年収が上がる転職に潜む意外なワナ
具体的な目標もなく”なんとなく転職すればいいことがあるんじゃないか?”と思っている人に対して一番刺さるのが、「市場価値」というマジックワードを絡めた『年収上がるよ』攻撃です。
しかし残念ながら、そんなうまい話はありません。
ちなみに、私がここでいう「年収」とは「年収レンジ」と捉えていただくとしっくりくるはず。
たしかに、年収550万の若手に対して、同じ職種で年収630万でぜひ!というレベルの話はそこかしこに転がっています。
身を置く業界や在籍企業のフェーズ、人事制度の考え方によって差はありますが、年収で数十万から百万前後の話であれば、はっきりいって2〜3年で吸収できるレベルですし、仮に業績連動性が高い仕組みであれば、もう提示額なんてあってないようなものです。
ようするに、このレベルの年収上乗せが主な転職動機だとすると、落とし穴に片足を突っ込んでいる可能性が高い。
私が長く採用や育成をはじめとした人事の仕事をしてきて、伝えるべきだと思っていることのひとつが、この「年収」ではなく「年収レンジ」をどうやって上げていけばいいのか、ということ。
「年収レンジ」とは、500〜600万レンジから700〜800万レンジへ、そこからさらに1000万レンジへ、さらに1500万レンジへ、というザックリとした話です。
本当に目指すべきは、数十万のレンジ内誤差の話ではなく、レンジをステップアップしたいという話ですよね?
もうお分かりだと思いますが、転職で年収レンジが上がることはありません。
これはどの世界でも一緒。
あえてわかりやすい例にしますが、プロ野球の二軍でちょこちょこ試合にでるレベルの選手が移籍して、突然年棒が10倍になって一軍レギュラーになることなんてありませんよね。
それでは、どうやって年収レンジをあげればいいのでしょうか?
シンプルに、今いる場所で成果を出し続けて評価される以外ありえないのです。
それができない人は、仮に転職で同レンジ内数十万の上乗せをゲットしても、新しい環境で収まったレンジの中でくすぶってしまうだけ。
在籍企業の中で力をつけて成果を出し「実力」、「実績」、「人格」、「自信」(私が提案している活躍人材が持つ4つの「JI」)を積み上げた結果、年収レンジもステップアップしていくということなのに、これをただ転職することだけて実現しようとしているのであれば、それこそ大きな間違いであり、落とし穴です。
ちなみに、私の人生における数回の転職のうち、年収が上がったのはたったの1回だけ……当然ながら、それもレンジ内誤差ですね(笑)。
では“本当に転職を成功させる”ためには、どうしたらいいのでしょうか?
私も転職経験者ですから、当事者としても、また人事としても考えるところが多々ありますので。
以降、もし反響があれば、続編をご紹介しようと思います。