等身大の物語と確かな主張『ひたすら会社で働く生き方から降りることにした』(さくら舎)感想。
今日は読書感想文です。書籍はこちら。
簡単にまとめると、ひとりの男性の等身大の物語です。三度会社を辞めて、一度きりの人生を自分らしく生きる。それに至るまでのお話です。
転職、休職、復職などさまざまな経験を経て、最終的に執筆活動、読書、畑での収穫などをされています。
面白い本だったので、感想を書いてみます。
軽く自己紹介すると、30代男性、教員です。メンタルダウンを経験し、3年間休職しました。その後復職し、「5年後も笑って働く」を目標に生きています。よろしくお願いします。
どんな人が書いた本なの?
著者はすずひらさん。
大学卒業後、企業に就職し、その後何回か転職をしながら、36歳のときに会社を辞めるという決断をされています。
2024年1月に『会社を辞めて生き方を変えることにした』をkindleで出版。今回の書籍は、そこに加筆修正をして2024年11月に商業出版されました。
自分は電子書籍を夏頃に読ませていただき、今回紙の書籍で読ませていただきました。
この本の強みはどこなの?
最初にも書きましたが、「等身大の物語」というのが、強みです。
成功者が成功に至るまでのサクセスストーリーが多い中で、試行錯誤しながら、ときに回り道をしながら、自分の人生を切り開くのはとてもリアル。
転職に至る葛藤、職場を変えたらうまくいくんじゃないかと思ったら、だんだんと慣れて印象が変わる、長時間働く中でたまっていく不満、人生を見つめ直したいと思いつつも、踏み出せない一歩。超リアル。
僕はさんざん回り道して、最終的に復職を選びましたが、やっぱり何度も転職を考えました。詳しくは上記のnoteにまとめています。今ではその選択に後悔していませんが、一歩踏み出せない自分にイライラもしていました。
この本の独自性はどこなの?
お母さまの話です。
試行錯誤して、回り道をされたすずひらさんが最終的に生き方を変えた。
その物語をご自身で丁寧に読んでみてほしいので、詳しくは書けません。
代わりに、この間多くの人に共感を得たツイートを
人はいつか終わりがくるし、それはいつ来るかわからないという当たり前の事実。僕たちはそのことを直視するとしんどいので、いろんなもので気を紛らわしながら生きています。(それ自体は悪いことだと思いません)
僕の話になりますが、メンタルダウンして、復職して、わずか1ヶ月で再休職になったとき、ここで終わりだなと思いました。
人生に絶望して、不貞腐れて、クソみたいな時間を過ごした後で、「ここで終わるのは嫌だな」「なんとか立て直さないと」と思いました。
そのときに掴んだ「残りの人生はとことん楽しんでやろう」という感覚、哲学者のハイデガーはすでに先駆的決意性と呼んでいました。
先駆的決意性とは、簡単に言うと「自分の人生を自分で選び取る覚悟を持つこと」です。人はいつか死ぬ、そのことを直視することで、本当に大切なものに気づき、生き方、時間の使い方が変わるというお話。
すずひらさんの書籍を読んで、先駆的決意性について改めて考えました。自分の生き方を他人や世間に流されず、自分で決める。とても大事です。
休職中の人、復職を目指す人でも参考になる?
参考になると思います。すずひらさんは3回転職し、失敗をしながらも、その度にインプットして生き方を見つめ直して来られました。
この本は休み方の本ではなく、復職を勧める本でもないのですが、生き方レベルで見直してみようというアプローチは参考になると思います。
おわりに
すずひらさんの魅力は「等身大の物語」と「確かな主張」だと思います。
僕も発信活動をしていますが、「こう…なんじゃないか?」「経験から学んだ結果、たぶんこんな感じだ」という言葉が多い。一方、すずひらさんはスパッと主張されている。見習いたいです。
ただ、生きること、働くこと、豊かな暮らしについて考え続けているという点については、似ている部分もあると感じています。
これからも応援したいですし、2作目楽しみにしています。
読んでいただき、ありがとうございました。