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フランス映画:すべてうまくいきますように

誰かが言っていた。
アメリカ映画は男女が結ばれるところで終わり、
フランス映画は男女が結ばれたあとからはじまる。

首を縦に(インド人なら横にw)100回ふってもいい、同感だ。
恋愛もの以外のミステリーものでも、謎を解き明かしてハイ終了、
ではなく、その深層心理ややるせなさに余韻を残す物語が多い。

以下、ネタバレを含みますので未見の方はご注意ください。


すべてうまくいきますように

(あらすじ) 父が脳卒中で倒れたの報を受け、病院に駆けつける姉妹。
老人リハビリ病院での介護にとまどう中、離婚(別居中?)の母や、もとBF(父はLGBTだった)が見舞いに訪れる。やがて体の自由がきかなくなった父から、フランスでは法律違反の”尊厳死”を嘆願される…

長女役は1980年代青春アイドルだったソフィ・マルソー。
父のワガママに一緒に寄り添い、終活問題にむきあっていく。シワや老眼など年齢相応に老けたが、中年になってもどこか可愛らしい。ずるいわ。

13歳当時のソフィー

一瞬だけ登場する、母役シャーロット・ランプリング。硬度ひんやりの印象。
スイスの尊厳死専門病院のコーディネーター役に、ドイツの名優
ハンナ・シグラ。交渉時にホテルのカフェを指定し、その美しい壁一面のアルプスを背景に、無言の圧をかけてくるところ。優しそうで恐しかった。

20代のシャーロット・ランプリング:妖艶と気品

そして、暗く重い問題をあつかいながら、フランソワ・オゾン監督ならではのブラックユーモアや、くすりと失笑させられる会話、死ぬ前に絶対食べたいもの、室内美術の美しさ、等など、おかしくて悲しくてせつなくて胸アツの作品でした。
原作は「スイミング・プール」脚本家エマニュエル・ベルンエイムの自伝的小説。エピローグで長女エマニュエルが執筆するシーンがはさまれていた。

すべてうまくいきますように:ペンとインク壷

Everything went fine すべてうまくいきますように
2022 フランス
監督・脚本:フランソワ・オゾン
出演:Sophie Marcear ソフィ・マルソー、Geraldine Pailhas ジェラルディーヌ・ペラス
★★★★ 4/5


関係ないオマケのつぶやき:


1.少女漫画のタイトルみたいなクサイ邦題つけたの、だあれ?
 と思ったが、英語原題の翻訳そのままだったのね、失礼しました。
 かんにんやで
2.亡き母と某放送局「尊厳死ドキュメンタリー」を観たことがあり、
 そのシステムや希望者の周辺については予備知識をもっていた。
 希望者は自らにピリオドを打つ強い意志をもつ。
 しかし、希望者とその家族の関係性が深ければ深いほど別れがつらい。
 映画では、尊厳死の最期をさらりとあっけなく描いており、我が母ならどんな感想を寄せるか聞いてみたかった。もうかなえられないけれど。


フランソワ・オゾン監督の次回作


苦い涙 めっちゃ愉しみだ。







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