Future of Coffee 未来のコーヒーを育む「てんとう虫少年」の記憶
京都の中心部にあり、多くの人が行き交う新京極通り。とあるビルの窓に、てんとう虫が張り付いている! という風の噂、聞いたことありませんか? 実はそのてんとう虫、コーヒーショップ「2050 Coffee」で開催した特別なイベント「Future of Coffee」と関係があるんです。
「なぜコーヒーショップの窓にてんとう虫が?」
その謎解きとあわせて海を渡る物語を紹介したく、今回のイベントに携わったAdamに話を聞きました。
次世代へのバトンを渡す取り組み
ーまず、今回のイベントを企画することになったきっかけを教えてください。
「2050 Coffee」のビジョンは、生産者、特にスペシャルティコーヒーの生産者をサポートすることです。例えばスターバックスのような大手コーヒーバイヤーは、大量生産されるコモディティグレードのコーヒーを多く購入しています。これはコーヒー産業を支える上で欠かせられない消費ですが、私たちは、より品質の高いコーヒーを届けていきたいのです。そのために、未来にわたって高品質なコーヒーを生産できるように取り組んでいるコーヒー農家を応援したいと考えています。
そんな中、エクスポーターのFAF Coffeesを通して、Ferreira(フェレイラ)家と出会うことになりました。彼らはRegenerational(再生的)な農業を実践しているコーヒー農家なんです。環境を維持するだけでなく改善し、次世代にバトンを渡すことを目指している、そんな彼らのコーヒーと想いを紹介したいと考えたことが、今回のイベント企画のきっかけです。
「Sítio Joaninha(てんとう虫)」農園誕生とFerreiraさんの想い
ーイベントに向けて、農園主のValdir Ferreiraさんにインタビューしたと聞きました。Ferreira家の具体的なストーリーを教えてもらえますか?
Valdirさんがまだ生まれてもいない頃、母のMariaさんは、よく農場で彼女の母親(Valdirの祖母)と遊んでいたそうです。当時、農場にはたくさんのてんとう虫や蝶々が飛び交い、その風景はまるで絵本の中の一場面のようだったとか。しかし、あるときから殺虫剤が導入され、これらの生き物たちが農場から姿を消してしまいました。
それからしばらく経って、わかったことがあります。それは、かつて農場にいたてんとう虫や蝶々が、コーヒーの花を咲かせる受粉者としての役割を果たしていたことです。殺虫剤はコーヒーの生産を妨害する虫を駆除するだけでなく、てんとう虫や蝶々など、コーヒー農場を支える生き物も駆除してしまうのです。
ーその後、Valdirさんはどのように農場を改善されたのですか?
農場を引き継いだValdirさんは、「母が幼い頃に見た風景を再び取り戻す」と決めたそうです。除草も手作業でおこない、昆虫や他の生物がコーヒー農園に戻ってくるための自然な堆肥床を用意しました。その後、Valdirさんは受け継いだ農園の名前を「Sítio Joaninha(てんとう虫)」と改名し、今もかつての風景を取り戻すための取り組みを続けています。
ー「Sítio Joaninha(てんとう虫)」という農園の名前には、世代を超えてValdirさんが伝えたい想いが詰まっているんですね。その話を聞くと、今回のイベント名「Future of Coffee」に込めたAdamのメッセージがいっそう響いてきます。
「Future of Coffee」というイベント名には、持続可能性とコーヒー生産の未来への想いを込めました。てんとう虫は、Ferreira家の農園での思い出であり、歴史であり、また農園とコーヒー産業の未来を支えるエコシステムの一部です。
都会の窓を彩った何百ものてんとう虫
ーイベント「Future of Coffee」の具体的な内容や、参加者の反応について教えてください。
イベント期間中、2050 Coffeeでコーヒーを飲んだお客様にてんとう虫のステッカーをお渡しして、それをお店の窓に貼ってもらいました。突然シールを渡されると、お客様は「なぜてんとう虫?」と質問したくなりますよね。そこで、私たちの取り組みやFerreiraさんの物語について話しました。
やはり「コーヒーとてんとう虫が関係していると思わなかった」という反応が多く、一杯のコーヒーの背景にある農家の物語にも感動してもらえたと思います。イベント終了時には、窓一面に何百ものてんとう虫が貼られていました。
ー今回のイベントを通して、チームとして成長できた実感はありますか?
イベントを開催するためのフォーマットを整備でき、チームで成功体験が得られたのがよかったですね。2050 Coffeeでこの規模のイベントは初めてだったので、計画当初は大変でしたが、みんなで協力して、高いクオリティのイベントを開催できたと振り返っています。
個人的にも、とても印象的な経験になりました。特に、店舗マネージャーのKoheiと、山のようにたくさんあるてんとう虫のシールを一つひとつ切りながら、イベントについて語り合った時間はいい思い出です。それと、デザイナーのMizさんが私のイメージを見事に視覚的な表現に落とし込んでくれて、想像のすべてが現実になった瞬間も忘れられません。It's awesome(本当に最高)、と心から言えるイベントだったと思います。
ーお話を伺って、現場の感動が伝わってきました。将来的に、同様のイベントやコラボレーションの計画はありますか?
はい、もちろんです。これからも、直接農家の皆さんと連携し、お客様が楽しめるインタラクティブな体験を提供していきたいと考えています!
ーこれからも2050 Coffee2050 COFFEEの活動が楽しみですね!
今回のイベントの写真や動画、そして今後の活動のお知らせは、2050 CoffeeのInstagramでご覧になれます。面白いコンテンツが盛りだくさんですので、皆様もぜひチェックしてみてください。
■ 2050 Coffee 公式Instagram
https://www.instagram.com/2050.coffee/
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