピーとは？

前回はPTSDについてお話しさせて頂きました。

前回の記事はこちら↓↓↓

8·トラウマが引き起こす問題｜黒林檎 #note https://note.com/kuroringo/n/nacf506ff0b7a

そのPTSD(心的外傷後ストレス障害)にとても効果的なEMDRというセラピーをご存知でしょうか。
まだ日本ではあまり浸透されていないようですがアメリカやヨーロッパでは人気のセラピーの一つです。

EMDRとは
Eyes Movement Disintegration Reprocessing
の略で、日本語に訳すと
眼球運動による脱感作と再処理法

…日本語にしてもよくわかりませんよね。

簡単に言うと

トラウマをイメージしながら規則的に左右に動く光を目で追うと
トラウマによる精神的苦痛が軽減します。
記憶を消し去るわけではありません。
覚えているのですが、記憶が`過去のもの'として処理されるのです。

トラウマは年を取りません
その時のまま止まってしまっています

戦場で戦った戦士がそれから何年、何十年も経った現在でも花火の音を聞くと銃弾で撃ち抜かれた戦友たちの姿を思い出し、パニックになり、自らの行動や感情をコントロールできなくなる…
これがフラッシュバックです

色や声、音、匂いまでも当時のまま蘇り、まさに今現在全く同じ事を経験してる感覚になります。

何故そんな事が起こり得るのか？

それは、脳の記憶の仕組みを理解すれば少しわかります。
まず外部から入った情報は脳の海馬という部分で一度、仕分けされます。
そしてそこで各種別ごとにファイリングされ、大脳皮質という部分で保存されます。
そして、必要な時に保存されているファイルを開ける事ができます。
ただ、海馬はとってもデリケートで少しの刺激で正常に機能しなくなります。

トラウマになるような劇的な出来事があった場合、大量のストレスホルモンにより海馬の機能が衰えて、正常にファイリングされず、過去の記憶として保存されないまま記憶は海馬を行ったり来たりします。
それがフラッシュバックや悪夢です。

この記憶のプロセスは大半が寝ている間に行われます。
人は夢を見ているとき、眼球がすごい速さで左右に動いているのはご存知でしょうか？
EMDRはその夢を見ている時の状態と同じ眼球運動を行います。
そうする事で記憶をファイリングし直し、過去の記憶として保存され、脳はパニックを起こさなくなるのです。

私はいつも電話で話すカウンセラーにEMDRを勧めれ、トーキングセラピーからEMDRに切り替える事にしました。
全て英語でのやりとり＆カルチャーの違いがコミュニケーションの壁になるのではないかと、現地で日本人のEMDRセラピストを探しましたが、残念ながら一人もいませんでした。
次は英語が話せる一人のセラピストを友人の紹介で出会いました。

次回からはEMDRの実体験レポートをしばらく書いていきます。