shoji
「この国は、ボクが大好きだった国と随分違ってきています」 100号を前にして、永らくnoteを休んでいました。いえ、さぼっていたというほうが正しいですね。 2年前の今月(げげっ、ややこしい表現すなぁ~)、つまり6月に友人が亡くなって以来、これからの人生をどう生きていくのか見失った感じで、いろいろ考えた計画や交わした約束をすっぽかしていました。 ただ、毎日を反射神経だけで生きていたというか。。。 こんなこと、家族には言えませんね。 いい歳こいて、なさけない。。。
しばらくnoteを休んでいたのは、奇跡的なお客さんとの出会いに恵まれなかったからではなく、書くのに飽きたから。飽きっぽいボクのことですからお許しを。 本当に、次々と感動的な出会いはあるんですよ。 でも、今回ばかりは書かずにはいられません。 一体全体、こんなことって。。。 つい最近のことです。 リュックを背負ったガタイのしっかりした男性がやってきました。 リュックを背負っているというと従兄を思い出しますね、山男の。 「もしかして、山登りの帰り?」 「えっ?」 怪訝そうな顔
従兄がフェイジョアを育てていて、毎秋、持ってきてくれることは以前書きました。 これは去年の晩秋の話です。 (1月に11月の話を去年のことって書くのに、ちょっと抵抗ありますよね) ちょうど従兄がフェイジョアを持って来てくれた数日後、飲みに来てくれた母娘がいました。 娘さんのほうは前に一人で来てくれたような。。。 「確か、近所に住んでいるって言ってなかったっけ?」 「はい。夕食後に、二人でちょっと飲みに行こうかと。うちでは母と私しか飲まないものですから」 仲のいい親子っ
先日、2階にある、超入りにくい店に上がってくるなり、 「マスターは浮気したことありますか?」 と訊いた女性客がいました。 彼女が来店したのは、初めて、なんですよ。 「あのねぇ、この店は日本ワインと日本酒を、有機野菜や国産の食材と一緒に楽しんでもらう店なんだよ。今さら外国のワインや食材に興味はないよ」 「違うんです、男女関係のほう」 「ほう、、、」 絶句してしまいますね。 初めて店に上がってきて、「浮気したことあるか?」って訊きますか? 「あるわけ、ないだろうが」と
という書き出しから始めたら、どうせ「近頃の若いもんときたら、、、」って年寄りの苦言かと思うでしょ? でも、違うんだなぁ、、、 最近、九条Tokyoに来るようになった若者2人について、今日は書きたいと思っています。 本来、ここでは常連客については書かないという禁を破ってまで、どうしても書きた~い。 禁を破ってと言えば、林子平。 落語家じゃないですよ。 江戸時代後半に全国を歩き回って勉強し、このままでは日本は世界から取り残されて大変なことになると、『三国通覧図説』『海国兵
この項、長いです (断るまでもなく、毎度のことやんか〜)。 それは選挙の翌日のことでした。大阪から予約が入ったのです。驚きますよ、大阪からですよ。。。なんで~? 彼が店に上がってきた途端、ボクは尋ねました。 「君遥か遠方より来たるあり」 子曰く「我四十有五にして日本葡萄酒学に志す」 「???」 子曰く「日本葡萄酒を見てせざるは勇なきなり」 つまり、うちの日本ワインしか置いていないリストを見て、はなはだ興味を持ったってことですね。 なんで急に論語調になったかっていうと、
久しぶりの投稿なので、ちょっと刺激的なタイトルにして、この間の無量を許してもらおうと思ったわけではありません。彼女は本当にそう言ったんです。 その日、少し年下かなと思われるボーイフレンドと、彼女は初めて店に上がって来てくれました。 余計な話ですが、女性は30代後半、40代になってから女性ホルモンの分泌が衰え、男性ホルモンが主になるので、40-50代が最も元気で若々しいという話を、細胞科学の本で読みました。 そういえばそうだよなぁ、、、って思いませんか? 男は60前後か
九条Tokyoにはミニ図書館があります。オーガニックの食材を日本ワインや日本酒とともに楽しんでいただこうという酒肴、いや趣向のバルなのにねぇ。。。 当初は、毎月開催している「誤配だらけの読書会」メンバーが紹介した本などを置いておくための図書館としてスタートしました。 ところが、最近はじめた「つながる本棚」プロジェクトで取材させていただく際、最後に「今オススメするならこの3冊」という質問をしていると、ボクがまったく知らなかった作者や作品の名前が挙がってきます。 その本“読み
