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2024年に読んだ本・漫画を全部まとめて振り返る

私はnoteだとあまり話題にしませんが、それなりに本を読んでいます。「活字ならなんでもいいや」ってスタンスなので、自己啓発からライトノベルまでなんでも読みます。本当に。マジで。
せっかくなので、今まで言及しなかった分もまとめて振り返ってみようと思います。もちろん簡易的にですが。

アホみたいに長いので、以下の目次から見たいところだけ見るのがおすすめ。


自己啓発

自己啓発とは何か?
けんすうさんがまさにそれだ!ってことを言っていましたが、要するに「良い行動」を増やすことで「良いことが起きる確率」を上げよう、と促す本だと思います。

で、人間社会における「良い行動」は、いつの時代もだいたい同じです。つまり何冊も読む必要はない。私は暇なので読みますけど

7つの習慣

自己啓発本を一冊だけ読むなら、私はこの本をおすすめするかな?
自己啓発に興味がない人でも名前は知っている、誰もが認めるベストセラー。名前の通り、人生を豊かにする7つの習慣について紹介している本です。

この本で紹介されている習慣は、言ってしまえばどれも当たり前のこと。
けど、逆に言えば、ほとんどの人はそんな「当たり前のこと」すらできていないんです。そして、当たり前のことを言語化するのは意外と難しい。だからこそ、この本は時代を超えて売れ続ける力がある。

筆者も話す通り、複雑さと曖昧さが増す現代だからこそ、7つの習慣の普遍性はなおのこと大きな意味を持つのだと思います。
人生で何かを迷う瞬間があった時、まずはこの本に立ち返りたいと思える、私にとっても重要な一冊です。

間違うこともあるだろう。気まずい思いをすることもあるだろう。だが、毎日の私的成功を積み重ね、インサイド・アウトの生き方を一歩ずつ進んでいけば、結果は必ずついてくる。種を蒔き、辛抱強く雑草を抜き、大切に育てれば、本当の成長の喜びを実感できるようになる。そしていつか必ず、矛盾のない効果的な生き方という最高の果実を味わえるのだ。

スティーブン・R・コヴィー『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』

エッセンシャル思考

こちらもまたベストセラー。
インターネットやSNSの普及によって、毎日のように情報の洪水を浴びる私たち。そんな時代だからこそ、情報を取捨選択し、すべきことを見定める力が重要になります。

この本では「選択」「捨てる」「仕組み化」に大別したうえで、現代を生きる我々が身につけるべき「エッセンシャル思考」について紹介しています。

基本的には参考になるのですが、一部疑問に残るチョイスもある。
その一例が「睡眠」。いや、確かに超大事だけど、その他に並んでいるのが「選択」とか「洞察」とかなので、睡眠だけなんかイレギュラーな感じが強い。
あと、睡眠が大事だって言うなら「食事」と「運動」も大事だと思う。

「やらなくては」ではなく「やると決める」。「どれも大事」ではなく「大事なものはめったにない」。「全部できる」ではなく「何でもできるが、全部はやらない」。

グレッグ・マキューン『エッセンシャル思考』

チーズはどこへ消えた?

2人の小人と2匹のネズミによって「変化」との向き合い方を描く寓話。
変化が起きるのは怖い。変化を受け入れるべきか? 拒絶するべきか?

変化の激しい今の時代だからこそ、こういった寓話を読む意味は大きいように思えます。

まあ、「変化はどうせ起きるので変わろう。変わるのを楽しもう!」の一言で説明できちゃう本なんですけど。物語で説明されるとわかりやすいのも事実。

うまくいっている人の考え方

読んだけど、もう内容を覚えていない。
そもそも人の性格を変えるなんて土台ムリな話なので、こういう本を読む意味あるの?って感じ。
考え方より習慣を変えましょう。

最高の体調

我々は健康のために生きているわけではない。しかし、どうせ生きるなら健康な方がいいに決まっている。

というわけで、こういう本を何冊か読んでおいて、日々の生活に少しずつ取り入れると何かと役に立ちます。Kindle Unlimited対象なので手に取りやすいのもいいですね。

ちなみにこれはライフハックなんですが、サイゼリヤのチキンのサラダはおすすめです。サラダチキンって食べててすぐ飽きるじゃないですか。これがサイゼのサラダだとおいしくて飽きないのです。毎日でも食べられます。

何歳からでも結果が出る 本当の勉強法

こういった本やドラゴン桜2をちゃんと読んでから、勉強が少しずつ楽しくなってきました。いろいろ試している内に、自分にあった勉強法がわかってきたんですよね。

それ自体はいいことなんですが、どうせなら大学受験の頃に気づきたかったよ……

なぜか結果を出す人が勉強以前にやっていること

ドラゴン桜シリーズの内容をかいつまんで勉強について解説している本。
ドラゴン桜2を読んでいるなら読まなくていい気がする。

「具体⇔抽象」トレーニング

めちゃくちゃ面白かった本。
仕事や日常生活において役に立つ「具体化」と「抽象化」のヒントになる様々なトレーニングが収録されています。トレーニングっていうか、問題提起?

個人的に好きなのが折り曲げの法則。「好き」と「嫌い」は正反対の方向を向いているように見えるが、折りたたむとどちらも「関心がある」になり、その対極には「無関心」がある――言葉で説明するのは難しいんですが、様々なことに応用できそうな考え方です。

このように「現地をよく知る」人にとって失礼な話を、遠く離れた人は平気で抽象化して語ってしまっていることになります。「まったくヨーロッパの人たちは日本人も韓国人もベトナム人も一緒だと思ってるんだから単純で困る」……この言葉の強烈な自己矛盾、お気づきでしょうか?

細谷功『「具体⇔抽象」トレーニング』

↑ところどころで紹介される作者さんの例示がキレッキレなのがいちいち面白い。

東大教授が教える知的に考える練習

まあ悪くない本なんですけど、「具体⇔抽象」トレーニングを読んでいるならこっちも読むべきかは……微妙。

スタンフォード式 最高の睡眠

Pokémon Sleepを始めて、とにかく睡眠にこだわりたくなったのが読んだきっかけ。
科学的に最適な睡眠について知りたかったので購入。

で、眠り始めてから最初の90分を作者は「黄金の90分」と読んでおり、睡眠において特に大事な時間だと述べています。実際、睡眠をApple Watchで計測すると、深い眠りは最初の数時間だけなんですよね。納得。

あと、午後2時くらいに眠くなる現象(アフタヌーンディップ)は昼食とあまり関係がないと説明されている。実際、8時間寝て昼に野菜だけ食べた日でも普通に眠くなるので、経験的にも正しく感じますね。いやどうすりゃいいんだよ!

最近はYouTubeでも睡眠学者の話が聞けるので、必ずしもこの本を購入する必要はないと思いますが、参考になる記述も多いです。睡眠にこだわってみたい方はぜひ。

GIVE & TAKE

翻訳を担当された方も話している通り、「情けは人の為ならず」を科学的に証明する一作。

この世には他者に与えることを好む「ギバー」と、他者から奪う「テイカー」、そして両者のバランスを取る「マッチャー」がおり、これからの時代はギバーが成功しますよ、というお話。

面白いのが、企業の営業成績を調べたら、最も悪い成績を収めていたのがギバーである一方、最も良い成績を収めていたのもギバーだったという調査結果。簡潔に言うと、自分を大切にするかしないかでギバーの成功は左右されてしまうらしい。

これめちゃめちゃわかる。ちょうど身近に自分を蔑ろにしてしまいがちなギバーがいるので……
この本勧めてみるか。

人を真の意味で助けるには、自分のものの見方の外に出なければならない。

アダム・グラント『GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代』

ゼロ秒思考

「メモをするといいよ」と言えばいいだけなのにそれを数百ページに引き伸ばした本。
「いつも紙を持ち歩いて何かあったら紙に書け」と言っているが、そんな面倒なことをできる人が成功するのは当たり前である。それが難なく続けられるのであれば苦労はしないのだ!

あ、でも最近はGoogleドキュメントにメモを書き溜めるようにしてます。

メモの魔力

「メモをするといいよ」と言えばいいだけなのにそれを数百ページに引き伸ばした本その2。
だから、それができたら苦労しないの!

ロングゲーム

良いことを言ってはいる。
けど、それって『7つの習慣』と『エッセンシャル思考』で既に言われてますよね? って内容が多い。
逆に言えば、その2冊の優秀さを改めて証明した作品と言える。

仕事

今年就職したので、仕事術に関する本はいくら読んでも損しない……と思っていろいろ読んでました。
来年はこんなに読まないと思う。

コンサル一年目が学ぶこと

Kindleランキングの常連さん。
「結論から話す」「期待値のマネジメント」「数字と論理で意見を伝える」など、だいたいどんな仕事にでも応用できる考え方がぎゅぎゅっと凝縮されています。

何か一冊選ぶなら、とりあえずこれ読んどけばいいんじゃない?

