人はいつから失敗を恐れるようになるのか
人はいつから失敗を恐れるようになるのでしょうか?
まもなく生後7ヵ月となる次女は、何度も失敗をします。最近はつかまり立ちをするようになりましたが、座り方が分からずに泣いていたり、ひっくり返って頭を打ったりしてしまいます。
それでも挫けずに何度もつかまり立ちにチャレンジします。僕はその姿に癒され、心から応援しています。
生まれたばかりの赤ちゃんは失敗を恐れません。赤ちゃんにとって、失敗はできるようになるまでの経験の一つに過ぎないのです。
➣気になる長女の口癖
次に長女。長女は4歳真っ盛り。口が達者になり、会話がとてもが上手にできるようになりました。そんな長女の言葉が最近気になってしまうんです。彼女の口癖になりつつある言葉たちを並べてみます。
「だって~しようと思ったから」
「でもさぁ、わたしは~したかったの」
「できない。やって」
どうでしょう?これらの言葉は自分がまちがいや失敗をしてしまったり、失敗しそうになったりしたときに出てくる言葉たちです。
例えば、次女を泣かせてしまった時に「だって…しようと思ったの」と言い、初めてやる遊びがうまくやれなかった時には「できない」と言って諦めてしまいます。
僕はまちがいや失敗を責めるつもりは全くないのですが…。「だって」「でも」「できない」が日常のちょっとしたところで発せられるのです。
かといって、まだ4歳の子に「だってじゃないでしょ」と言ったところで彼女がさらに惨めな思いをしてしまうような気もします。でも、このままネガティブな言葉が染みこんで失敗を恐れて何もしない子にもなって欲しくもありません。
➣人はいつから失敗を恐れるようになるのか
こうした長女のネガティブな反応は、いずれやってくるものと思っていました。僕の予想では、小学生に入って学校の授業が始まった頃。友達と比較して自分の方ができないと認識するようになっていくのかなと思っていました。
担任する子どもたちの中にも、「自分にはできない」「恥ずかしい」という理由で失敗を恐れ、やる前から諦めてしまう子を見てきました。せっかくの成長のチャンスを自分の意思でつぶしてしまっているようでもったいないなぁと思いつつも、自信をつけるための励まし方は人それぞれ違っていて難しい問題だと感じています。
長女も同じように、いずれこのような課題にぶつかるんだろうと覚悟はしていましたが、僕の想像よりもだいぶ早かったのでちょっと戸惑っています。
児童の学習心理学が専門の心理学者、エレナ・ボドロヴァとデボラ・レオンは以下のように語っています。
子どもたちは幼稚園に入るころには、自分がまちがいをすると、大人が反応を示すことに気づき始める。たとえば、眉をひそめたり、頬が赤くなったり、あわてて子どものところに駆け寄って、「そんなことしちゃだめよ」と指摘したり。
これはグサッと刺さりました。情景がありありと浮かんできます。思い当たることが多すぎる。言葉じゃなくて反応。仕草や行動。そんなに感じているんだなぁ…。
確かに長女は人のことをよーく見てる時があります。自分が間違えてしまった時にも、たとえ僕が言葉にして責めるようなことを言わなくても、反応の仕方や仕草まで、よーく見られているんでしょうね…。
このような大人の反応を見て、子どもは何を学ぶのか?
それは、失敗に対する困惑、恐れ、羞恥心。こうして失敗を恐れる子どもが育っていくわけです。
➣失敗を恐れない子を育てるには
では、どうすれば失敗を恐れない子になるのでしょうか?
ボドロヴァとレオンは、幼稚園の教諭や保育士たちに、失敗しても平気に振る舞う様子を園児たちに見せるように指導しています。
まず、子どもたちの前でわざと失敗をして、そのあと笑顔でこう言います。
「あれー?先生はこの山にはブロックが5つあると思っていたんだけど!もう一度数えてみるね。1、2、3、4、5、・・・6!ブロックは6つあるね!そうか、わかった!ブロックをさわりながら数えればいいんだね!」
単純な表現ですが、この言葉の中には、「失敗 → 繰り返し練習 → コツをつかむ」という人が成長するために必要な過程がしっかりと詰め込まれているように思います。そのため、失敗の乗り越え方を学べるのでしょう。
これを知った時にふと頭に浮かんだのは、Eテレの「おかあさんといっしょ」。しりとりをするコーナーでは、歌のお兄さん、お姉さんがわざと間違える場面をつくります。子どもはこのような場面から学んでいき、失敗は乗り越えられるという思考が育っていくように感じました。
➣失敗を乗り越える姿を見せる
「子どもは親を見て育つ」とよく言われます。親だけでなく、大人のやることすべてをよく見ています。
思い返せば、僕は娘に「失敗を恐れないでほしい」と願いながら、自分が失敗するところをあまり娘に見せていなかったと思います。
日常や遊びの中で、長女ができない大抵のことは僕にはできます。だから練習の仕方やコツを伝えて「できるようにさせてあげたい!」って思っていました。でも子どもが知りたいのはそこじゃなかったんです。
「大人だって失敗するんだ」
「失敗してもいいんだ」
「失敗は恥ずかしくないんだ」
そんな気持ちを教える一番の方法は、「失敗を乗り越える姿を見せること」。僕がやるべきことは、一緒に失敗して、一緒に乗り越えることでした。
学校はどうでしょうか?
指導書を開けば「教師による範読」「手本を見せる」「見本を示す」。いいところばかり見せようとしています。確かに教師は子どもたちの模範として振る舞うべきでしょう。
でも、失敗を恐れている子にとっては?失敗の乗り越え方はどうやって学ぶのでしょうか?
わざととか、わざとじゃないとかどっちでもいいから、大人がもっと失敗するところを見せた方がいい。子どもと一緒に失敗して、一緒に乗り越えよう!
そして最後に笑って「大変だったけど、楽しかったね!」って声をかけ合えば、失敗なんて恐くない!……かな?^^;
この記事はこちらの書籍を参考にして書いています⇩⇩⇩