![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/162980507/rectangle_large_type_2_cc06041801539e93659e6658c1a64136.png?width=1200)
小説『ウバステ(真梨幸子)』のブックレビュー〜人生の終わりと老いについて考える〜
どんな人生の終わり方が理想ですか。
本屋で帯に書いてあった「孤独死って、案外、幸せじゃない?」の文字がバッと目に飛び込んできた真梨幸子(まりゆきこ)さんのミステリー小説『ウバステ』。
一気読みするほど非常におもしろかった。心と頭が衝撃を消化できずに、読み終えた後はしばらく寝付けなかった。人生の終わりかたを考え、老いていくことにどう向き合うのかを終始考えさせられました。さらに女性特有の人間関係や心理描写も鮮やかに描かれた1冊です。
![](https://assets.st-note.com/img/1732363632-v2qO5UKBkJZYuy1oNA4LXDlV.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1732363646-XJ6FzxVsKibkgpjS7Y4Mal1q.jpg?width=1200)
私は35歳までにご縁がなければ子どもを産まない人生を選択しようと30歳を過ぎたタイミングで決意し、実際に35歳を過ぎてから婚活から終活に意識を切り替えました。具体的には、お金や老後の住居、健康のことを考え始めるとともに、エンディングノートを書き始めています。(私はEDiTのエンディングノートを使っていますが、現在は販売終了になっていました)
最近、働き方についても考えることが増えました。毎日15時間前後働く生活で日によっては午前様。いつまでこの働き方ができるんだろう。体力が落ちて、老眼などの加齢が進み、更年期の症状も出てくること思うと、今のままでいいのかな。そんな疑問が頭をよぎる。人生は長いようで短い。
本書の前半では、年金の受給タイミングについて書かれています。年金は65歳から支給されますが、希望すればもらえる金額は減るが60歳からもらうこともできます。逆にもらう年齢を遅くすればするほど、支給額は増える。自分の寿命がわからないから悩ましい問題だなと思う。
また、行旅死亡人(こうりょしぼうにん)についても言及がありました。少し前まで、行旅死亡人という言葉を知りませんでしたが、YouTubeきっかけで知った『ある行旅死亡人の物語』という本が手元にあります。こちらの本も読了後に感想を書きます。
行旅死亡人とは、日本において、行旅中死亡し引き取り手が存在しない死者を指す言葉で、行き倒れている人の身分を表す法律上の呼称でもある。また、本人の氏名または本籍地・住所などが判明せず、かつ遺体の引き取り手が存在しない死者も行旅死亡人と見なす。
家族がいたとしても、身元不明の死に方をするれば「行旅死亡人」になるそうです。行旅死亡人で検索をすると、市区町村のホームページが検索結果に出てくるのがリアリティあるなぁ…と思いましいた。
遺言書や成年後見人の話も出ており、これからそういったことも考えた方がいいなと、老後を見据えてのヒントを得ることができました。
自分の祖父も父親も認知症。身近で見ているからこそ、病気よりも認知症がこわい。遺伝を考えると、成年後見人は早めに決めておこうと、『ウバステ』を読んで強く思いました。
最後に、本書で始めて知った言葉が「托卵(たくらん)」。偶然にもこの本を読んだ直後にnoteのおすすめに下記の記事が出てきて興味深く拝読した。
「人生は長いようで短い」と上記に書いたけれど、短い人生の中でもいろいろなドラマが起きている。秘密を抱え、過去を思い出し、将来を思いながら生きている。自分が思いもしなかったところで、他者との意外なつながりに気づくこともある。心はいろんな感情が芽生え、それに一喜一憂する。
本書を読んだ直後は内容のおもしろさとミステリー特有の読後感、興奮のような心がわき立つような気持ちだったけれど、こうして読後の感想を落ち着いた気持ちで書きながら思うのは、ひとりの人間の生涯はとても尊く愛おしいということ。誰もが自分の人生を精一杯生きている。いろんなことと向き合いながら。
おひとりさまとして生きる私は、自分の人生を愛し日々に感謝しながら、自分にもしものことがあった場合の準備を着々と進めていきたいと思う。