半導体産業のすべて

半導体について勉強したくて購入……ところがこれが失敗だった。途中から専門的な話が始まってちんぷんかんぷんになる!
初心者はこれを読む前にもっと簡単な解説本から入ったほうがいいですね。
この本自体が悪いわけではない。

イシューからはじめよ

「問題の解」よりまず「問題の質」を重視せよ、と主張しているのがミソ。
ありそうでなかった目の付けどころがヒットの要因と思われる。最近になって改訂版が出た。

書かれていることに説得力はあるものの、すぐに真似するのはかなり難しいと思う。「わかる」と「できる」は別だから。息をするように問題の質を上げるのは至難の業でしょうね。

ひとつ、聞き手は完全に無知と思え
ひとつ、聞き手は高度な知性をもつと想定せよ

安宅和人『イシューからはじめよ』

個人的に好きなワンフレーズがこちら。
これはプレゼンなどで他者にメッセージを伝える時に気をつけるべきことなんですが、「聞き手」の部分を「読者」にするとあら不思議! 創作論に応用可能なのです。

こういう発見があるので、ビジネスに興味がない作り手もビジネス本を手にとることを私はおすすめしている。結局、ビジネスもモノづくりみたいなものなので、重なる部分が多いのです。

BIG THINGS どデカいことを成し遂げたヤツらはなにをしたのか?

じーくどらむすさんがこの本を紹介していたので、名前は知っている人も多いかも。
実は私もそのnoteがきっかけで購入。噂通りの面白さでした。

タイトルの通り、巨大なプロジェクトがいつも予算を超過してしまう要因や、それを回避するための方法についてまとめられています。建造物だけでなく、ピクサーの脚本の作り方なども書いてあるのが個人的に嬉しかった。そのまま作品づくりに応用できます。

私はこの本で得た知見をもとに現在長編小説を執筆中です。
これまでの書き方に比べてかなり書きやすく、さっそく効果を実感中。皆様もぜひ。

「なぜ見積もりはつねに低めなのかと、彼らに聞いたことがある。ただこう言っていたよ。『本当の見積もりを出したら、何も建てられやしない』と」

ベント・フリウビヤ、ダン・ガードナー『BIG THINGS どデカいことを成し遂げたヤツらはなにをしたのか?』

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

アメリカ大統領選挙で「もしトラ」という言葉が一部界隈で流行りましたが、その言葉の元ネタは「もしドラ」。この本の略称なのはご存知でしょうか?

知らない人がいるのも無理はなく、この本が発売されたのは2009年。そんなに前なのか! でもたしかに、小学生の時に話題になっていた記憶があるなあ。NHKでアニメ化もされてなかったっけ?

それはさておき。
本書はそのままだと読みづらいドラッガーの名著『マネジメント』を、現代の高校の野球部に当てはめることでわかりやすく説明しています。
いい作品なのは間違いないんですが、この作品を読んだ後に本家『マネジメント』を読んだら、そっちの方が面白くて印象が薄れちゃった。

でも、このことを作者が知ったらきっと喜ぶでしょうね。

世界の一流は「雑談」で何を話しているのか

雑談って難しいですよねえ。
仕事に関するトークならある程度目的が定まっているのでまだいいんですけど、無目的にトークしろと言われるとなかなかきつい。それが初対面の人になるとなおさら。

この本は仕事における「目的を持った雑談」に焦点を当てているので、仕事術としては役立つ本なんですが、無目的トークではあまり役に立たないかも。そういうのを期待している人は別の本を読みましょう。

主人公思考

大学の講義でこういう本を一冊読めと言われたので適当に選んだ本。
今年再読したのですが、よく考えると「会社の一社員」が書いている本って珍しいなと。大抵のベストセラー本の作者は自分で会社を興している人たちですもんね。

私は以前からラブライブ派なので、アイマスの話題が出て嬉しいとかはないですが、会社員の目線で書かれる会社のメリットはどこか腑に落ちるものがあります。

ゼロ・トゥ・ワン

イーロン・マスクさんはすっかり有名人になっちゃいましたが、ピーター・ティールさんはまだ有名じゃないですよね。それともこれから有名になるのかしら?

なにはともあれ、この本がすごいのは間違いないです。アメリカでは起業家のバイブルらしいですがそれも納得。実際に起業家としても投資家としても成功している筆者だからこそ持っている優れた知見を楽しめます。

企業は競争ではなく独占を目指せ、CEOの給料が少ない会社は成功しやすい、カルト宗教は間違った教義を信じるが、スタートアップは人々が見逃していることを正しく信奉する……などなど。

特にすごいなと思ったのが、AIに関する筆者の言及。

僕たちはコンピュータにちょっとしたことができたといっては感心するくせに、機械と人間の補完関係から生まれた偉業には目を向けない。人間の貢献が機械の神秘性を損なうからだ。ワトソン、ディープ・ブルー、機械学習による最先端のアルゴリズムはクールというわけだ。でも、最も価値ある未来の企業は、コンピュータだけでどんな問題を解決できるかとは問わないはずだ。人間が難しい問題を解決するのをコンピュータがどう助けられるだろうかと考えるだろう。

ピーター・ティール『ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生みだせるか』

すごくないですか?
これ2014年の書籍ですよ?

仕事が速い人は、「これ」しかやらない

Kindle Unlimitedに入らずとも、Amazonプライム会員になるだけで読める書籍も実はあります。それがこれ。
全然期待していなかった割にはいい内容でした。

ただし、書いてあることの8割はマコなり社長が普段動画で言ってることと同じ。お好きな方でどうぞ。

できるリーダーは、「これ」しかやらない

リーダーはタスクを全部抱え込むな! 上手いこと部下に任せろ!
以上。

なぜ、あなたの仕事は終わらないのか

マイクロソフトでWindows 95の開発に関わり、ドラッグ・アンド・ドロップやダブルクリックを生み出した伝説の日本人プログラマーさんによる仕事術。
彼の話すロケットスタート仕事術を簡潔にまとめると、締切までの残り日数の2割で全体の8割を終わらせる、というもの。この手法は面白いし、読んでいて納得できる部分も多い。残った2割を8割の時間でゆっくり進める理由とかね。

問題はそれ以外の部分。作者の過去話がやけに多い。本人は必要だから話しているというが、ぶっちゃけその項目別にいらんだろって感じるものもある。
後半なんて「人生一度きりなんだから楽しもうぜ!」とかふわふわしたことを言うためだけにまるまる一章使っている。勘弁してほしい。

どこでも誰とでも働ける

ありとあらゆる会社を転職している筆者が考える、未来の働き方。そしてそんな未来で活躍するための仕事術をまとめた本。

私はすぐ興味が移り変わるタイプなので、作者と同じようにいろんな会社を渡り歩いていきたいと思っている。そんな私の考え方はまだ珍しいと思うが、この本はこれからそうなっていくんやでと背中を押してくれるのでありがてえです。

ただやはりというか、作者が転職しまくっていてなおも活躍できているのは、それまでに培ってきたつながりを大事にしているからのようだ。つまりコネが大事。
環境が変わる度に人間関係をリセットしている私はそろそろ考えを改めなければならない。

文章

プロだけが知っている小説の書き方

作者の名前で検索すれば分かるとおり、ガチのプロ作家による小説の書き方指南。読者の悩みや質問に作者が答える形で構成されており、大変参考になる。

先述した通り、初めてオリジナルの長編小説を書いている最中なので、迷ったらこの本(それかSAVE THE CAT)に戻ってくればいいと考えています。

「書けない」から始める小説の書き方

こっちはKindle Unlimitedにあったやつ。
正直作者を見た時「誰?」って思った。けどこちらもなかなか参考になる。おそらく偶然なんですが、「プロだけが知っている〜」とは少し異なる視点から語られていて、どちらも読んで損しない。

デザイン

ノンデザイナーズ・デザインブック

「自分はデザイナーじゃないからデザインの勉強なんてしなくていい」と思ってません?
全然そんなことないですからね。むしろ普段の仕事でデザインの知識を全く活用しない方が珍しいですから。

事実、デザインを蔑ろにしている人は多すぎると思う。
パワポのスライドもそうだし、企業の内部ホームページもそう。とにかく見づらい。どこに何があるのかわからない。お願いだからデザインの勉強をする人がもっと増えてほしい。この本を読むだけでもいいから。

