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【冬におすすめのマンガ】北欧貴族と猛禽妻の雪国狩り暮らし
冬にあったかい部屋で読むのにおすすめしたいマンガを紹介します(具体的なことは書いていませんが、ややネタバレっぽい内容かもしれません)。
北欧の雪国の暮らしや民俗学に興味のある方は楽しく読めるのではないかと思います。全10巻を一気読みしたので、感想を共有したいと思います。
【本日ご紹介するマンガ】
『北欧貴族と猛禽妻の雪国狩り暮らし』
白樺鹿夜 (著)、江本マシメサ (著)、あかねこ (その他)
辺境伯爵×元軍人
“お試し婚”から始まる狩りと美食のスローライフ!
極寒の地を治める陽気な貧乏貴族・リツハルドと、
“紅蓮の鷲”の異名を持つ元軍人・ジークリンデ。
とある夜会で一目惚れ&そのままプロポーズしたリツハルドに、
ジークリンデが提案したのは一年間の「お試し婚」!?
狩猟や料理に伝統工芸品作り…
慎ましくも穏やかな雪国暮らしのなかで、少しずつ、
でも確かに距離を縮めていく二人は、果たして本当の夫婦になれるのか?
大自然が見守る、不器用だけど愛おしい“お試し夫婦”の恋物語――。
江本マシメサ・デビュー作にして「第3回なろうコン」金賞受賞作、
満を持してコミカライズ!
『北欧貴族と猛禽妻の雪国狩り暮らし』がよかった5つのポイント
1.イラストの美しさ
異文化のマンガを読む時にイラストの美しさや緻密さは個人的には重要な要素です。ゴールデンカムイや乙嫁語りなどは、イラストの美しさが物語の魅力をさらに引き立てていると思うのです。
知らない世界を想像するのは限界があります。例えば、北欧の民族衣装を想像してくださいと言われても、そもそも知らないので想像のしようがない。
マンガのいいところは、言葉だけではなく、イラストで情報を得られるところだと思います。
個人的には、この作品にはトナカイや犬をはじめとした動物がちょくちょく登場するのですが、動物たちのイラストが愛らしくほっこりします。
2.夫婦としてのあり方
一目惚れから始まり交際期間がないまま、夫婦生活が始まる主人公たち。主人公・リツハルドの住む辺境の村に向かうシーンで、途中の休憩処で食事をするシーンがあります。
主人公のジークリンデは「とても美味しい」と、なんの抵抗もなく食べました。
その後、ジークリンデを追ってきた元同僚が村に向かうシーンがあり、その時に同じ休憩処で食事をします。出てきた料理を食べる際あきらかにまずそうな表情をするという描写があって、ここではっとしました。
新しい土地、新しい人間関係、新しい環境、新しい文化、新しい食生活など、これまでとは違った生活を受け入れようとする姿勢。それは相手の生き方やこれまでの人生を尊重することなんだなと。
主人公・リツハルドも決して押し付けることなく、無理をさせないように優しく(時に弱気なぐらい)相手のことを慮る。
この関係が夫婦の在り方として素敵だなと思いました。
他人同士が一緒になれば、自分の気持ちや考えを押し通しわかって欲しいと思う時もあるだろうし、相手の気持ちを確認せずにわかった気になってしまうときがある。その結果、すれ違ってしまったり、気持ちを抑圧したりと関係にヒビがはいることもある。
私自身、過去、そうやって失敗して大切なものを失ったことがあるので、この二人のような気遣いや思いやり、本当の意味で相手を大切にするということをできるようになりたいなと思いました。
3.家族や地域の人との関わり方
それぞれの家族がかなり特殊な人たちです。特にリツハルドは貴族なのに、両親が変わっていて少し特殊な家庭環境で育ちます。その家族との関わりが、巻を追うごとに濃密になっていき、祖父の視点、母の視点、父の視点で考えてしまっている時がありました。
村でも、最初は村の外から来た人を異端者のように扱い、なかなか受け入れてもらえない状況でした。
でも女性同士で結束したり、日々の交流を重ねる中で、人と人の関係が温かくなっていく様子に穏やかな気持ちになりました。
人と人との関係は、時間をかけてじっくりと醸成していくものだということを感じられる作品です。
4.他民族の風習や文化を知る
その土地ごとに「暮らし」があります。
日本国内でも、エリアや都道府県によって、風習も食文化も言葉(方言)が違います。
マンガを通じて、他の国の風習や文化を知れることはとても知的好奇心を刺激されます。
この作品の舞台は北欧なので、昼間の時間がとても短い。かと思えば、白夜の時は夜でも暗くならない。その中でも季節が巡り、季節ごとの楽しみ方や旬がある。
北欧といえば、夜の時間が長いからこそ、おうち時間を充実されるためにファブリックや器、デザイン性に優れた家具などが発展したことは有名です。
この作品では、冬の迎え方や手仕事や保存食の作り方など、人々の営みの様子が、とても丁寧に描写されています。
5.幸せのかたち
この作品を読んで感じたことは「足るを知る」ということです。
常にたくさんの情報が溢れ、仕事に追われる毎日。休日は疲れ果てて、休むことで精一杯。新しい技術を触り、新しい商品をみては欲望が刺激される。
決して今の生活に大きな不満があるわけではないけれど、そのまま年をとっていくのだろうか…と思うこともある。
何を大切にしたいのか、どう生きたいのか。
1日1日を大切に過ごすことのかけがえなさであったり、幸せとは何かということを考えさせられました。
幸せのかたちは千差万別でみな違う。
画一的な幸せのかたちはない。
自分の幸せのかたちはまだ明確にはないけれど、探し続けたいし、見つけた時にはその幸せのかたちを実現したい。