中国料理の世界史、世界の台所探検、インドネシアの家庭料理。2022読書はじめ
2022年は食にまつわる書籍から。
表紙の装丁と,本文のデザインが全く異なる三冊。タイトルや帯や写真など第一印象が本当に大事なんだな,と痛感させられる。
世界の台所探検
世界の台所探検家と名乗る筆者は,もと国際インターンシップでアフリカ・ケニアへ,現クックパッド所属。なるほど訪れる国や地域が世間一般と異なるのが面白い。台湾やパリやニューヨークの台所は載っておらず,ヨーロッパ大陸ならブルガリアやコソボ、アフリカ大陸ならスーダンやボツワナの路上台所で一緒に弁当作って売った話、中南米のキューバでの配給制など,滅多に経験できないエピソードばかりで,読んでるこちらも台所探検のお供をさせてもらった。
さて,レシピに登場するのはリュテニツァ,スィニア・ダジャージ・オ・バタタなど舌を噛みそうな名前,食べたことも聞いたこともない家庭料理だ。
秀逸なのはイスラエルでユダヤ教の安息日にお邪魔するくだり。
そして、その翌週訪れた隣国パレスチナ・キャンプのおうちでは、なんと調理中に停電が起こるのだが、その災いが奇跡のように素晴らしいチキン料理を仕上げるのだった。まさに筆者の実体験の言葉とおり、料理から暮しと社会がみえる。
“台所には
生きるすべてが詰まっている。”
表紙装丁からはリアリズム現地写真の面白さやコラム頁や扉の可愛いデザインが生かされてないのが,惜しい。青幻社IGから、ぜひ表紙以外の頁を味わってほしい。
中国料理の世界史
美食のナショナリズムを超えて と副題にあるが,こちらは学術的な研究書物。中国料理から世界文化史を論ずる一冊だ。
中国大陸の「開放・改革」時代前には,中国料理も千差万別であり,確立されていなかった。中華人民共和国の誕生により「中華料理」が統一され,アジアはもとより世界各国に散らばった華人たちが広めた料理が現地でカスタマライズされ,シンガポール料理や台湾料理などに変化していく様が面白い。 日本でも餃子やラーメンはもはやオリジナルとは異なる食物であるし,中国が帝国だった時代にこそ,民間人が伝えた地方料理が諸外国で国民食になり,中国料理の世界的な普及にひと役買ったのは間違いない。
細かい文字で記された564pの大作,以下の四部に分類され,そのうえ註が67pもある。
第一部.中国・台湾
第二部.アジア
第三部. 西欧
第四部. 日本
驚いたのはマレーシアで人気の串焼き料理サテSatayのアジア波及の話。やはり、おいしいものは海を越え民族を超え、愛されるのだ。
出てくる料理は数えきれないが、頁をめくるごとに腹の虫が鳴ってしかたなかった。
インドネシアの家庭料理
こちらは インドネシアの首都ジャカルタに住まった日本女性たちが中心となり自費出版した料理本。その収益を現地のストリートチルドレンたちの支援にまわす,という趣旨のもと,集まった13種類の家庭料理レシピ集。日本で入手困難な食材もあるが,やる気さえあれば家庭でも調理できる内容だ。
Amazonにも書店にも売っていない本:興味のある方はジャカルタ・ジャパン・ネットワーク へコンタクトしてみるといいだろう。
ごはん とは 全世界共通のうれしいこと・しあわせなこと。食卓 とは ふだんのみんなの笑顔が集まる場所である。
2022年 ごはんを,食卓を,もっと大切にしよう。
と,宣言しておく。
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