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卵管留水腫とは
こんばんは(^ ^)クマです!
昨日の記事に卵管留水腫という言葉が出てきましたが、初めて出す病名だったので今日は卵管留水腫についてまとめていこうと思います。
◎卵管采の働き
卵管には卵管采と呼ばれる場所があり、卵巣から排卵された卵子は卵管采の動きによって取り込まれます。
少し見にくいですが、黄色の丸で囲った手のようになっているところが卵管采です。
卵巣から排卵された卵子は、卵管采の働きにより青い矢印の方向に取り込まれます。この取り込まれる現象のことをピックアップといいます。
骨盤内の炎症や、子宮内膜炎などによって卵管周囲や卵管采周囲に癒着があるとこのピックアップという現象が妨げられ、うまく卵子が取り込まれないことがあります。これをピックアップ障害と言います。
卵子をうまく取り込むことができなければそもそも卵子と精子が出会うことができず妊娠にいたりません。なので卵管采は妊娠をする上で非常に重要な働きを担っています。またこのピックアップ障害は不妊原因の一つでもあります。
ちなみにピックアップ障害は検査をしてもわからないため、原因がわからない不妊症の方の多数に見受けられると考えられています。
◎卵管留水腫はどうやって起こるの
先にも述べたように卵管采は子宮内膜炎などの影響で癒着が起こり機能しなくなることがあります。子宮内膜炎意外にも、クラミジアなどの性感染症や骨盤内の手術をすることで癒着が生じることがあります。
上記のような感染症が悪化し、卵管采が高度に障害されることで完全に閉塞してしまうことがあります。閉塞することで卵子が取り込まれなくなるだけでなく、卵管内の粘液分泌細胞から産生される卵管液が卵管膨大部に貯留してしまいます。
このように卵管内に卵管液が溜まってしまい卵管(膨大部)が膨れ上がった状態を卵管留水腫や卵管留水症と言います。
これ以外に卵管内に血液が溜まった状態を卵管留血腫(卵管留血症)といい、溜まった卵管液に感染を生じた場合を卵管留膿腫(卵管留膿症)と言います。これらを合わせて卵管留症と呼びます。
ちなみに卵管液はホルモンにより分泌量が変化しているため、月経周期に応じて卵管内に溜まる量も変化します。そのため診断するのが難しい場合もあります。
◎卵管留水腫になると
卵管留水腫になると水っぽいおりもが非常に多くなります。不正出血を引き起こすケースもあります。
先にも述べたように月経周期に合わせて卵管液の量が増えますが、おりものも排卵期には多くなります。ちょうどそのタイミングが同じなので、おりものの量が気になるだけではうまく判断してもらえない可能性があります。
ただ、診断はエコーや卵管造影検査で行うので、問診の時におりものの量が多いと答え、エコー上に気になる所見があればしっかり診断はしてもらえるので誤診されるのでは?と不安にならなくて大丈夫です!
無治療の卵管留水腫は不妊の原因になります!
もちろんピックアップ障害の原因になるからというのもありますが、それ以外にも妊娠率の低下に影響してくるのです。
ニューヨークで行われた研究により、内容液が胚を子宮外へ押し流してしまうという説が浮上しています。無治療の卵管留水腫があった場合は、卵管留水腫のない場合に比べて、胚移植あたりの妊娠率は1/2程度まで低下すると報告されています。出産率まで視野を広げると1/4にまで確率が低下してしまいます。また、子宮外妊娠の確率も2倍くらいは上昇してしまうそうです。
このことから、卵管留水腫と診断され手術適応となった場合、速やかに治療を行い、早めに不妊治療を再開できるようにした方がいいと考えます。手術法に関しては昨日の記事をご参照ください。
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