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フロー体験、楽しむこと、それが豊かさにつながること

今日は「楽しく過ごすことが人生の豊かさにつながること」について少し書いてみようかなと思います。

※いつも記事や絵を楽しませてもらっているぷんぷんさんのサムネイル画像、早速使わせてもらいました。にこにこ顔、かわいいですね。

なぜ、この事について書こうと思ったかというと、私が懇意にさせて頂いている花丸恵さんの記事が大変おもしろく、作中で気になる記載があったからです。

楽しい時間はあっという間、などと言う。
 大抵、ワクワクするような時間は過ぎるのが早く感じるものだ。楽しい1時間と、予定が変わって、時間を潰さなければならなくなった1時間とでは、体感がまるで違う。時計を見ずに、体感だけを頼ると、時間は実に曖昧なものだ。

(記事本文より)

そこで私が思ったことは

丸恵さんが感じていたこの時間は
フローの時間
であったのかもしれない....ということでした。

このフロー体験について今回はお伝えしていきます。

フローとは「人間がそのときしていることに、完全に浸り、精力的に集中している感覚に特徴づけられ、完全にのめり込んでいて、その過程が活発さにおいて成功しているような活動における、精神的な状態(Wikipedia本文より)」を言うそうです。

この現象は、心理学者のチクセントミハイによって提唱されており、スポーツの分野において一般的にゾーンと呼ばれることが多く、ピークエクスペリエンス、無我の境地、忘我状態とも呼ばれています。

詳しくは「TED」でチクセントミハイさんが実際にお話しされていますのでよろしかったらご覧ください。

https://www.ted.com/talks/mihaly_csikszentmihalyi_flow_the_secret_to_happiness/transcript?language=ja

このフローは
能力(skills)と挑戦感(challenges)とがほどよく一致した心理状態で出現するので、その体験がその人にとって簡単すぎても難しすぎてもいけないんですね。少しだけ挑戦的で没頭できるものが望ましい。

そのフロー状態が訪れる出来事は
仕事であったり
料理であったり
スポーツであったり
園芸であったり
丸恵さんのように読書であったり
ゲームであったり
人によって多種多様です。

例えばチクセントミハイさんのTEDの動画では

彼は自分の手が勝手に動いているようだと言います。でも 私は作曲ができないので 自分の手を2週間見続けたとしても 畏怖も驚きも感じることはないでしょう。

と話しており、作曲家が自分の創作に没頭している時間は、自分にとってはその行為が、同じように感じられるものではないことを示しています。

そしてこの事から、その人にとってのフロー状態は、一人一人が違った作業から発生するものであることがご理解頂けたかと思います。

また、フローに突入している時は、自分の心と身体が一体になっている感じがあったり、時間感覚の歪みを感じることがあるそうです。

丸恵さんの時間の概念が曖昧に感じられたのも、読書の時間にフロー体験が起きていたことが、一つの要因として考えられます。

私は一応「作業療法士」という仕事をしておりますので、何でも仕事に関連付けて考えてしまうクセがあります。
個人的には、このフローの状態に患者さんや利用者さんを持っていく事が、お仕事の上での一つ大事なポイントであると考えています。

それについて論文を書いているOTもいます。

(ちょっとここだけOT向けの話になりますが)OTの小林隆司先生などが文献レビューもされています。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jotr/41/1/41_13/_pdf/-char/ja

この文献レビューで、楽しく過ごすこと(フロー体験)が

それぞれの研究において、介入目的とした認知機能、高次脳機能のほか、フロー体験、健康関連QOLや主観的QOLの改善を認めた。

フロー理論を応用した作業療法実践に関する文献レビューより

と書かれており、人間の健康に対して良い影響を与えていることが示唆されているのです。

私の仕事の実感としても、かなりこの説は有効であると思っています。
例えばですね、障害を請け負って、無為に生活を余儀なくされている方たちというのは、自分自身の生活の改善を図るといった目標に向かって、行動やアクションを起こしていくための元気や自信がありません。

彼ら彼女らは自分に社会に大変傷ついています。

なにかに失敗してしまうことに恐怖を感じています。

以前と同じように動けないことで無力感も感じています。

自分自身が勤めていた役割がなくなってしまって、自身の存在価値を認めることが難しくなっています。

そのような状況で、何が突破口になるかというとこのフローなのです。私は臨床の中でフローの状態を経験した人が次の行動に進みやすい事を、肌で感じることが多いのです。

だから、まずその人がリハビリテーションの時間において、あるいはリハビリテーションの時間をきっかけとして、フローの時間を過ごしてもらう事が私なりの陰の目標となります。

リハビリテーションで関わる方にフロー状態を過ごしてもらうためには
①その方にとって関心が高い作業、あるいは価値が高い作業、もしくは好きで好きでたまらない作業であること。
②フローの時間を過ごす前に、その方が安全で心理的に追い詰められていない精神状態であること。

が私の中ではポイントとなっています。
特に②はマズローの欲求段階説なども気にしながら、その方の欲求や安全性がどの段階まで保たれているのかを気にしながら介入していくことが多いです。

だから職場などで
「この発言をしたら上司に怒られる」
「こんな事やったらみんなに笑われる」
などの不安な気持ちを抱いている事が、その職員がフロー状態に突入するための行手を阻んでいる原因になる事を、マネジメント側あるいは管理職などが理解しておく必要があると感じています。
これは職場だけではなくて、教育やスポーツなどの現場でも同様であると思います。

フロー状態へはやや挑戦を伴う作業で発動しますので、当然失敗もつきものです。チャレンジやそれに伴う失敗をサポートし、応援してくれる環境は、きっとフロー状態に没入しやすいものであると思うのです。

TEDの動画の中でも

これはソニーの創始者である井深 大の味わい深い一言です。彼はそのときソニーを始めたばかりでお金もなく、製品もなく --製品がなかったのです。何もない状態でしたが、アイデアがありました。彼のアイデアというのは、エンジニアが技術革新の喜びを感じられて、社会に対する使命を意識して心ゆくまで仕事に打ち込める仕事場を作り上げるというものでした。「フロー」が職場でどう実現されるのか、これ以上よい例を思いつきません。

と、チクセントミハイさんが語られています。

また、幸せの根本を考えた時に、1956年に行われた調査では、人々が幸せと感じる度合いは、お金や物的な豊かさに比例するものではないことも結果として報告されています。

人生において、本当の幸せや豊かさというのは、フロー体験をはじめとした、その人が熱意をもって取り組める、その人でしかなし得ない体験や経験にこそ、内在しているものなのかもしれません。

そして、価値の高い経験を成し得た人は、また明日への一歩を踏み出せる勇気や元気が湧いてきます。

だから、何事も
楽しく!
取り組む事が
人生を豊かに幸せに過ごすコツであるのかもしれないというお話でした。

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くま
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