「無名の私の作品にも著作権はありますか?」クリエイターの知っておきたい著作権
どうも、クリエイターのパートナーしろしinc.の山田です。
昨日(2021.7.15)、noteさんの主催する安心創作勉強会にゲストとして出させていただきました!
公開からすごく多くのクリエイターさんにご注目いただき、事前質問は350件以上!
僕ってすごい……
わけでは残念ながらなく、この領域の興味関心の高さを感じました。
僕自身「創作」ってものが大好きで、でもだからこそわからないことで躊躇したり、不安で創作の手がとまってしまうクリエイターさんをみるたびに「ぐぬぬぬぬ、、」ってなっていたので、こういった機会でお話させていただけて本当に良かったです!
イベント後
「資料がほしい!」
という声も頂いたので、こちらに画像の形で全て置いておきます。
また簡単な解説もしておくので、「忙しくてアーカイブ動画見る時間ないよ」って方もご利用いただけたらと思います。
そして、こちらのnote内の画像はすべて著作権フリーでご利用ください。
どんな使い方していただいても構いません(がロゴだけはご勘弁を😭)。
画像をSNSでシェアいただいてもいいですし、この画像を改変したものをマンガにしてもらったり、音楽にしてもらっても構いません。
(構いません、というかもしいらっしゃったらただただ嬉しいんですけど😆)
ではでは、本編をどうぞ!
─CM👀─
こちらの内容がもっともっとわかりやすく図解された書籍
「クリエイター1年目のビジネススキル図鑑」
がKADOKAWAさんから出版されました!
法律だけでなく、「税金」「マーケ」「お金の稼ぎ方」「トラブル対応」「独立・法人化」などなど、クリエイターさんに必須のスキルを網羅しました。よかったら、手にとってみてください😊
─CM おわり─
1.自己紹介
なんか難しく書いてますが、マンガが好きでnoteたくさん書いてて、今もっともっと創作が生まれていく世界を創ろうとしているって人って感じです。弁護士資格もありますが、あくまで「ある」だけで、しかもそれが今「創作」を増やすために有益なので使っているという感じです。
本当は難しい話よりも、マンガの話や創作のときの苦労や喜びの話がしたいです。ハンタ好きって言ったら、「私も!」と何人かにコメントもらえて嬉しかったです。冨樫先生と仕事するのが夢ですw
そんな僕はしろしinc.って会社を創りました。
こちらロゴになるんですが、「しろし」「Ciroci」って言葉は日本語なのか英語なのか。どこで生まれて、どんな意味があるのか。
そんな「わからない」「不思議」をそのまま活かし、英語「ciroci」と平仮名「しろし」を同居させ、どんな色とも矛盾しないロゴとなっております。
しろしinc.を設立し、更に多くのクリエイターさん、アーティストさんらと接するうちに、彼ら彼女らのカラフルさがより感じられるようになってきました。そのカラフルをもっと際立たせたい、そんな「白し」という意味もあります。
(かっこよくないですか?)
詳細はnoteにも書いてます
そんなしろしinc.がいつも思っていることはこちらです。
僕らはいつも沢山の「作品」に囲まれています。だからこそ忘れがちなんですが、炎上や誹謗中傷、契約上のトラブルなどから本当だったら生まれたはずの「作品」が失われ続けています。
そんなのイヤだ。
シンプルにそう思います。
だから
しろしinc.という会社は、クリエイターさんと一緒に生まれるはずの「もう1作品」を創ってます!
ここなんで「創る」なの?ミスなの?って思われた方もいるかも知れないんですが、ここかなりこだわりポイントです。
よくクリエイターさんと一緒に仕事をする人たちが
「クリエイターを支えたい」
「クリエイターのサポートをしたい」
って言ってるのをみます。
それ自体は素晴らしいことなんですが、僕がやりたいこととはちょっとだけずれてます。
というのも、なんか一緒に感なくないですか?一歩引いてるというか。。
僕はあくまで自分も、しろしinc.もクリエイターの1人だって思ってます。
そして、しろしinc.があったからこそ生まれた作品。
これはもう一緒に創っているんだ!
