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【読書録】03.『烏に単は似合わない』(阿部智里)

『烏に単は似合わない』(阿部智里、文藝春秋、2014)

 この作品は人間の代わりに八咫烏が支配する世界という設定の和風(平安)ファンタジーです。この作品は漫画も出ているので、小説はちょっと…という方にもオススメです。かく言う私も漫画を見て好きになりました。なら何で小説も読んだのかと言えば、やっぱり小説でしか描かれていない部分や細かい感情の機微がわかるんじゃないかと個人的には思うからです。

【あらすじ】
 姉の代わりに若宮の后候補となり登殿することとなった二の姫。朝廷での権力争いのために登殿した他の3人の后候補の姫君たちと共に后の座を争うことになる。しかし、様々な思惑が交じり合い事件が引き起こされ……

 読んだ感想、「端的に言って面白い」。作者はこの作品で二十歳の時に史上最年少で松本清張賞を受賞しているそうです。凄いっていう一言しか出てきません。ファンタジーってことさら世界観が大事だと思いますが、しっかりと世界観が作り込まれている作品ってやっぱり面白いんですよね。
 ファンタジーだけど魔法というわけではないので、全体的に鳥形になれるっていう要素がうまく使われていて、事件の真相についても無理がない感じになっているなと思いました。ネタバレになるので詳しい話は伏せますが、何だかんだ4人の姫君のことは嫌いになれないっていうのが私の最終結論です。個人的には北家の白珠ちゃんが一番好きですね。幸せになってくれ……!ってずっと思ってました。

 一番共感できなかったのは実は若宮です。とらえどころがないっていうのもあるかもしれませんが、「そんなに若宮は魅力的な人物なのだろうか」と読んでいる最中ずっと思っていました。八咫烏シリーズとして続きがあるようなので、続きを読めば若宮のこと好きになれるだろうか……

次回読書予定の本

『18禁日記』(二宮敦人)
 もしくは
『やっぱり見た目が9割』(竹内一郎)

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