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マジか?テアトル梅田閉館だって。ジェラール・ドパルデューに心を射抜かれたのはここだった。

ジュラール・ドパルデューとギョー・ドパルデュー
彼らを知ってる??
ハリウッド映画が好きな人、というよりフランス映画に興味ない人は、全く聞いたこともない、
誰それ?何モノ? っていうぐらい無名な人達。

実は父と息子やねん
って名前でわかるよ、それくらい。
あーそうやね。でも息子が37歳の若さで亡くなり、その葬儀では当時のフランス大統領も花をたむけた逸話や、父はすでに100本近くフランス国内外の映画で主役を務めるフランス随一の名優だ。勲章授賞者だなんて、知らんでしょ。日本では全くイケてないジュラールを、熊のようにずんぐりした彼を、一時期私は推し>ていたのだ。

しかし、千載一遇のチャンスで、6月と7月、別々の映画館で銀幕で輝く彼らを観た。


以下ネタバレを含みます。未見の方はご注意ください。

ポーラX

真紅の河が血の濃さを暗示

監督:レオス・カラックス 
  フランス/ドイツ/スイス/日本 1999
出演:ギョーム・ドパルデュー、
  カテリーナ・ゴルベワ、カトリーヌ・ドヌーヴ  ★★★★△ 4.5/5

これはギョームのための映画、破天荒なギョームのだからこそ何をやっても輝き許される。
名門・裕福・イケメンの高スコア男が人生踏み外していく様を、カラックス監督お得意の闇と転落ましっぐらに描いている。
可愛い婚約者、美しく優雅な母親、自由と執筆家としての才能にも恵まれ、陽光がまぶしく満ち足りた前半。そして真逆の後半では、異母姉の出現と近親相姦への葛藤、体制への反抗と自我、反社会派のアジトと騒音楽、元婚約者の自殺未遂、貧乏と借金返済に追われとうとう精神的にもぎりぎりまで追い詰められる。

幾多の悪夢が重なり現実に。色調は灰色で室内は薄暗く、外は冬の曇り空で昼でも陰気で、隠れ家の寂寥感、爆音、孤独が寒々しく痛い。どこか死の影がつきまとう。
とくにバイクで母親が事故るシーンは、ギョームが現実ににバイク事故が元で脚を切断しているため、観るのがしんどかった。やったらあかん、危ない、誰かとめて! と物語の進行とは関係なく心臓ばくばくだった。

レオス・カラックスは6作品しかないので未見はあと一作、「汚れた血」再映も良かった。

ギョームとカトリーヌ・ドヌーブ。
カンヌ映画祭プレミア上映時
(写真張替ました)

終電車

楽屋鏡の演出がニクい

監督:フランソワ・トリフォー  
 フランス 1989
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、ジュラール・ドパルデュー、
字幕:山田宏一

★★★★☆ 4/5

名前はよく聞くが、初めて観た旧作。
カトリーヌが30代の女優で、ナチス侵攻のため身を隠すユダヤ人の夫・劇場主(演出家)に代わって座長を務める。
ジュラールはカトリーヌの相手役として抜擢された新人男優。演劇の脚本と同じく、雇い主の人妻(カトリーヌ)に惹かれ恋に落ちるのだ。演劇では結ばれる二人だが現実の結末はいかに。また、ジュラールはアルチザン活動もしており、仲間との連絡橋渡し時の引き締った表情、仲間の逮捕場面など手に汗にぎる。さらに、演出家の夫は地下室に隠れており、若手男優への嫉妬や閉じ込められた窮屈さには、戦時中の一髪触発の緊迫感あった。脇役にはLGBTや裏切者や勝者に擦り寄る者など曲者揃いで、人物描写も面白い。

それにしても、カトリーヌ・ドヌーヴ美しい。

6-7月たまたま見た洋画三作品で、my“ドヌーブ特集。ダンサー イン  ダークで移民の労働者、名門家のマダム、女優兼座長、とそれぞれの監督にいい配役で出ており、さすが名女優だ。
えぇっと、日本人で言うたら吉永小百合さん? 
いや 渡辺謙さんの立ち位置の方が近いかな。
若い時はもちろん美しいのだが、40代以降も艶っぽさをまして良い、ってなんなの、憧れるわ。

テアトル梅田閉館


さて、7/19このnote書きはじめた頃、以下のつぶやきを読み驚いた。

トップの画像は今年4月に、壁一面に貼られた32年間の上映作フライヤー。
“30周年ではなく32年の、どうして今?
の疑問は、閉館予定が決まったからだろうか。

テアトル梅田さんはヌーヴェルバーク以降のフランス映画ヨーロッパ映画を何作もかけてくださり、20代の私はジュラール沼にハマったのだった。授業をサボって観た「隣の女」「シラノ・ベルジュラック」「愛と運命の泉」等など。ハッピーエンドで終わらない、ままならぬ生活、そんな恋愛と人生とをこの映画館で学んだ。

最近は旧作のリマスター上映で、大好きな作品に再会できたのも幸せだった。


📽テアトル梅田さん、お疲れ様でした。
閉館まであと70日。できるだけ通わせてもらいます。

#ジェラール・ドパルデュー  #ギョーム・ドパルデュー

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