なるほどデザイン

この本はお勉強のための本というより、単純に読んでいて楽しかった本。一つ一つのページが遊び心に満ちていて、ページをめくるのがとにかく楽しい。作者さんのこだわりを感じる。というか、ここまでくるともはや執念かも?
全くデザインに興味がない人にもおすすめです。なんか楽しくなってきます。

お金

きみのお金は誰のため

同期がおすすめしていたので読んだ本。普段使っているのに実はよくわかっていない(わかったつもりになってる)お金について、一からわかりやすく教えてくれます。お金の基礎を理解するだけで、お金が社会の中で果たしている機能だけでなく、我々が未来に向けてやるべきことも見えてくるのです。

個人的に、誰も彼もがGDPを指標として重要視していることに違和感を持っていましたが、この本で「一人一人の幸せの評価軸は違うから、GDPは「とりあえず」の数字でしかない」と書かれていて、ストンと腑に落ちました。
他にもいろいろいい言葉が書いてあります。

「問題なのは、『社会が悪い』と思うことや。社会という悪の組織のせいにして、自分がその社会を作っていることを忘れていることが、いちばんタチが悪い」

田内学『きみのお金は誰のため: ボスが教えてくれた「お金の謎」と「社会のしくみ」』

お金の大学

誰も話題にしないけどおそらくチャンネル登録をしている人は多いであろう、お金の大学の書籍版。最近改訂版が出た。
YouTubeで全部タダで見られるんだからわざわざ書籍買わなくていいじゃんって思うかもしれませんが、私みたいな活字派は書籍の方が気になったことを調べやすくてむしろありがたい。

バビロン大富豪の教え

かつて存在したとされる古代都市・バビロンから伝わる賢いお金との付き合い方。紀元前の教えが現代でも十分通用するってすごいですよね。それだけ普遍的ってことです。不動産を買えとか、日本だとちょっと当てはまらないことも書いてありますけど。

ちなみに、書籍のほかに漫画版があります。得られる教えはほぼ同じなんですが、アプローチがだいぶ違う。
書籍版はいろいろな人物にスポットを当てた短編集になっていますが、漫画版は主人公を一人に絞って展開する長編ストーリーに再構成されています。どちらも読みましたが、漫画版の方がとっつきやすくておすすめかな。

オートモードで月に18.5万円が入ってくる「高配当」株投資

ドラえも〜ん、配当だけで暮らしたいよ〜
と思ったので読んでみた本。
きちんと数字を見て将来性のある企業を見極め、あとは毎月コツコツ積み立てればいいらしいです。

ま、そりゃそうだ。当たり前である。

DIE WITH ZERO

書評などでなんとなく内容は知っていましたが、実際に読んでみると新鮮でした。お金をちゃんと使い切って死にましょうという内容。

ほとんどの人は退職した後も貯蓄をほとんど使っていない(むしろ増やしてる)ことをデータで示したり、贈与や寄付は死んだ後ではなくむしろ生前にやるべきだと主張したり。長いようで短い人生の中、お金との向き合い方についてありそうでなかった視点を与えてくれます。

なんていうか、別に驚天動地の主張ってわけでもないのに、ハッとさせられる感じがあるんですよね。我々が世間の慣習に引っ張られて、いつの間にか考えから外してしまっている選択肢について、改めて思い出させてくれるといいますか。

人生最後の日に、満足のいく経験に満ちた人生を送れなかったと気づいたときの後悔がどれほど大きなものか、想像してみてほしい。テレビドラマ『ダウントン・アビー』の執事、カーソンはこのことを見事に表現している。

「人生でしなければならない一番大切な仕事は、思い出づくりです。最後に残るのは、結局それだけなのですから」

ビル・パーキンス『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』

私はこの本を父親に勧めてあわよくば生前贈与してもらおうと企んでいる。

金持ち父さん貧乏父さん

父親がお金関連の話をするときによく引き合いに出すので私も読んでみた。タイトルの通り、金持ちの父さんと貧乏な父さんからお金との付き合い方について学んだぜって本。

結構前の書籍なんですが、お金持ちは資産を買うとか、お金持ちは頭がいいから税金は中流以下から巻き上げたほうが国にとっても楽とか、今でも毎年のように出てくる話題に対する答えがもう書いてあるじゃん!ってなる。

「金持ちから取り立てろ」とがなりたてる連中がどんな手段を使ってこようと、金持ちはいつもそれを出し抜く策を見つける。結局、中流家庭から税金をしぼり取ることになった理由はここにある。金持ちは頭のいいだけの連中を出し抜いたのだ。

ロバート・キヨサキ『改訂版 金持ち父さん貧乏父さん――アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学』

いつの時代もお金に対して投げかけられる疑問と、それに対する解答は変わらないってことなのかな。面白いですね。

哲学・思想

嫌われる勇気

日本どころか世界にアドラー心理学を広めるきっかけを作った偉大な本。
なかなか刺激的な主張だけど、哲学に近い領域なので絶対に反論できない。ズルいぞ!
でも知っておくとちょっと生きるのが楽になる。

他者の評価を気にかけず、他者から嫌われることを怖れず、承認されないかもしれないというコストを支払わないかぎり、自分の生き方を貫くことはできない。つまり、自由になれないのです。

岸見一郎, 古賀史健『嫌われる勇気』

この本、世界中で売れているらしく、日経新聞でもニュースになっていました。明るい人が多いと言われる南米地域でも売れてるんだとか。それどころか、アドラー心理学が日本より有名とされるアメリカですら新鮮に受け止められているという。

作者の古賀さんは、哲学者の岸見さんが出していたアドラー心理学の本を読んで衝撃を受け、書斎を訪れた際に「ぼくは岸見先生のプラトンになります」と言ったそうです。
要はこの心理学を広めるぞ、という決意表明なわけですが、そうして生まれた本が実際に世界中で売れていて、まさに有言実行。
すごいですね。本の内容よりそっちに感心してしまう。

幸せになる勇気

上の本の続編。
読んでもいいと思うし、上だけ読むのでも別に構わないと思う。
前作と比べるとハウツー本っぽさ高め。

「他者の関心ごとに関心を持つのが大事」って主張、とてもわかるので大事にしたい。
その一方、「叱るのも褒めるのもダメ」って考え方は厳しいかなと。正直、私は褒められていなかったらこうして文章を書いたり本を読んだりしていなかっただろうから余計にね。

バカの壁

なぜこれが平成で一番売れた本なのか?
結局、上の疑問が解消されることは最後までなかったけど、よく考えれば当たり前の話なのだ。売れたのは結果でしかないのだから。

決して悪い本ではなく、言ってることはなかなか面白い。現代の若い世代は社会が求める共通性と意味のわからない個性の両方を求められている、とかね。

今の若い人を見ていて、つくづく可哀想だなと思うのは、がんじがらめの「共通了解」を求められつつも、意味不明の「個性」を求められるという矛盾した境遇にあるところです。

養老孟司『バカの壁』

余談ですが、ライターのJini氏はこの本を読み、作者が無意識的に女性蔑視の価値観を持っていることにショックを受けたらしい。いろいろ書いてある中で印象に残ったのそこなのか(笑)

ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論

就職してしばらくしてから買った本。たまたまですよ?
わりと高いんだよねこの本。とはいえなかなか面白いというか、全体的に世の中を皮肉っている感じが嫌いじゃない。

タイトル通り、なんで世の中にはクソみたいな仕事が多いの?という話をしているわけですが。
ここでいう「ブルシット・ジョブ」は、どう考えても無価値で意味のない仕事。いわゆる「社会に必要不可欠なのに給料が低い!」タイプの仕事は「シット・ジョブ」と呼んでいます。日本人の感覚だとまどろっこしい。

ブルシット・ジョブとは、被雇用者本人でさえ、その存在を正当化しがたいほど、完璧に無意味で、不必要で、有害でもある雇用の形態である。とはいえ、その雇用条件の一環として、本人は、そうではないと取り繕わなければならないように感じている。

デヴィッド グレーバー『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論』

シット・ジョブの待遇が改善されないのは、ストライキを起こそうものなら社会が機能不全に陥ってしまうからだ、と作者は指摘していますが、私はむしろその特徴を利用してガンガン賃上げを迫っていってもいいんじゃないかと思うんですよね。さすがにそこまでやると働き手の良心が痛むかしら?

