【絶望からの処方箋】おっさんの成長は求められてない
4月になり、銀行からも多数通達が発信された。
毎年うんざりするような量なのだが、楽しみにしている通達もある。
人材教育系通達である。
銀行として、今後どのような人材を求めているのか、どのような成長を促しているのか。
数々の研修や外部出向プログラムが組まれ、会社負担で自身を業務外で成長させるチャンスが散りばめられている。
かくいう私も若い頃よりそのような研修制度や応募型出向には積極的に応募をしてきたこともあり、外部企業での1年出向研修、地銀協研修、海外体験などその恩恵を大いに受けており、銀行に足を向けて寝られない一つの理由ともなっている。
今年も御多分に洩れずワクワクした気持ちでカリキュラムに目を通す。
恐らく他の銀行も同じだと思うが、『スペシャリスト人材』『SDGs』『IT活用・DX活用』『女性活躍』『若手の活躍推進』・・・
この辺りの豊富さは中小企業にはなかなか期待出来ない大企業ならではの恩恵だな、なんて思いながら、今年はどんな成長を支援してもらおうか、なんてウキウキしながらラインナップに目を通す。
無い・・・無い・・・おっさんが申し込めるカリキュラムがない・・・
薄々気がついていた。会社の用意してくれる魅力的な自己成長カリキュラムはおおよそ35歳以下の一般社員か、役職者になりたて程度の若手管理職までにしか用意されていないのである。
あんなに沢山あった集合研修、うんざりする程受けさせられた資格試験。役職がついた直後のマネジメント研修・・・無い。
はっきり言おう。
会社は35歳以上のおっさんに金を掛けて成長を促すことはしない。
「冷たい」「若手ばかりズルい」「おっさんにもリカレントを強要するならカリキュラムを用意すべき」「我々が収益を支えている」「時代の変化に対応出来る様に教育しろ」・・・そんな虚しいおっさんの悲鳴がこだまする。
しかしその声は会社には届かない。
もうそのステージは終わっているのである。
十分にその機会は与えられ、時間は与えられ、資金投資もされてきた。もう初期投資のステージは終わり、資金回収のステージに移っているのである。
時代が変わった、過去に勉強したことは現代には通用しない、更なる勉強が必要だ。こんなことは社会人経験豊富なおっさんなら百も承知であるし、全て事実だ。
それは自分でやれ。会社は金も出さない、業務中に時間も割かない。
それを明確に表す事実として当社では役職者以上の自己啓発は評価対象に入っていない。(自己啓発0点、過程◯点、マネジメント◯点、成果◯点というイメージ)
とある経営者は言った、
「人は35歳を超えると人に言われても変わらない。自分なりの成功体験を積み上げ、勝ちパターンを学んできた自負もある。自分が変わろうと思わない限りおっさんを導くことは不可能である。」
もう素直に認めよう。あなたの成長を会社は支援しない。
身銭を切り、プライベートの時間を割き、古びた脳みそに鞭打って成長をさせるのは自分だけである。
過去の貯金で生きていける時代は終わった。インフレによる貨幣価値の毀損どころの話ではない。貨幣自体が丸ごと変わったのである。大事に貯めたその旧紙幣はもう使えない。
あなたが資産だと誇っている経験や知識は減損対象である。在庫としての価値も無い。
その税務3級、FP2級、宅建士はいつ取得した?ブラッシュアップしてるか?
おっさんの自己啓発は前向きなプラス活動ではない。生きるためのマイナス補填である。
さぁ、諦めて勉強しよう。
以上