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ポール・ヴァレリー

「現代思想の20人」という企画で、自選した思想家たちを、少しづつ、読み耽っています。
一人目は「ポール・ヴァレリー」でした。
『精神の危機』というタイトルの文章で、とても有名な人物です。

彼は『テスト氏」などの文学作品、はたまた芸術論と、その発言の幅は振幅が広いのですが、敢えて「文明批判」の部分に焦点を絞って、小生は読み耽りました。

以下、ODFファイルとして「1.ポール・ヴァレリー」と愛された、雑誌「現代思想の109年」(青土社」からの該当者所、コピーと、あとは『ポール・ヴァレリー全集』にあった「知力の危機」という文章の邦訳(桑原武夫訳)を貼り付けておきますので、ご参考になさって下さいませ...。

わたしは「知性の危機」については未読なのですが、第一次大戦後の西欧が被った精神的ショックを筆にしているものと理解しています。
この後、不幸にも人類は第二次世界大戦が勃発を止められず、多くの死者を出したことがら、そこに向けられた、より人間の根源的な闇(哲学的には理性の限界…ないし終焉なども視野に入れた)が、克明に暴き出される戦後思想の波が、ぷスト構造主義という「かたち」で世界を席巻しますが、その萌芽は、早くも1930年代に芽生えはじめました。
※アドルノのホルクハイマーの共著「啓蒙の弁証法」など…
ポール・ヴァレリーの「精神の危機」、その世に問われた出版年代は、同じ一次大戦後に書かれたシュペングラーの「西洋の没落」などと時代的空気を同じくしているものと思われます。
そういった時代的制約がありながらも、当時、西欧(ヨーロッパ)の知性とまで云われた彼が、その時代の空気を以下に吸い込み、何を云ったのか?は、興味深いところではあります。
人は、その人物が、どれほど優れた知性の「持ち主」であったとしても「時代の申し子」であるという制約からは外に出ることはできません。稀に、その制約を突破してしまい、普遍性を獲得していまう「思想家」がありますが、おそらく、ほんの「一握り」の人々に過ぎません。大半の人物は、その時代とともに、役割を終えます。
その点、古典的名著と呼ばれ、未だに読み継がれている人物たちの著作たるや、どれだけ凄いのか…が、薄々と、お分かり頂けると思います。わたしは、今、2024年という、21世紀前半において、前世紀(20世紀)の思想家たちをピックアップする作業を行っております。その大半は、時代の寵児であり、故に、良くも悪くも「20世紀」の人物なのです。
ポール・ヴァレリーなどは、文明批評を読むかぎりにおいては、そういった傾向が色濃く反映している人物であると推察しました。ただし、その知性は一級品です。彼のような知性を、21世紀は、持ちうるのか?は、まだ未知数ですが、ぜひ、それを期待したいところです。

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