読書メモ 『小山さんノート』
『小山さんノート』は、東京都内のホームレスの女性「小山さん」が遺した80冊にのぼる手書きノートを書き起こしたものです。
新聞の書評欄を読み、興味本位で読んでみたいと思いました。「ホームレスの残した日記って何を書いているのだろう」「ホームレスの生活は実際どうなのだろう」「どんなことを考えているのだろう」
たまたま地元の図書館のホー
ムページで検索をしたら予約ができたので予約して、借りてきて読みました。
最初は「芝居やドラマになりそうだ」とか「なんだかなぁ」「どうして逃げ出さないのか」など興味本位の薄っぺらい感想で読み進めていましたが、4分の1ぐらい読み進んで、だんだん読めなくなって来ました。なかなかハードな話です。
小銭を拾って感謝する極貧生活。酒とタバコ。暴力を受けながらも離れられない同居人。離れられればまた別の圧力。ノートを持って喫茶店に行き、ノートを書く時間が心の安らぎ。
日本のホームレスの数は、
だそうです。減ったように思っていましたが、まだまだ多いです。ホームレスの実態を知るには、YouTubeが使えます。「ホームレス」で検索するとインタビューする動画がけっこうあるので驚きました。
ホームレスが遺したノートというので好奇心をそそりましたが、これは個人の日記です。個人の日記は備忘録だったり、書き出すことで心を落ち着けたり、読み返すことで元気を取り戻したりするものだと思います。私も非公開の日記を毎日スマートフォンアプリの『100年日記』を使って、その目的で書いています。
小山さんも苦しい生活の中で、ノートに日記を書く時間を作り、自分のために書きました。その時間は貴重な生き甲斐を得る時間であり、ノートは生きる証だったのです。そして読み返して元気を取り戻していたのです。
小山さんが亡くなって、日記は他人が読むことになりました。自分の日記が他人に小山さんをあらわにしたのです。日記の中の小山さんは読んだ人に影響を与えました。影響力が強いので、1冊の本に凝縮したいという思いを何人かが持ちました。そして長い年月の末、やっと出版にこぎつけたのです。
小さな本は小山さんの生きた証として、さらに多くの人の心にいろいろな形で突き刺さり、さまざまな事を考えさせたのです。
●参考