あの頃憧れた世界へ〜本のひととき〜
「ひかりのいと 朗読のための自選詩集」 銀色夏生
10代のはじめ、このひとの世界に憧れた。
恋の甘み、せつなさ、はかなさ。
まだ想像でしか知らなかった世界に、こわごわ足を踏み入れるようだった。つま先で恐る恐る…というふうに。
そこは木もれ陽のような優しい光があって。
きらきらしていた。
悲しみや悩みも美しい風景のように。
目で追いかけていた言葉を、声に出すとどうなるのだろう。
作者が選んだ作者の世界。
3つにわかれていて、それぞれ女性が主人公、男性、男女を超えたものとなっているらしい。
印象に残った詩のページに付箋をつけ、自分の声にのせてみた。
大切にしたいと/思えるものに/出会えたことに感謝する/いつも通りの日常を/きまじめに送りながら/フトしたすきまに/幸福を実感する 「散リユク夕べ」収録
僕たちが生きている証拠は/今この時にこそあるということを/忘れないうちに覚えておこうね。/ひらめきは消えてっちゃうから/何かを強く感じた瞬間に、その思いを伝えることが大事だと。/いつもいつも、その時が過ぎてから、思うよ。 「カイルの森」収録
巻末の初出一覧を見たら、持っている本が半分くらい。
角川文庫の写真詩集が好きで、お小遣いで集めていた。思い出深くて手元に置いてある。
背表紙の色とか時代を感じるな…。
響く言葉は時代を超える。
また読み返したくなった。
今度は声に出して読んでみようか。