そういう気持ちです。
もちろんクリエイターさんへのリスペクトはありますし、なんなら日々ものすごい作品に触れる度「ぐあーーーー」って嫉妬してます(健全なやつです)。
だけど、あくまで対等。上下はない。固定化された支える/支えられるって関係ではなくあくまで相互に「作品」を創りあってる。
だから、しろしinc.では、一緒に仕事をさせていただくクリエイターさんをパートナーと呼んでます。
うん、しっくりくる。
そんな
それは
体制というのは
こんな風に、クリエイターさんに適切な専門家をつなぎ、「創作」がどんどん生まれていく状態を作ることです。
主に会社ではバックオフィスと言われる業務ですね。
このあたりでパートナーになっていただいているのは
『僕のヒーローアカデミア』『ハイキュー!!』などのアニメの楽曲や、『リーガルハイ』『ストロベリーナイト』などのドラマ・映画の楽曲などを手掛ける作曲家、林ゆうきさん
や
YouTubeチャンネル登録者800万人超、TikTokフォロワー日本一のじゅんやさんですね。
他にもいらっしゃいます。
(このあたりはまたまとめてご報告させていただきます)
次に、情報です。
クリエイターさんが知っているだけで、一度考えておくだけで避けられるトラブルがたくさんあるのでインスタグラムやその他のSNSで情報を発信してます。特にインスタなんかは開始すぐに多くのクリエイターさんにフォローいただいて需要の高さを感じています。
他にも
などやってます。
書籍化の話も現実的に動き始めてて、出版のために、日々頑張ってますので、応援よろしくお願いします。(本書くのってほんとたいへん。。みんなすごい。。)
で、最後は企画ですね。
クリエイターさんの創作と今の社会文脈をあわせた企画を仕掛けてます。
こちらもう少ししたらいくつかプレス出します!
過去やったものとしては
短歌の企画
キャラクターの企画
こちらは現在開催中!(2021.7.12-8.12)
良ければぜひ!
などがあります。
そんなこんなで、
しろしinc.でした!
めちゃくちゃ長くなってすみません!
ただクリエイターさんのためになることもあるかなって思うので、ご容赦いただけましたら幸いです。
こっからは著作権の話です。
2.著作権ってなんかモヤモヤする
頂いた事前質問全部読ませていただきました!
総論、みなさんほんと真面目で素晴らしい!
ここまで他の人の創作に敬意を払って、かつ、自分の創作を真剣に考えてるの、ほんといいなって思いました。
ちゃんとご自身で調べて、周りにも聞いてみてってやってるみなさん。ほんとすごいんですよ!ちゃんとまず自分の凄さを認めてください。あなたは偉い!ほんと!絶対しないですからふつうそんな手間がかかること。
他の作品への敬意が質問を読みながらめっちゃ伝わってきました。
でもだからこそ、混乱しているところもよくわかったというか...。
おそらく皆さんこんな風になってるのではないかなと。
著作権に限らずあらゆる法律というものは、こんなふうにはっきりと「だめな話」「OKな話」が白黒分かれている。
そう思ってませんか?
それ残念ですが違います。
どうですかね?
ビックリしました?
