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私がここで暮らし続けるために
「お母さん、ここにも手すりがあったよ」
娘が小学生の時、一緒に取り組んだ夏休みの課題がある。
街の公共施設の「バリアフリー」について調査を行った。バリアフリーとは、簡単に言うと高齢者や障害者が感じている障壁を取りのぞこうという試みである。
駅、公民館、図書館、様々な場所にある工夫。
障害者用トイレやスロープ、音声案内、手すりなどの写真を撮り、この設備のおかげで、どのような人たちが困らないかを2人で考えてまとめた。
実際にまわってみて、わかったこと。
概ね公共機関には備わっていたが、使い勝手の悪いものもあるということ。
私は作業療法士という職業柄、このようなバリアが気になる。
気になる理由の一つは、サービスを利用されている方たちの生活に大きく関係しているからである。
以前、デイの利用者さんにアンケートを行った。それは「あなたが出かけやすいところはどこですか?これから行きたいところはありますか?」という内容。
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「出かけやすいところ」の結果は「車椅子でも使えるトイレがあること」が意見の大多数を占めた。
課題として浮き彫りになったのは、物理的バリアだけでなく心理的バリアも重要ということ。
快くお店の人が迎え入れてくれるかどうか。
その後、利用者さんと共に様々な調査を行った。
ある時はバリアフリールームがあるビジネスホテルを見学しにいったり
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ある時は、孫の甲子園予選大会を見に行きたい利用者さんの願いをかなえるべく、球場に新しく設置された昇降機の視察に行ったりした。
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大事なのは、お互い顔を合わせること。
対象者が実際に何がバリアになっているのか。細かいことは当事者が行かないと見えてこないことも多い。
行ってみて、顔を見て、対話をすることは、双方にとって大きなメリットになると感じた。
このような取り組みをした理由はもう一つある。
それは私がこの先、この街で住み続けたいからだ。
私は私の家族と、末長くここで過ごしていきたい。将来の自分のためにも、街のバリアについて、障害を抱えている人たちと共に考えていきたい。
私の好きな作家さんが書いた、エッセイのエピソードに最後に触れる。
坂道で困っていた車椅子の女性に、作家さんは声をかけようか悩んでいたが、横にいた友達がすぐさま声をかけて、彼女は目的地の映画館に行くことができた。
何気ない一声が、誰かのチャレンジを助ける。
未来のために、あたたかく声をかけあえる世界であることを私は願っている。
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