幸いなことに、私が関わっている仕事は間違いなく社会の役に立っていると確信できるので、その点はありがたいですね。

動物化するポストモダン

結構昔の本だったはずですが、衝撃度で言えば今年トップクラスだったかも。この本、あまりにも我々の生活を予見しています。

作者はオタクが好むアニメやゲームを例に取りつつ、現代日本の思想を分析していきます。いわゆるオタクの消費行動から大きな物語を失った現代を紐解きつつ、これから人類が向かう方向性まで予想する興味深い内容です。

こういう本って、オタクのことを良いとか悪いとか言ってくれた方がむしろ気が楽なんですが、そういうのを抜きにして徹底的に学者目線でオタク文化を分析するので、なかなかむず痒い感覚がします。

そして、タイトルにもなっている「動物化」がすごい。これから社会は即物的に、かつ動物的に快楽を追い求めるようになっていくだろうと結論づけているわけですが、これって今でいうショート動画とかタイパ思考につながってきますよね。今から20年以上前にこの大きな流れを予期していたのだから感心します。

ポストモダンの人間は、「意味」への渇望を社交性を通して満たすことができず、むしろ動物的な欲求に還元することで孤独を満たしている。そこではもはや、小さな物語と大きな非物語のあいだにいかなる繋がりもなく、世界全体はただ即物的に、だれの生にも意味を与えることなく漂っている。

東浩紀『動物化するポストモダン オタクから見た日本社会』

勉強の哲学

こちらも哲学に関する本。なんですが、平易な文章で書かれていて、肩肘張らずに読めるのが特徴です。

勉強することで我々は何を得られるのか? を哲学的に分析する本なのですが、著者曰く、勉強とはそれすなわち「ノリが悪くなる」こと。自分の周りに漂う暗黙の了解からちょっとだけはみ出て、ノリが合わなくなる。それにつながるのが勉強なのだと言います。

勉強とは、かつてのノっていた自分をわざと破壊する、自己破壊である。言い換えれば、勉強とは、わざと「ノリが悪い」人になることである。

千葉雅也『勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版』

哲学の視点から勉強を読み解く本ってなかなか珍しいですよね。しかもそれを「ノリ」とか「ボケ」とかで表しているのがまた面白い。
読んでいて不思議な心地になりますが、なぜだか納得できてしまう。そんな不思議な読後感を与えてくれました。

テクノ・リバタリアン

イーロン・マスクさんやピーター・ティールさんが結局何を考えているのか知りたくないですか?
私は知りたかったので読みました。他者の気持ちを理解できるようになるのが読書の強みですから。

で、読み終わって思ったのですが、彼らの想像する世界に私たちって存在しないんでしょうね。

経済学・経営学

マネジメント[エッセンシャル版]

前述のもしドラを読んで、元となった本の内容も知りたくなったので購入。

エッセンシャル版ということで、本当はもっと長いバージョンもあるんですよね? そっちも時間があったら読んでみたいかも……
そう思えるくらいには面白かった。さすがは経営の神様。

企業とは、社会や経済の許しがあって存在しているのであり、社会と経済が、その企業が有用かつ生産的な仕事をしていると見なすかぎりにおいて、その存続を許されているにすぎない。

PFドラッガー『マネジメント[エッセンシャル版]』

最近、企業の社会的責任という概念が流行していますが、これに関してもかなり鋭い指摘が入っています。

人新世の「資本論」

資本主義のままだと地球環境がヤバいから、資本主義と戦っていこうぜ!という内容。途中にマルクスの後期の思想について分析するどうでもいいゾーンがあるのでそこは読み飛ばして構わない。

主張自体はまあいいとして、地球温暖化の問題について訴える際、その例としてグレタさんを出すのが不思議である。絶対もっとまともな人いるだろと思う。

あと、この人って妻子持ちでマイホームとマイカー持ってるんでしょ?
結局、この人が得られた幸せも資本主義のおかげなのだと思うと皮肉。

科学

アメリカは内戦に向かうのか

どういう時に国は荒れるのかを研究者目線で分析している本。
面白いのは、民主主義は治安が安定する一方、独裁主義も治安が安定していること。じゃあ荒れている国家はなんなのかっていうと、どっちつかずの中間状態のパターンが多いんだとか。

私たちはすべての人々を必要としている。移民を阻止する国は、人口減少の中で緩慢に滅亡していくだろう。われわれの民主主義は小集団の権利を守るとともに、国家としてのアイデンティティを一つにもとに据える必要がある。

バーバラ・F・ウォルター『アメリカは内戦に向かうのか』

どんどんカオスになっていく世界を見て、日本がいかに平和な国なのかをしみじみと実感する昨今である。

てかこの本、タイトルの割にそんなにアメリカの話してなくね? って思ったら、原題は『HOW CIVIL WARS START』だった。全然印象違うじゃねえか!

失敗の科学

Kindle Unlimitedで読める本の中では一番面白いんじゃないかなと思っている。
失敗は成功の母というが、それどころじゃない。失敗なしに成功はあり得ないことを様々な事例から詳らかにしていく本。


人は失敗を隠す。他人から自分を守るばかりでなく、自分自身からも守るために。

マシュー・サイド『失敗の科学』

ビジネス書ではあるんだけど、例として示される事例が物語のようになっていて、小説を読む感覚で楽しめるのがいい。似たようなことをやっている書籍はたくさんあるけど、これは小説っぽいパートの割合が大きいので、他と比べてハードルが低くとっつきやすい。

ちなみにこの本は(どんな事象も説明できるので絶対に失敗しない)前述のアドラー心理学を批判している。のだが、そもそもアドラー心理学は科学ではなく哲学の領域なのが学者たちの見解なので、ここで引き合いに出すのは間違ってない? と思う。

多様性の科学

失敗の科学と同じ著者の書籍。
最近は多様性を尊重しようと叫ばれるのがもはや当たり前になりました。それは個々人の属性を尊重するべきという「価値観」を前提にして語られがちなので、しばしば衝突が起こるのも事実。

本書が面白いのは、「多様性は組織に明確なメリットをもたらす」と主張していること。つまり、価値観とか関係なく多様性はあった方がいいことを様々な事例や研究結果をもとに示しているのだ。このアプローチがなかなか新鮮で面白い。

個人的に「認知的多様性」という概念がとても好き。同じものを見ていても何に注目するかが人によって全然違う。だからこそいろんなバックグラウンドの人が集まることで、不足している部分を補い合える……という論理なのだが、まさにこれってよくできた娯楽作品で見るなと思う。全く違う価値観を持つ人たちがぶつかる瞬間はいつ見ていても楽しい。ハラハラもさせられるけど。

才能の科学

失敗の科学及び多様性の科学と同じ著者の書籍。

じゃあ面白いに決まってるじゃん……と思ったけどそんなにだった。それもそのはず、この本はもともと本国では失敗の科学より前に出た本なのだ。要は失敗の科学と多様性の科学が売れまくったからついでにこっちも邦訳されたって話。そりゃ後で書かれた書籍のほうがクオリティーは高い。

あ、内容は「才能は持って生まれるものではない!練習量で決まる!」って感じです。

スマホ脳

この本を書店で見た時は、「スマホをやるとバカになるぞ!!」ってスマホをメタクソに批判する本だと思ってました。皆もそう思うでしょ?
でもそんな単純な話ではないんですよね。

実際は「そもそもなぜ我々はスマホ中毒になるのか」がメインで、原始時代に組み込まれた我々の生物としてのメカニズムを紐解く内容なんです。後述の『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』に通じるというか、タイトルだけでは予想もつかないようなアプローチ。

情報が洪水のように溢れかえる昨今、むしろ自分が見る情報を限定できる人の方が生きやすいのは言うまでもないでしょうね。デジタルデトックスはやった方がいいのかも?

