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宿題革命!「けテぶれ」を1ヵ月やってみた

 育休中に、漢字の宿題に対するこんな記事を書きました。

 この記事を簡単にまとめると、

 漢字の宿題は学習習慣と学力の定着が目的であるはずなのに、受け身で作業的な取り組みによって、目的を果たせていないのではないか。

という内容です。


 僕は子どもの頃、この「漢字を繰り返し書く宿題」がすごく嫌いだったにも関わらず、担任した子どもたちにも同じ宿題を課していました。

 僕の子どもの頃からあったので、「宿題とはそういうものだろう」とか「他によい方法が見当たらない」とか、そういうありきたりな理由をつけて、特に深い疑問を抱かなかったんだと思います。


 しかし、今年からは漢字の宿題の出し方を変えました。今、教育界隈で話題の「けテぶれ学習法」です。


➣「けテぶれ」とは

 けテぶれ学習法は、子どもを自立した学習者に育てるための勉強方法です。「けテぶれ」による学習に取り組む中で子どもたちに「自己学習力」(=自分で自分の能力を伸ばす力)を身に付けることを目的としています。

 けテぶれ学習法のやり方は、計画、テスト、分析、練習の4つのサイクルを回しながら学びを得る学び方です。この4つの頭文字をとって「けテぶれ」です。

 (計画)目標に向けて学習計画を立てる。
 (テスト)テストを行って、今の自身の実力を自分で測る。
 (分析)実力を上げるためにはどうすればいいかを考える。
 (練習)自分に合う練習方法で学習を重ねる。

 詳しく知りたい方は、ぜひ本を手に取って読んでみたり、著者の葛原さんについて調べてみたりしてください。今、記事のために葛原さんについて調べていたらnoteのアカウントとけテぶれの記事があってビックリしました。

こっそりとリンクを貼っておきます^^;


➣実際にやってみた

 今年度、僕たちの学年(4年生4クラス)は、けテぶれによる漢字の宿題を課すことにしました。

 初めて宿題を出す際には、子どもたちへの書き方指導に約1時間を費やしました。その際、子どもたちに従来のただ漢字を書き連ねる宿題のイヤな所をたんまりと吐き出させました。一番多かった意見は「なんで何回も書かないといけないのか分からない」「もう覚えているのに書いても意味がない」という不満でした。

「じゃあ、何のためにみんなは漢字の宿題をやっているの?」
と聞いてみました。

「漢字を覚えるため」
「テストで100点を取るため」
「社会人になったときのため」

 小学校4年生でも、これくらいの目的はきちんと理解しています。

「その目的を達成する方法は、たくさんあるよね。その方法の1つに『けテぶれ学習法』といういい方法があるよ」
といった流れで子どもたちに説明をしてみました。

 そして、その日の学年通信で保護者の方にけテぶれの目的とやり方を説明。130名近くいる学年なので、戸惑いの声の1件や2件、いただくかと思っていましたが、約1ヵ月経っても全く反応なし…。これはひとまず受け入れられたと捉えてよろしいのでしょうか?きっとよろしいんだと思っています^^;


➣「真似ぶ」から楽しくなってくる

 けテぶれの学習は、チェックするこちらが楽しくなるくらいに自由度が高いです。上手な子のノートを見るたびに、思わずコメントを書きたくなってノートチェックがついつい長くなってしまいます^^;

 子どもたちが喜ぶのは、「今日のけテぶれノート紹介」の時間。おもしろい学習の仕方をしてきた子のノートを2、3点、プロジェクターに投影して紹介します。だんだん紹介したい子の数が増えてしまって、昨日は10人ぐらいになってしまいました^^; 

 毎日良いノートを紹介していると、「パクリやん!」というつぶやきが子どもたちから発せられました。「これはチャンスだ!」と思い、

「学ぶ」ことは真似ることから始まるんだよ。「学ぶ」は「真似ぶ」。

を教えてあげました。たごさんかすみさん、ありがとうございました^^


 友達の取り組みに影響されて、どんどん新しい学び方に挑戦していく子どもたち。登校したら朝一番に「先生、けテぶれがんばったよ!」とノートを見せてくれることも増えました^^


➣結果が出ない子に対して

 毎週月曜日には、漢字のテストを行います。けテぶれの取り組み方によって点数には大きな差が生まれました。同じ100点でも、今まで取った100点とは全く質が異なります。誰の力も頼らずに、自分の力でつかみ取った100点です。

 点数が思わしくなくても、焦る必要はありません。子どもたちはまだ初めて「学びの海」に足を入れたばかり。泳ぎ方(=学び方)が分からないと目的地まで泳げずに溺れてしまいます。

 これは「中1ギャップ」に似ているなと思います。みんな同じ船に乗せられて、みんなで同じ島をめざすように学んでいた小学校生活から、突然その船がなくなり、急に自分で泳がなくてはいけなくなる中学校生活へ。泳ぎ方(=学び方)が分からないと最初の中間テストで撃沈しますよね(僕もその一人でした)。

 そんな子どもたちに、結果だけを見て「自分の頭が悪いからだ」と自分を評価することだけは、絶対にさせてはいけないと思っています。どうして思わしくない結果になってしまったのか、テストまでの取り組み(プロセス)に注目し、分析する視点を子どもたちにもたせる必要があります。


➣けテぶれに1ヵ月取り組んでみて

 そもそも漢字が嫌いな子は、けテぶれの学習にも難色を示します。そんな子には、やれるだけの声かけと環境整備をしてあげたなら、あとは「信じて待つ」ことしか教師にはできません。本人が本気になるまで、自分の学びを変えたいと思うまで、信じて待つ。それまで根気強く語り続けるしかないのかなと思っています。

 これにはsuzuさんの記事がとてもタイムリーで、すごく共感しました。


 結局のところ、子どもが宿題を無理矢理やっていては今までの宿題と何ら変わりません。

けテぶれの真の目的は、「漢字を覚えること」ではなく、「子どもを自立した学習者に育てること」。漢字なんて、後からいくらでも覚えられます。それよりも大切なことは、「学ぶって楽しい」「自分の力だけで学ぶことができた」という感覚です。この感覚をつかめれば、勉強は大人になってからだって巻き返せます。小学生のうちにこれをつかんでおくことは、学力以上に価値のあることだと思います。

 ですから、宿題をやったかどうかでなく、自分の学びとどう向き合うかにフォーカスして子どもたちに接していく姿勢が大切でしょう。


 GW明け、子どもたちがどんなけテぶれノートを見せてくれるのか、楽しみにしながら待ちたいと思います^^ 




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