紙の本や書店が街からなくなっていく時代に、紙の本での読書を通じて手触りのある交流をつなげていければと考えています。 先日、「つながる本棚」プロジェクトでインタビューにお伺いした三宅美奈子さん(映画監督)を撮影した大小田直貴監督の映像を見ていると、三宅さんがオススメ本をどれにしようか考えている表情や、心に残ったページを繰るときの指使い、一度選んだ本をこれは違うと戻すとき、、、本や本棚にまつわる行動には、ネット上の書籍や書棚データでは伝えられない思いがたくさんあふれています
どういうこっちゃねん? って思いますよね。 というボクも、この稿は先が見えないまま書き始めています。 でも、ちょっと感動しちゃったことがあったので。 ボクは「凝り性」です。あっ、それ違います。勘違いしないでください。 えっ、何が勘違いかって。 ボクの「凝り性」は、単に肩と腰が凝る、ってことですから。 感動した話に行く前に、ボクの「凝り性」とそれを癒すマッサージ遍歴の世界へどうぞ。 まず、ボクが通い詰めたのが表参道にあったマッサージ店。 中国北部から来ていた店長が数人
7月から8月にかけて再び緊急事態宣言が出て、店にはお客さんがほとんど来なくなりました。誰とも口をきけない日々が続き、もう店を閉めたい病が最高潮になった頃、「まちの本屋」「Dal Segno」と映画の上映会が続きました。 さすがに夕方4時5時ではまだ外が明るいので、窓を覆う必要があります。毎月のように上映会をしていた頃に使っていた黒い模造紙を引っ張り出すと、一部が無惨に破れていて隙間ができています。 そこで黒い模造紙を求めて文具店巡りが始まりました。最初にネットで探さないと
シリーズ① 河村尚紀 名前に敬称がついていないのは、彼が5歳からの友人だからです。しかも、ボクより10ヵ月も後に生まれてきたのに、先日、ボクを遺して先に逝ってしまいました。 もうすぐダイヤモンド婚を祝ってどこかに旅行に行こうかと思っていたのに。妻は「伊勢にいるもう一人の妻」みたいと友人のことを称していました。それだけ君のことを大切に思っているんだと言ったかどうかは忘れましたが、ボクには海や空と同じで、この世界にあって当然の存在でした。 この「つながる本棚」プロジェクトを始
従兄が大きなリュックを背負って、山歩きのあと時々店にやってきてくれます。 「今日はなんの果物を持ってきてくれたの?」 庭に植えている果物を、よく持って来てくれるのです。それも山歩きのついで、と言って。早朝から午後まで山を歩き回ったあと店に来てくれるってことは、朝からずうっと、果物があの大きなリュックに入っていたことになります。 呆れてものが言えないとは、このことです。究極のマゾ? 「いや、冬山に登る時はテントやら何やら担いでいくから、もっと重いよ」 いつもそうですが、
氷の種類って、20くらいあるって知ってました? イチゴミルクにメロンソーダ、宇治金時、、、って、それは違う氷の話です。 でも、透明な蜜をかけたかき氷のことを、どうして「せんじ」って言うのでしょう? ええー、あれは東海地方だけで、一般には「みぞれ」とか、東京では「すい」だってー? んなぁ。。。 我々が知っている、いわゆる「氷」は通常の気圧状態では摂氏0度で溶けてしまいます。 しかし気圧を高くすると、氷はほかにも19種類も存在しているそうです。 しかも、そのうちの5つは200
そう言ったのは、ボクより少し年上のお客さんです。 彼は、かつてボクと同じ広告制作などクリエイティブの世界にいたそうです。ボクは企画畑で、彼はデザイン畑。 おそらく、ボクよりずっと優秀で、大きな経験をしてきたのだろうと思います。話していて、この人は経験の質が違うって感じること、ありますよね。 その世界からとっくに退いて、彼は東北にある生まれ故郷のそばに引っ越しました。車で20分ほどのところにお母さんが住んでいるそうです。 隠遁生活?って思うでしょ。とんでもない。今も現役の
去年の夏、一人のお母さんから電話がありました。 「握りずしの体験って、日本人でもお願いできるんですか?」 すっかり忘れていました。 九条Tokyoでは、外国人旅行客が3000万人以上も訪日していた頃、そう、もう遥か遠い昔のことに思えますが、ランチタイムに、 豆腐やみそ、握りずし、カレー、ヴィーガンラーメンなどの和食づくりと、茶道や書道などの体験サービスを提供していました。 そのサイトがそのまま残っていたのです。 「もちろんです」 「よかったぁ。。。この夏、どこにも連れて