歴史

サピエンス全史

おそらく今年一番面白かった本
人間の歴史を紐解くって言われると、いやそれ本何冊分になるのよ……って思いますよね。この本は上下巻に内容が凝縮されているだけでなく、その切り口も通常の歴史書と比べるとやや特殊。それが面白いのです。

人間は集団でウソを信じられるから生物界の頂点に君臨できたとか、農業革命は罠だったとか、宗教が全知からスタートしたのに対して、科学は無知からスタートしたのが画期的だったとか。

ページをめくる度に過激とも言えてしまいそうな主張が飛び込んでくるので、最後まで飽きずに楽しめます。

私たちが真剣に受け止めなければいけないのは、歴史の次の段階には、テクノロジーや組織の変化だけではなく、人間の意識とアイデンティティの根本的な変化も含まれるという考えだ。そして、それらの変化は真に根源的なものとなりうるので、「人類」という言葉そのものがその妥当性を問われる。

ユヴァル・ノア・ハラリ『サピエンス全史 下 文明の構造と人類の幸福』

ホモ・デウス

サピエンス全史では過去から現在までを振り返るのがメインでしたが、こちらの書籍はむしろ未来、人類の行く末を考察する書籍。ちなみに同じ著者。

歴史学者が過去を研究するのは、過去を繰り返すためではなく、過去から開放されるためなのだ。

ユヴァル・ノア・ハラリ『ホモ・デウス 上 テクノロジーとサピエンスの未来』

今大流行中のAIやロボットの話題もあるのでなかなかタイムリーなんですが、それ以上に結構ショッキングなことも書かれています。
それは意識の問題。

我々を生物学的に考えていくと、わざわざ意識がある意味がてんでわからない。それどころか、意思決定のプロセスは決定論かランダムのどちらかなので、自由意思なんてものは存在しないことになる。

聞いていてこんな不安になる話もなかなかないでしょう(笑)
おそらくですが、我々が生きている間に向き合わなければならない問題になるでしょうね。それすなわち、「意識とはなんのためにあるのか? それは重要なのか?」

孫子の兵法

名前だけは誰もが知っている、今もなお多くの人に愛される戦略本。

戦争は政治戦略の一つなのでそもそも起こさないのが吉とか、スパイには最高の報酬を与えないといけないとか、現代でも十分通用する知識が載っていて驚きます。
もっとも、政治家でなければあまり役に立たないかもしれないですが、考え方そのものはいろいろと応用が効くだろうし、何より歴史に名を残した人たちがこれに目を通しているわけですから、一度目を通してみる価値はあるはず。

私が読んだ解説本はこれ。

なぜ働いていると本が読めなくなるのか

いかにも「読める方法教えちゃいます!」って感じのタイトルだが、実は日本人の「仕事と読書」の関係を紐解く歴史書のような役割を果たしていて、わりとちゃんとした新書である。

(前略)令和の現代で「教養」が「労働」と近づいている――つまり「ビジネスパーソンのための教養」なんて言葉が流行しているのは、もはや「教養」を売る相手がそこにしかいないからだろう。

三宅香帆『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』

ちなみに私は今年就職したが、むしろ今までで一番本を読んでいる気がする。だいたいKindleのおかげ。ありがとうKindle。
とはいえ電子書籍があれば全部解決かというと微妙で、ある程度精神的な余裕が必要なのも事実なのだ。

ノンフィクション

ケーキの切れない非行少年たち

非行に走ってしまう少年には実は知的障害を患っている人が多く、そもそも自分が悪いことをしたと認識できていないこともある。それをつきとめた著者の奮闘が綴られている。社会全体で子どもの異変に早期に気づき、支えていく重要性も訴えている。なるたけ多くの人を助けたいという意志が伝わってきてちょっとカッコイイ。

でもまさか、この内容でベストセラーになるとは思わなかっただろうなあ。これはタイトルの付け方が見事な本。

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

看護師として勤めるパンクなかーちゃんとその息子のイギリス生活を描いたノンフィクション。日本に住む我々よりも様々な国籍の人と触れ合う機会が多く、多様性の難しさと面白さ、苦しさと楽しさが凝縮された文章が独自の魅力になっている。

(前略)なるほど多様性の強さってのはこんなところにあるのかと思う。こっちがダメならあっちがある、のオルタナティヴが存在するからだ。こっちしか存在しない世界は、こっちがダメならもう全滅するしかない。

ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』

ちょっと変わった切り口からイギリス社会を俯瞰しているのも今作の魅力。名門高は生徒に多様性がある一方、落ちぶれた学校は白人だらけという「多様性格差」なんて概念が登場する。そんなのあるの!?

出てくる登場人物一人一人に人間味があって愛おしくなる。そりゃ現実に存在するから当たり前なんだけどね。イモトさんが書評で「一人一人に会って話してみたくなる」と語っているが、まさにその通りだと思う。

ベイスターズ再建録

お荷物球団と揶揄されていた底辺時代のベイスターズ。そんな球団もTBSからDeNAに経営権が渡った時はやいのやいのと言われたのです。
父親は「任天堂ベイスターズの方がマシ」とか言ってた記憶。まあ任天堂も球団持ってたんですけど。

そんなベイスターズはご存知の通り、現在では人気球団となって大復活。なんと日本シリーズ優勝まで達成してしまった。復活に至るまでの経緯はこの本を読むとよく分かります。
最後まで読んで「いい話だなあ……あとはリーグ優勝するだけだ」と思ってしまったのは内緒。

ちなみに、この本を買ったのは、ちょうど母親のベイスターズ熱が再燃してこの本が欲しいと言ってきたから。ハマったその年に優勝するなんて、母親もなかなかの豪運だと思う。せっかくだからリアル野球BANについて教えてあげよう。

地政学

13歳からの地政学

なんか地政学って最近話題だけどなんなの?
そんな疑問を抱いた人はとりあえずこれ読んどけばいいと思う。物語形式でとっつきやすく学べる。形式は前述の『きみのお金は誰のため』に近い。

なぜクリミア半島や朝鮮半島は争いが起きやすいのか。なぜ日本とアメリカは仲良くできるのか。なぜ中国は南シナ海を欲しているのか。この本で得た知識は今日のニュースとすぐにつながるので、読んでいて楽しい。ああそういうことなのねって納得できることが増える感じ。

世界最強の地政学

より地政学について学んでみたくなったので読んだ。こちらは13歳の地政学よりもう一歩踏み込んだ内容。

同じ分野について語っているので被ってるところがありそうなものなんだけど、これが全然被ってない。こっちだと地政学の歴史とかも扱ってて、より小難しい感じ。地政学を確立させたすごい人の話も載っている。正直どうでもいいけど。

2冊とも読む価値はあると思う。地政学こそが最強の学問って本もあるけどそれは読んでない。

知らなかったんだけど、著者曰く地政学は学問ではないらしい。マジか。

エッセイ

もものかんづめ

おそらく世間一般において、さくらももこ先生といえば漫画家だろう。だがそれはあくまで一面にすぎない。私は文章の天才だと思っている。

ウソだと思うならこのエッセイを読んでほしい。本当に面白いから。保証する。
爆笑する恐れがあるので電車の中では読まない方がいい。

岩田さん:岩田聡はこんなことを話していた。

アメリカにはスティーブ・ジョブズがいた。
対して、日本には岩田聡がいた。

と言いたくなるくらい、岩田聡さんは偉大な人である。

基本的に、社長などという誰もやりたくないような仕事をあえてやっているような人はどうしようもない社会不適合者である。ジョブズもアップルをクビになったあとに復活できなかったら、ただのクレイジーなおっさんで終わっていただろう。

岩田さんがすごいのは、彼は天才プログラマーであると同時に人格者でもあるということだ。そんな人、他になかなかいない。おまけにそれでいて成功した。
彼が任天堂の社長になったこと自体があまりにも奇跡的すぎると思う。

自分の中に毒を持て

最初に岡本太郎さんの文章を読んだのは、国語のテストかなんかだったと思う。その時点で、一部しか読めなかったのに強く印象が残った。あまりにも文章の力が強い。なんていえばいいのか、まるで文章が生きていて、満ち満ちたパワーに圧倒される感じがした。

それから数年。タローマンが話題になったりマコなり社長が話題にしたりで気になっていたので、ようやく腰を据えて読むことに。
やはり圧倒的な文章の生命力にビビらされる。絵画も一度見たら忘れられないインパクトがあるが、文章でもここまでやるか、と。

文章だけで人となりが伝わってくるのはなかなかできることじゃない。

うちの3姉妹

大人気子育てブログを書籍したもの。
もともと私の母親が大好きで、家に本が置かれていた。ブログの形式を尊重して、縦長のラインを敷き詰めて本にしているのだが、今思うと先進的というか、縦読み漫画の書籍化に近いものを感じる。

紙の本は10巻までしか持っていなかったので、Kindleのセールをきっかけに思いきって全巻買ってみた。
で、読むとこれがなかなか楽しい。子どもの頃は3姉妹の言動に共感していたが、今となっては大人側に共感してしまう。あと、知識がついたことでドラクエネタや競馬ネタが分かるようになったのが地味に嬉しい。今まで8割しか楽しめていなかったものが10割楽しめるようになった気分だった。

ぷりっつさんち

で、うちの3姉妹の続編としてこちらも購入。うちの3姉妹16巻以降の出来事が書かれている。作者からするとうちの3姉妹のエピローグ的な位置づけらしい。
最新刊まで読んでいくと、ブログ開始当初は5歳だった長女のフーちゃんの成人報告があったりするのだから感慨深い。

