木製おもちゃの回収から学ぶ、デザインにおける安全配慮の重要性
札幌市北区の取組 4か月検診で配布した木のおもちゃが「安全基準」を満たしていなかったと自主回収になったニュースが報道されていました。
木を使ったおもちゃを配布する。とてもいい取り組みなだけに、安全基準のことをご存じなかったのが、とても残念です。
何もなさらなかったわけではなく、発表によると
札幌市が行った事前の取組には
①成分溶出試験により配布前に安全性を確認した
②取説で取り扱いの注意を周知した
とありました。
素材の安全を確認するというのは、家庭日用品の検査でもありますので、忘れずに行われたのでしょう。
おもちゃに基準があること。大きさについて、紐の長さについて、少し調べればわかったのではないかとその部分がとても残念です。
おもちゃの安全基準は、任意の基準
ニュースでは、おもちゃの安全基準として 一般的な と記載されていましたが、任意の基準なので守らなくても販売できます。
なので、知らない方も多くいらっしゃいます。
今回、ニュースになったのは、あくまで「市」が「配布物」として提供したから回収となっただけで、残念ながら、玩具の安全基準は、まだ「任意」です。(任意ではないようにする方向で検討する。と伝え聞こえていますが、すぐではないようです。)
市場で販売されている玩具すべてが、安全基準にのっとっているわけではありません。
何度もになりますが、なくても「販売できます」
お子様セットについてくるおもちゃに、え?と思ったことが何度あることか(笑)
1.5歳未満へのおもちゃの安全基準
写真とニュースにある寸法からの類推ですが…
足の部分の半円のくぼみがなければ、安全基準をクリアできていたのではないかな?と思います。
それほど、1.5歳以下は厳しい基準が設けられています。
玩具の安全基準をざっくりと抽出すると…
3歳未満のお子さんへの玩具では
円通過ゲージや小部品シリンダーなどで大きさを確認します。
トイレットペーパーの芯の大きさ以下だと、3歳未満は与えない。とおぼえておくとわかりやすいです。
これに加えて、
1.5歳以下のお子さんへの玩具は
楕円ゲージというゲージをつかって大きさを確認します。
楕円ゲージは、
赤ちゃんが「おおきく口をあけた」大きさで、
深さもゲージ高さをこえるようであれば、喉の奥にあたる大きさとなりNGとなります。
他にも角の硬さ(エッジのきつさ)や引っ張ってもちぎれない など様々なテストをSTを取得するためには行います。
今回は、袋の紐の長さが問題になっていましたが、
STでは、商品にふくまれる「袋」も一定以上の大きさがあるときは、空気穴を設けなければなりません。万一、子どもが袋をかぶっても窒息しないような対策のためです。
これら、試験は、第三者機関で行います。
なので、自分のデザインした商品をSTの試験所に送る時は、ちょっと「ドキドキ」します。
子どもは思いもつかないことをするものとしてデザインする
デザイン設計をする立場として、「おもいもつかないこと」をしっかり「おもいつくこと」が大切です
特に、赤ちゃん向けの商品は、
こちらが配慮して、配慮して、配慮してちょうどいい。
しゃべって伝えてくれることがないのですから、赤ちゃんのかわりに大人がしっかり感じて配慮することが大切です。
私は、おもちゃを手にとってくれたお子さんとまわりの方が素敵な時間を過ごされることを夢見て、デザインをしています。
参考>>
札幌市の公式