ほんとこんな感じなんですよ。
世の中に正解・不正解がないって言われますが、それは法律の分野でもそう。人間が創ったり使ったりする以上曖昧な部分というものは必ずあります。
しかもですね
昨日絶賛されていたものが、急に今日ダメになる。
そんなことが普通にあります。
こういうお話をすると
って言われます。
ココの部分ですね。
でもちょっと考えてみてください。
作家さんを多く抱え、色んなクリエイターさんが生まれる土壌になってます。
同人誌(≒二次創作)は、普通に考えたら原作の著作権を侵害しています。それもめちゃくちゃ沢山の権利を。だけど、それが黙認されているということから今のような文化が醸成されたとも言えます。
法律NGだから、絶対にやっちゃダメ
そういい切れない部分がここにあります。
一方で
ともいわれます。
ココの部分ですね。
でも思い出してみてください。
意見が分かれるところでもあると思うんですが、著作権を侵害していないという専門家も多いです。
こちらは法律的なNGというよりも、いうなれば「空気感」的にNGとなった事案と言えます。
めっちゃわかります、そうなってしまう気持ち。
これ正直クリエイターさんだけじゃなくて、専門家の人もこうなってます。え、まじで何その限界事例・・・みたいに悩んだりしてますね。
だからこそ過去の判例とか調査して、ある程度の線引をしにいくんですが、世の中の空気感を読み切るのは正直めちゃくちゃ難しいです。
法律の話だけでなく、今のSNSや世論みたいなところも付言してアドバイスくれる弁護士さんにあたったらその人めちゃくちゃ当たりなので大切にしてあげてください。
さて、とはいっても実際に創作をしていくわけで、ここで立ち止まるわけにはいきません。
まずできることは、今回の自分の創作は、法律的にどこの部分に当たる(可能性が高い)のかということを理解しておくことです。
空気感は一旦置いておいてください。順番が大事です。
と
この2つは明らかにその後の対応が変わります。
前者の場合はOKであることを前提にそれをしっかり伝え、続けることもできるし、OKであることを伝えつつも、取り下げることもありえます。
後者の場合は、あらかじめ法律的にはNGだから、何かあったらすぐにでも取り下げようと決めてから発信することもありえます。
たとえばファンアートですね。
原作者の方が黙認してくれてるから許されてるけど、ご本人がやめてくれといったらちゃんとやめることも予め考えておく、それが大切だと思います。
大枠の考え方が整理できたかなって思うので、ここからはもうちょっと具体的に著作権の話に入っていきます。
3.著作権の話
これ自体が100%正確ではないのですが、こんな感じで頭の中を整理したらいいのではないかなって思ってます。
まず、利用しようとしているモノが「著作物」にあたらないのであれば、話は終わりです。その利用に際して著作権の話は出てきません。
「著作物」にあたると、基本的には利用する際権利者の許諾が必要となります。ただ、例外的に許諾なく利用できる場合があります。
(より厳密に言うと、著作権は利用を禁止できる行為を個別に列挙し、そこにない利用方法は侵害になりません。が、クリエイターさんの利用は通常禁止された行為の事が多いのでそちらにあわせて説明しています。ご了承ください)
なので
の2つが判断できるようになると、途端に著作権の世界が拓けてきます。
では、著作物にあたるか?のはなしから。
法律の文章ってわかりにくいんですが、実は対象となっている条文自体はそんなに長くないです。
また法律のはなししているときは空中戦になってしまいがちなんですが、条文からみていくと、「ああ、なんだここの話をしているのか」と腑に落ちることも多いです(ちなみに僕はこの事実事に気づくまでに3年の月日を費やしました・・・)。
なのでちょっと面倒でも条文をみるのがおすすめです!
で、その条文を上げると
ですね。読みにくいですよね。なので、
という4つが大切だとわかります。
これらすべてを満たす場合、「著作物」にあたるということですね。
これは反対からいうと、この中の1つでも満たさなければ「著作物」にあたらない。つまり、著作権の話が出てこない、ということになります。
著作物にあたらないものを、こちらの条文から書いてみると・・・。
こんな感じになります。
たとえば①の「思想又は感情」ですが、これは人間のなんらかの精神活動の所産であればよいとされているので、サルが自分で自分を撮った場合の自撮り写真は著作物にあたりません。同様にAIが絵画を描いた場合なども著作物にならないです。
他にも単なるアイディアは著作物にならないこと、ありふれた表現(おはようございますとか)もならないことなどがあります。
こんな感じで、そもそも「著作物」にあたらないものがあるってのを知っておくのがオススメです。
では次に、著作物にあたるとしても、利用できるような場合にあたるか?