それだけでなく、うちの3姉妹の2巻あたりで姉妹が入っていたバレエを、次女のスーちゃんがいまだに続けていて、バレリーナとしてのキャリアを歩もうとしていることなども描かれていたり……

もうね、3姉妹を通して人生のダイナミズムを感じて、思わずジーンときちゃうんですよ。まさか子育てブログでこんな感動することになるとは思わなかった。

桜井政博のゲームについて思うこと

YouTubeでウン千万円のボランティアをやったことで話題になった桜井政博さんですが、そんな彼がファミ通で連載していたコラムがまとまった書籍。だいたいの動画ネタはこのコラムから持ってきていることがよくわかる。

あと、やっぱり文章の方が本人の生々しい思想が伝わってくる感じがして好きですね。結構手厳しいことも言っている。

幸せのひきがね(所ジョージの世田谷ベース Vol.55)

いつも幸せそうな顔をしていることでおなじみの所ジョージさんの人生観が分かる本。あまりにも私と違いすぎる。

所さんの思想を知って感じるのは、やはり結婚して子どもを作ると人の価値観ってだいぶ変わるんだなってことですかね。
自分が今後どちらの価値観を選ぶのかは正直わからない。

小説

正欲

朝井リョウさんが現代最高の作家の一人なのは言うまでもないと思いますが、この本もなかなかすごい。
耳触りのいい「多様性」という言葉に染みついた胡散臭さを徹底的に言語化している。
相変わらず読みやすい文章なのだけど、それがむしろグサグサっと刺さる。気づいたらダメージを受けすぎて死ぬ。ほんと恐ろしい人ですよ。

多様性とは、都合よく使える美しい言葉ではない。自分の想像力の限界を突き付けられる言葉のはずだ。時に吐き気を催し、時に目を瞑りたくなるほど、自分にとって都合の悪いものがすぐ傍で呼吸していることを思い知らされる言葉のはずだ。

朝井リョウ『正欲』

ちなみに映画版も観ました。こちらもなかなか悪くない作りなんだけど、主人公の二人が最後、完全に分かり合えない存在として描かれているのは賛否が分かれそうなところ。

ハーモニー

個人的長生きしてほしかった作家ランキング一位の伊藤計劃さんよる小説。前作の虐殺器官もとんでもなく面白かったが、こちらの方が自分好み。世界観、ストーリー、キャラクター、筆致、全てが自分のためにあるような作品で、おそらく一生忘れられない小説。

「誰かが孤独になりたいとしたら、死んだメディアに頼るのがいちばんなの。メディアと、あたしと、ふたりっきり」
とミァハは答えた。あの冷たくなめらかで、ヒトを眠りに誘うような声でさらに続ける。
「映画とか、絵画とか。でも、持久力という点では本がいちばん頑丈よ」
「持久力、って何の」
「孤独の持久力」

伊藤計劃『ハーモニー』

もし女性として生まれたら、ミァハみたいな女に出会って人生を狂わされたい。

ゲド戦記

宮崎駿さんが人生で最も影響を受けた小説の一つで、なぜか映画化の際は息子が監督を務めたことでも有名。

現在3巻まで読んだのですが、もう……圧倒的。これに尽きる。
ただの文章のはずなのに、まるで本当にファンタジー世界を取材してきたんじゃないかって思わせてくれる、圧巻のリアリティーを持った文章。ジブリ作品に影響を与えたのも納得で、確かにところどころにその片鱗を感じ取れる。

人は自分の行きつくところを知りたいと願うものじゃ。だが、一度は振り返り、向きなおって、源までさかのぼり、その源を自分の中に位置づけなくては、人は自分の行きつくところを知ることはできんのじゃ。川にもてあそばれ、その流れにたゆたう棒切れになりたくなかったら、人は自ら川にならねばならぬ。

アーシュラ・K・ル=グウィン『影との戦い ゲド戦記』

主人公が主人公とは思えないくらい最後まで惨めな目に遭ってばっかりなのが笑える。やっぱ主人公は追い詰めてなんぼ?

変な家

みんな大好き雨穴さん。もとになった動画版を見たらめっちゃ面白かったので購入。

間取りで推理をするって発想がまずすごい。何食ってたら思いつくのか知りたい。
上質なサスペンスにもかかわらず、読もうと思えば半日もかからずサクッと読めるのもよい。面白いだけでなく、極めて現代に合った小説。

三体

最初の巻だけ読んだ状態だが面白い。

単なるSFではなく、サスペンスやらVRゲームやら宇宙やら、さまざまな要素を闇鍋かってくらい詰め込んで、なぜかめちゃくちゃにならず成立させてしまった、恐ろしく高水準のエンタメ小説でした。

SFといっても難しいことを考えなくていい。シー・チアンがあまりにもいいキャラすぎるので、このキャラのためだけに読むのもあり。

2の上下巻もこの前買ったので来年読む予定。

母親がNetflixのドラマ版を観ていたのだが、私は読み終わってすぐに「船がワイヤーで輪切りにされるシーンって映像化されてる!?」って聞いた。されてるらしい。ヤバい。

あと、中国ってこういう小説出しても許されるんだ……って思った。

君の膵臓をたべたい

泣ける小説が読みたいならとりあえずこれ読んどけってやつ。
なぜこれをなろうに投稿したのかはよくわからないが、出来がいいのはたしか。

小説ならではの仕掛けが施されてはいるのが見どころの一つではあるが、それを差し引くとすごくまっすぐな作品だと思う。
純粋な愛をここまで真正面から書かれたら、私と言えども両手をあげざるをえない。いやはや参りましたよと。正攻法で泣かせにくるところがあまりにも潔い。

僕らの方向性が違うと、彼女がよく言った。
当たり前だった。
僕らは、同じ方向を見ていなかった。
ずっと、お互いを見ていたんだ。

住野よる『君の膵臓をたべたい』

後半主要キャラがあまりにもボロ泣きしまくるので、ティッシュを何枚くらい使う羽目になったのかが気になってしった。

アルジャーノンに花束を

小説という媒体の特徴をあますことなく活用した不朽の名作。名作ということで期待値は高かったが、それを優に超えていく完成度の高さだった。

もしも、知的障害を患った人が高度な知能を獲得したら?
知らなかったことを知ることが幸せとは限らない、主人公の苦悩が読者の心を鷲掴みにする。最後がハッピーエンドと言い切れないのもいい。この本でしか味わえないような余韻を与えてくれる。

読まないまま終わる人生もあったと思うと怖いってぐらい凄かった

余談ですが、最近帯に書かれている書評がこれ。
悪くないフレーズではあるけど、ぶっちゃけどんな作品にでも使えるだろと思ってしまった。

ダンガンロンパ/ゼロ

ダンガンロンパシリーズの前日譚。シリーズのシナリオを担当した小高さんが手掛けているので、持ち味は健在。なんの違和感もなく楽しめる。

ゼロだけど、初代のシナリオを把握している前提なのでそこは注意。

ダンガンロンパ霧切

1巻のみ読了。
こっちは霧切が主人公、かつ書いているのが本格派ミステリー作家なのもあり、超が付くほど本格的なミステリー作品として仕上がっています。面白かったのでそのうち2巻以降も読むつもり。

ちなみに、作者の方はニューダンガンロンパV3のトリックも担当しているらしい。確かにトリックのタイプが似てると思った。
V3のトリックは前2作と比べてもかなり凝ってるので面白かったなあ。

いつの空にも星が出ていた

さっきのベイスターズ再建録と合わせて購入したやつ。
ベイスターズ黎明期、全盛期、衰退期、そして最近の復活――それぞれの時代にベイスターズを愛した人たちの物語。

作者さんがめっちゃ取材しているのが伝わってくる。というか絶対現地で試合見てるでしょ。じゃなきゃ書けないだろってくらいリアリティーがあるもん。
と思ったら、やっぱり最近の試合は実際に観戦していたらしい。

どんなに敗戦が多くても、どんなに頼りないスタメンでも、その日試合開始の時は、何とかなるような気がする。不思議だけど、そんなものだ。淡い期待を抱く。負けると、いちいちがっかりする。たまに勝って、選手の笑顔を見られると、疲れが全部ふっとんで芯から幸せになる。こんな気持ち、説明しろって言ったって無理だよ。

佐藤多佳子『いつの空にも星が出ていた』

ベイスターズファンはもちろんのこと、野球ファンなら誰でも共感できて楽しめる内容のはず。日本シリーズに優勝した今こそもっと読まれてほしい一作。

コンビニ人間

コンビニに最適化されてしまった女性を描いた小説。何を言ってるんだって思うかもしれないが、本当にその通りなのだから仕方ない。

社会に馴染めず小さなコミュニティーで生きている人を描く、という点においては『正欲』にも通じるものがあると思う。

芥川賞を受賞している作品を読むのは初めてだったが、かなり読みやすかった。芥川賞初心者向け作品かもしれない。

「気が付いたんです。私は人間である以上にコンビニ店員なんです。人間としていびつでも、たとえ食べて行けなくてのたれ死んでも、そのことから逃れられないんです。私の細胞全部が、コンビニのために存在しているんです」

