『「若者」をやめて、「大人」を始める』元アニオタ精神科医が語る!CLANNADは人生か?
タイトル買いした一冊。
43歳の精神科医・熊代亨さんによる「『若者』もいいが、『大人』も悪くないぞ」っていう本です。
「若者」から「大人」への過渡期である20代〜30代を、楽しく過ごすヒントを教えてくれてます。
隣の芝生はずっと青い?
ほんとにね、20代~30代ほど、日常激変イベントを迎えがちな年代はないと思う。就職、結婚、その他いろいろ。
いろんな人生がありますが、自分の思い描いた人生を進んでいても、隣の芝生は青く見え続けることに絶望しません?
今の仕事に満足していても、仕事でバリバリ活躍する友人を見れば焦るし。結婚願望のある独身は、恋人と仲が良くても、周りの人が続々と結婚すれば焦るし。なんかずっとつらい。
幸せそうに見える人も自分とは別の悩みを抱えていて、結局みんな何かしらつらいってわかってくるからこそ、これからの人生に不安を抱えながらも頑張っているのが、20代~30代なのかなって。
「若者」でいることに、いつ限界を感じるのか
この本の何が良いかって、著者が「若者」であり続けることの限界を感じた体験談に、人柄が透けて見えるところ。オタクらしいぞ……?
ひとりの精神科医として、ひとりの家庭人として、やるべきことが増えるにつれて、遊んでばかりもいられなくなってきました。私の世代のオタクの常として、ゲームだけでなく、アニメやライトノベルなども私はひととおり楽しんできましたが、それらを全部、いままでどおりにたしなむのは、時間的にも体力的にも不可能だと悟ったのです。
これは平成のオタクたちに向けたメッセージなんだけど、「CLANNADは人生」についても語ってます。ビビッと来た平成のアニメオタクはぜひ読んでみて。
価値観の転換をいつ経験するか
オタクでなくても、みんな何かしら熱中してたことってあると思うんです。
それが、立場とか体力とか、自分を取り巻く色んな要素が変化することで、好きな気持ちは変わらなくても、若い頃と同じだけの熱量で接するのが難しくなっていく。
でも「大人」になるにつれて、価値観という土台自体が転換する瞬間がある。自分以外の変化も楽しめる視点が増えて、「大人」も良いもんだと思えるようになるらしい。
同年代で生き生きと活躍している「大人」は、多かれ少なかれそういう風に見える、著者はそう語っています。
「大人」の楽しさを語る本ではあるんだけど、各人が「大人」になるタイミングを自分で決められるようになった現代、自分は、いつ「大人」になるべきか?を考えるきっかけをくれる、そんな本。
「若者」と「大人」の境目でモヤってる人、必読です。
■他にも、おすすめ揃ってます!
・『実存主義とは何か』――戦後、文化的な事件といわれた哲学者サルトルの名講演を収録。不安な時代を生きる若者に読んでほしい1冊
・『明け方の若者たち』カツセマサヒコ――20代の葛藤と、かけがえのない思い出。何者かになろうともがく青春小説
・『ひきこもり図書館』――古今東西、ひきこもりについての作品を集めたアンソロジー。星新一や萩原朔太郎など、豪華ラインアップ