今回はその中でも
に限ってお話します。
では、先程同様条文から見ると・・・
ですね。これを
①②が問題になることはないので、
このあたりが重要になってきます。
「え、公正な慣行ってなに?」
「正当な範囲ってどうやって決まるの・・?」
となると思います。
さて、思い出してください。
著作権に限らず法律も
です。わかんないですよね。。
判例は引用としての利用にあたるかは、利用する側の利用の目的のほか、その方法や態様、利用される著作物の種類や性質、利用される著作物の著作権者に及ぼす影響の有無・程度などを総合考慮して判断される、といってます。
・・・わかんないですよね。
もちろんここから常に考えて引用を検討するのが最強で最高です。ただ、そこに時間をとられすぎるのも創作が進まなくてなんか違うなって思ってます。
なので、今回noteさんのイベントだってことで、noteでの引用方法の例示だけは共有させていただきます。
これで問題が起きたときはお気軽にご連絡を。。
なんとかします。
それは、こうですね
デジタルじゃない物があるものから引用する場合は、写真や文章の打ち込みをnoteに貼って、文章のときはnote機能の「引用」をつかいます。そして、そのしたに「著作者名、書籍名、ページ数」を書きます。
(Kindleとかも同じように考えてもらって大丈夫です)
URLリンクがあるものは、スクショorURLの埋め込みをして、その下にURLを記載します。
もちろんこのやり方に限った話ではありません。ほかの引用でも問題ないですが、一サンプルとしてご利用いただけたらと。
これを全部満たしたら絶対OKなのか?
といわれたそんなことないです。
たとえば、noteの中で他の人のマンガのスクショを全部貼って、さいごに「おもしろかった」とだけ書いたものが引用と言えるかというと言えないです。
そこはやっぱり「公正な慣行」と「正当な範囲」か否かを判断していくことになります。程度問題なのではっきりとは言えない部分です。
自分としては「公正な慣行」「正当な範囲」で引用したと思っているが、相手はそう思ってない時に問題になります。正解はありません。そういうときのために専門家がいるのでカジュアルに頼ってみてください。
もっというと、そういう事案があったときオープンに対話がなされるといいと思っています。攻撃的になるのではなく、「これみんなはどう思う?」って引用した人引用された人双方が仲良くみんなに聞いて、知見が溜まったり共通見解が出来たりする世界がいいなって思ってます。
今回は著作権の話で、特に著作物の利用の場合が主だったので、引用する人に注目して話をさせてもらいました。
ただ、もちろん引用される側、もっというと、自分の作品を使われるクリエイターさんもいるわけで、そっちの人を軽視しているわけではありません(当然です!)。
引用するクリエイターさんが、元の作品に敬意を持つことはあたりまえなんですが、引用される側のクリエイターさんもこれから生まれる作品に敬意をもってもらえたらすごくいいなと。そうして創作がどんどん生まれていく世界をみんなで創って行けたらいいなって思ってます。
4.おわりに
イベントで頂いた質問の中に下記のようなものがありました。
無名の私の作品にも著作権はありますか?
イベントから一晩経って、この言葉が頭から離れません。
法律に関わる者として、ある種の敗北だったじゃないかなとさえ思ってます。
この質問をくださった人は、自分が創ったモノは、他の人が創ったモノより価値がないと考えているのかもしれません。
ただ言わせてください。
絶対に、そんなことはありません。
あなたの作品は、当然に著作権があります。
社会的に(まだ)評価されてないことをもって、あなたの「作品」の価値が下がるわけではありません。
あなたが創ったモノのおかげでこの世界は豊かになりました。それはちょっとだけかもしれないですが、あなたの作品がある世界とない世界だったら、ある世界のほうが絶対にいい。
それを忘れてほしくないなって思いました。
今回の話やこのnoteで、みなさんが少しでも「創作」に前向きになり、作品が生まれたら最高です。
ご清聴ありがとうございました!!
クリエイターさん向けの発信をしていますので、ツイッターフォローしてもらえると嬉しいです😊
最後にもう一度
こちらの内容がもっともっとわかりやすく図解された書籍
「クリエイター1年目のビジネススキル図鑑」
がKADOKAWAさんから出版されました!
法律だけでなく、「税金」「マーケ」「お金の稼ぎ方」「トラブル対応」「独立・法人化」などなど、クリエイターさんに必須のスキルを網羅しました。よかったら、手にとってみてください😊
─おわり─
この記事が参加している募集
ここまで見てくださるなんて...ありがとうございます!! SNSに書かずnoteだけに書くことも多いので、フォローしておいてもらえると嬉しいです!