村田沙耶香『コンビニ人間』

西の魔女が死んだ

名作。昔から名前だけは知っていて、ようやく読めたのが嬉しい。
女の子がおばあちゃんと一緒に暮らす中で、大切なことを少しずつ学んでいく。何かとんでもない事件が起きるわけではないけれど、読み終わった後に「いい小説読んだなあ」って気分にさせてくれる。こういう本は地味に貴重。

「じゃあ、魔女って生きているうちから死ぬ練習をしているようなもの?」
「そうですね。十分に生きるために、死ぬ練習をしているわけですね」

梨木香歩『西の魔女が死んだ』

追加で載っている書き下ろしがまたいい味を出しているんだなこれが。

傲慢と善良

かがみの孤城を読みたいとずっと思っているのだが、なぜか先に買ったのはこっちだった。

今を生きる男性と女性、彼らの結婚観に対する洞察が光る一作。

映画化されているらしいのだが、どう見ても映画向きではない。

成瀬は天下を取りにいく

令和のニューヒロイン、成瀬あかりを書いた小説。いきなり突拍子もないことを言い出して、有言実行してしまう。そんな彼女の周りには気づけば人が集まっていく。

私は成瀬あかり=現代に蘇った岡本太郎だと思っている。
常に今生きることに全力を注いでいるところ、基本的に孤独(だけど後から人がついてくる)なところが似ていると思いません?
多分こんなことを考えているのは私だけですけどね。

ライトノベル

本好きの下剋上

私の2024年の読書を代表する一冊であり、今後の私の人生に影響を与え続けるであろう一作。いわゆるなろう系・異世界転生を読むのはこれが初めてだったのだが、一発目でここまでの名作を読んでしまうとは。

とにかく設定の細密さ、作り込みに驚かされる。ファンブックで読者からの質問に答えるコーナーではその恐ろしさの片鱗を見ることができ、「どこまで考えてるの!?」と思わず言いたくなる。

キャラクターに関してもすごい。リストにしても1ページに収まりきらないくらい数が多いのに、使い捨てのような存在が全くいない。それどころか、一人ひとりで短編が作れそうなくらいにはしっかり作り込まれている。というか主要キャラは一度は短編になってる。

作者の頭の中では一体どこまで具体化されているのか、考えるだけで恐ろしい。「設定考えるのめんどくせ~」といつも思っている私はこの本を読んで反省させられました(笑)

この作品に関しては語りたいことがたくさんあるので、いつか単独でnoteを書きたい。

安達としまむら

最強の恋愛作品。
基本的にタイトルの安達としまむらしか出てこないのが特徴。もちろん他にも登場人物はいるんだけど、あくまで最低限。徹底的に「二人の世界」に終止している思い切りの良さが今作にはある。

二人はただの高校生なので、特別なことは何も発生しない。毎日学校で出会ってちょっとおしゃべりをしたり、たまに駅前のショッピングモールに行ったり。はっきり言って、ほとんど変わり映えのしない毎日が続いていく。

そんな作品が漫画化・アニメ化までたどり着いたのは、単に入間先生の書く文章が神だからである。決して凡人が真似してはいけない。

わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?)

こちらも恋愛作品なのだが、前述のあだしまとは明らかにテイストが真逆。
一癖も二癖もある登場人物、コミカルで勢いのある会話劇、先が読めるようで読めない展開などが今作の魅力。

『安達としまむら』が芸術作品のようなものだとすれば、今作はエンタメの色が強い。これは決して悪い意味ではなく、百合作品ではありそうでなかった仕上がりになっていて、独自性がきっちりと確立されている。

既にアニメ化も決定しているので楽しみ。頼むからささ恋の二の舞にだけはならないでくれ。

涼宮ハルヒシリーズ

現在3作目の『退屈』を読んでいるところ。
読んだことがない人でも名前は聞いたことがある、日本のライトノベル史およびアニメ史を語るうえでは欠かせないレジェンド作品。私はどちらかというと京アニ製作のアニメのイメージが強かった。

しかし、今作はスニーカー大賞で過去10回もない金賞に輝いた数少ないライトノベルであり、その出来は折り紙付き。読んでみると確かに面白いのだ。要するに、もともと面白い原作の持ち味を殺すことなくしっかりアニメに落とし込んだのが京アニなのである。原作を読むことでそれがはっきりと分かった。

マンガ

PLUTO

最近Netflixでアニメ化された、ガチの傑作オブ傑作漫画。

鉄腕アトムの人気回「地上最大のロボット」をもとに浦沢直樹さんが想像を膨らませて再構築した漫画作品なのですが、冷静に考えるとすごいですよね。
だって、漫画の神様の人気作を自分流に描くんですよ? 出来が悪かったら一生後ろ指を差されるし、相当なプレッシャーがあったのは間違いない。

しかし、浦沢さんはやってくれました。
原作が持っていた魅力に浦沢さんの持ち味がミックスし、誰もが認める唯一無二の傑作SFサスペンスが誕生したのです。

もう完結してから10年以上経っていますが、今作が示した深いテーマと問題提起は全く色褪せていない。それどころか、むしろ今のほうが鬼気迫るものとして伝わってくるようにさえ思います。

葬送のフリーレン

アニメが大ヒットし、既に続編も決定している大人気のファンタジー漫画。私もアニメから入ったクチである。

以前に読んだ『海街diary』となんとなく作風が似ている気がする。キャラクター一人ひとりの細かな感情の揺れ動きや、人生のダイナミズムを丁寧に描いているからだろうか。40代から50代に人気があるのも納得の作風。

個人的に、アニメ続編で黄金郷のマハト編が描かれるのが非常に楽しみ。あれはアニメ映えするだろうし、マハトやソリテールにどんなCVが付くのか、今から楽しみで仕方ない。

私の推しは悪役令嬢。

悪役令嬢とか百合とかを脇に置いたとしても、ストーリーがめちゃくちゃ面白い一作。
近年の作品にしては珍しく、同性愛に対する偏見に正面から立ち向かっていく展開にも好感が持てる。

そしてマンガの作画も素晴らしい。巻数を重ねる度にどんどん絵が洗練されているのが伝わってくる。絵もよくストーリーもよくキャラもいい、読んでいて満足感の高い一作。

唯一もったいないなと思うのが、ストーリーが一気に面白くなるのが4巻からなのに加え、人気キャラのリリィ=リリウムが出てくるのが6巻であること。ちょっとスロースターター気味なのである。

君と綴るうたかた

めっちゃ悲しい。とにかくむっちゃ悲しい悲恋もの。
なんだけど、何気に主人公が元いじめっ子という他ではなかなか見られない設定なのも見どころ。

これを読んだあとに君の膵臓をたべたいを読んだ時は「親戚?」って思った。きみすいが好きな方にもおすすめです。

私の百合はお仕事です!

タイトルの通り、ひょんなことからバイト先のカフェで「百合営業」をする羽目になった主人公。そこにはかつて仲が良かったクラスメートもいるし、一体どうなっちゃうの~!? って話。

今作の醍醐味は人間模様。
登場人物の数がやたら多いわけでもないのに、びっくりするくらいドロドロのぐっちゃぐちゃ。たったこれだけの人数でここまでの地獄を描けるのか、と感心してしまうことうけあいです。

日常

京アニによって製作されたアニメがEテレでも放送されたことでおなじみ。

いわゆるシュールギャグ系。人によって笑いのツボが違うので、ギャグ漫画はなかなかおすすめしづらいところがある。

ひとりぼっちの○○生活

今年読んでよかった漫画の中でもかなり上位に入るやつ。
内気な主人公が卒業までの間にクラス全員と仲良くなろうとするお話なんですが、本当にちょっとずつ交友関係が広がっていくのがいい。
いわゆるきらら漫画のニヤニヤとは違うんですが、読んでいて幸せな気持ちになります。

余談なんですが、今作のニコニコ大百科の記事がかなり作り込まれていて、それが興味を持ったきっかけの一つだったりする。
なんだけど、記事内に「display: none;」を使っているせいでGoogleのSEOに嫌われ、普通に検索しても出てこない。悲しいね。

ダンジョン飯

漫画好きなら言わずと知れた傑作ファンタジー漫画。
ファンタジー世界ならではの食材を使って料理をする作品なら、別に今作でなくてもいくらでもある。それならなぜ、この漫画は抜きん出た存在なのか?

それは、ダンジョンやキャラクターなど、世界を構成する要素のすべてが密接に関わり合う、異常なまでに作り込まれた世界観があるからだと思っています。

ただでさえ世界観の完成度が高いのに、それに笑いあり涙ありの冒険譚が乗っかってくるわけですから、そりゃ最高の漫画になるに決まってます。読んでいて信じられない完成度に何度も驚かされる作品です。

あのTRIGGERが初めて原作付きアニメに名乗りを上げたことからもこの作品のクオリティーの高さが分かるでしょう(分かるか?)

インベスターZ

Amazonでいつもセールをやってる漫画代表(だと勝手に思っている)。
作者さんのことはドラゴン桜をきっかけに知っていましたが、まさかこんな漫画も描いていたとは。ドラゴン桜の続編のエンゼルバンクと似通っているところがありますね。

なんでも、投資に関する漫画がなかったから自分で描いてみようと思って描いたんだとか。そういう行動力は大事。

推しの子

最終盤ですっかり炎上三昧になったことでおなじみの漫画。
この漫画の中で私が特に大好きなのが2.5次元舞台編。昔ジャンプで連載してたアクタージュの舞台編が好きだったんですよね。
アクタージュの連載が中止になった後、今作の舞台編を読んだ時は救われた心地になったものです。

ただまあ、舞台編が面白すぎたというか、それを超えるような感動は得られなかったのも事実。長期連載って難しいね。

星屑テレパス

友人におすすめされたのをきっかけに読んだ漫画。きらら漫画の中ではかなりストーリーの比重が強いのが特徴で、先の気になる展開でぐいぐい読ませてくれます。もちろん女の子たちもかわいい。

今作もアニメ化されていますが、悪名高いFOD独占です。あたい許せへん!
……と思っていましたが、ついに2025年から他の配信サイトでも解禁されるようです。やったね。頼むから2期作ってくださいお願いします。

ささやくように恋を唄う

音楽と漫画の相性はどう考えてもよくないですが、今作の場合は逆に珍しいくらいまっすぐな恋愛をメインにすることで成立させた作品。美しい絵柄が際立っていて、ページをめくっているだけで拝みたくなります。

やたら高校生バンドが流行っている時期にアニメ化が決定したのは多分たまたま。製作会社を見て嫌な予感がしたのでアニメはほとんど見てないんですが、評判を見るに正しかった模様。

僕の心のヤバイやつ

こちらもただひたすらにニヤニヤできちゃう恋愛漫画。
ちっこくて陰に生きる京太郎と、背が高くてちょっぴり天然な山田。二人の両片思いの恋愛がちょっとずつ進展していくのを見ると思わず顔が……
みんなも一緒に気持ち悪い顔になろう!

私見ですが、今作最大の魅力は登場する男子高校生の下ネタの生々しさだと思ってます。

魔人探偵脳噛ネウロ

『逃げ上手の若君』がきっかけで松井優征さんに興味を持ったので購入。
松井さんは正真正銘の天才だと思います。

推理モノの皮を被っていますが、その実は犯人だとバレた瞬間に豹変する犯罪者と、謎を求めて縦横無尽に暴れまわる脳噛ネウロを楽しむ作品です。かなり奇をてらった作風なんだけど、決めるべきところはきちんと決めてくる。まさに「邪道にして王道」の教科書のような存在です。

暗殺教室

こちらも松井さんの作品。
聞くところによると、ネウロは子どもたちにさっぱりウケなかったので、子どもにウケるような作品を目指したんだとか。

相変わらず面白い、というかネウロよりこっちの方が好きで、読んでいて「この漫画に学生時代に出会えていたら……」とちょっと寂しい気持ちになってしまった。

金色のガッシュ!!

今作を一言で表すなら「最強の王道」。
ここでいう王道とは、少年漫画の王道。
友情・努力・勝利でおなじみのアレです。

世間一般の人が思う「少年漫画のイメージ」に、おそらくもっとも近い作品なんじゃないかな。
じゃあ平凡でつまらないのか? 滅相もない! 最高の漫画ですぜ!

実は今作、最強の王道少年漫画であると同時に、最強のバディものでもあるんです。
作中に登場する魔物は、人間による詠唱がないと技を発動できない。つまり、必ず人間と魔物が二人一組で行動する必要があるんですね。この組み合わせが多種多様で面白い。絶対に一組はぶっささるバディが見つかることをお約束します。

私の推しはシェリー&ブラゴです。二人の関係の強さは仲間を飛び超えてもはや愛。きゃー。

私は2をアニメ化する前に今作をリメイクするべきだと思ってます。ただでさえアニメの原作不足と言われている昨今。後述の続編が大ヒットしている今作をアニメ化しない理由はないでしょう? 期待しています。

金色のガッシュ!!2

最高の漫画の最高の続編

現在連載中でまだまだこれから続いていくんですが、もとから続編を描く予定だったのか? と思うくらいよくできてます。相変わらずバディの熱い友情を描いたストーリーは健在ですし、独特すぎるギャグもそのまま!

孤独のグルメ

ドラマ版はすっかり年末の風物詩になったけど、そういえば原作の漫画は見ていないな……と思ったので読んでみた。そしたら作風が同じようで違う。根本的に何かが違う!

この違いをがんばって言語化するなら、原作は孤独のグルメの「孤独」そのものが主眼なのに対して、ドラマ版は「グルメ」の方に焦点を当てている、といった感じでしょうか。ドラマに登場するのは実在する店舗なので、当たり前ではあるんですけどね。

なんにしても、ドラマ版しか知らない方はぜひ原作も読んでほしいです。印象の違いに驚くと思います。

弱虫ペダル(2年生編)

以前より1年生編は読んだいた作品。2年生編が期間限定で無料だったので一気に読んじゃいました。

結果、かなり残念な出来。
見どころもなくはないんですが、やってることが1年目と同じ。びっくりするくらいおんなじ。

1年目との差をうまく描写しているところもあるので、わざとやっているのか、ネタ切れしてるのかが分かりづらい。多分半々。

……え、3年目もやるの?

安達としまむら(漫画)

先述のライトノベルの漫画版。実は漫画化されるのはこれが2回目らしい。結果、安達もしまむらもめっちゃかわいくて最高。それどころか途中で出てくる占い師も美人で驚いた。もっとしっかりおばさんだと思ってた。

もともとあだしまは動きの少ない作品で、主人公の細かすぎる感情の動きを追っていくのがメインなので、漫画にするのはかなり難しい作業だったことがうかがえます。本当にお疲れ様です。

声がだせない少女は「彼女が優しすぎる」と思っている

Kindle Unlimitedで3巻まで読めたので。
いい感じにニヤニヤできる作品ですが、SNSで連載された作品が初出なのもあり、作品全体の底の浅さを感じる部分も正直ある。

この漫画を読んでいた時、たまたま後述のサトラレを読んでいたのだが、主人公の持つ能力が対照的で面白い。

サトラレ

架空の病気・サトラレを患う人と、彼らを支える人たちを描いた作品。

前述のこえかのは「周囲にいる人の考えが分かる」能力を主人公が持っていたのに対し、サトラレは「周囲に自分の考えていることが伝わってしまう」のが特徴。
つまりあれか、自分がエッチなことを考えていたらそれが周りに伝わっちゃうのか……それはやだな……と思ったら、まさに第一話で描写されています(笑)

架空の病気をここまで解像度高く描いた作品はなかなかないと思います。サトラレが医者になったらどうするのとか、サトラレノイローゼ(自分はサトラレだと思い込む症状)を患った人の話とか、よくもまあこんなの思いつくよなと。

続編のサトラレNEOも面白いのにまさかの未完。なんでですか!!

好都合セミフレンド

1巻読了。
正直表紙を見た時は「冴えない俺くんが高校に入学早々、クラスの美少女と秘密の関係を持ってしまう……!」みたいな内容だと思ってました。思うよね?

でもこれ百合漫画なんです。素通りするところだった。あぶねえ。
思えば、百合漫画って大抵カップルが表紙に写ってますよね。一人だけしか写っていないから勘違いしちゃったよ。

以上です

これにて終了!
長すぎて嫌になるかと思った!

今年は人生で一番本を読んだ年かもしれません。
というのも、Kindleを本格的に利用するようになったから。
小さな端末の中にたくさんの本を詰め込めるのは、なんだか夢のようでワクワクします。

来年もたくさん本を読んでいたいですね。
それではまた。

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