094 マイ・フェチ Top3ってイベントやってみたら超おもしろーい
先日、2階にある、超入りにくい店に上がってくるなり、
「マスターは浮気したことありますか?」
と訊いた女性客がいました。
彼女が来店したのは、初めて、なんですよ。
「あのねぇ、この店は日本ワインと日本酒を、有機野菜や国産の食材と一緒に楽しんでもらう店なんだよ。今さら外国のワインや食材に興味はないよ」
「違うんです、男女関係のほう」
「ほう、、、」
絶句してしまいますね。
初めて店に上がってきて、「浮気したことあるか?」って訊きますか?
「あるわけ、ないだろうが」とボクの公式的な模範解答に対して、
「ほんとですか~」と超疑わしきまなざし。
そのひたむきな〝まなざし″好きだなぁ、、、惚れてしまうやろうが~
ちゃいます、そんなことありましぇん。それに、今日の話題は、そういう方向ではありません。
「人にモノを訊く時は、自分の考えから話すもんだよ」
「えー」と言いながら、彼女は懸命に質問した訳を話し始めました。
今夜、会社の上司と食事に行ったこと。
超おいしい食事だったこと。
おいしいものを食べるのが大好きなこと。
子どもが二人いること。
なのに、なのか、だから、なのか、、、
「食事の後、ベッドに誘われたんです」
「今だに、そんな奴いるの?」
そっちのほうが驚きです。コロナ渦で、そういう人種は死滅したのかと思っていました。(んなことないか、、、でも、ねぇ)
「それで、どうしてウチに?」
「男の人って、そういうもんなんでしょうかねぇ。私には子どもが二人もいるんですよぉ」
それは、もう聞いたって。。。
「そのまま真っすぐ家に帰って子どもの顔を見るのが嫌で、飲む場所を探していたら、この店の灯りを見つけて上がってきてしまいました」
上がってくるなよ~。。。
子どもが二人いようがいまいが、あなたがとても美しいからだと言えばよかったでしょうか。
でも、ボクはそんな浮ついた言葉を口にする気にはなれませんでした。
「勘違いしてるよ。男の人って、っていう定義はないんだよ。そういう奴と、そうでない奴。それは、男女どちらでもそうじゃないのかなぁ」
「そうでしょうか」
「そうだよ。そいつが下衆なだけだと思うよ。いくつになっても、どこにいても、男と女は男と女だったとしても、それを食事の後、ハイ次って求めるなんて。。。二人の雰囲気ってあるよね。それがわからないっていうのは、よほどのバカじゃなかったら、成熟できてないっていうか、、、いや、子どもだって、もっとまともな判断ができるよ」
ボクは続けて、友人に薦められて最近読み終えたばかりの『Humankind-希望の歴史』の話をしようとしていたのですが、彼女はボクの言葉をさえぎって、
「そうですよねぇ、、、」と深い嘆息。
「そうだよ。忘れなさい」
「でも明日から、どんな顔をして言葉を交わせばいいのか、、、」
これには模範解答はありませんね。そういう余計な重荷を背負わせるなんて、罪な男です。っていうか、面倒くさいわー。イーロン・マスクと一緒に、火星にでも行ってしまえー。
でも、ルトガー・ブレグマン『Humankind-希望の歴史』(文藝春秋社)、いい本ですよ。この10年で読んだ中で、最高の一冊かも。
そのことを記録しておきたくて、この稿を書きだしています。
あれ? 一体、なんの話?
この本に出会ったのは、毎月1回開催している「誤配だらけの読書会」からのスピンアウト企画として年末に開催したイベント、「MF Top3」です。
自分が今ハマっていて、誰かに薦めないではいられない3つを、テーマごとにまとめて紹介し合おうってイベントです。
これが超おもしろかったので、シリーズ化することにしました。
次回は、2月11日15時から。
でも、毎月開催するには、常に自分をアップデートしていないといけないですね。これが超大変です。
自分が今めっちゃハマっていて、誰かに
薦めないではいられない‐‐つまり、
奨められるだけの熱意と、
勧められるだけの知識(情報量)が必要です。
毎月、読書会に短歌の会に、歴史トークに、マイ・フェチにと、、、
進め、前に。。。
もう、いいってば。すすみすぎだよー。。。
この本を紹介してくれたのは「誤配だらけの読書会」メンバーの友人です。
この歳になると、一人また一人と友人をなくしていくことのほうが多いものですが(亡くなる人もいれば、失くすこともあります)、彼はこの店を始めてからできた友人の一人です。
こういう時、つくづく思いますよね。この店をやってよかった~って。
彼はボクの何倍以上もの読書家で、その選書の
感性がボクに近いのです。
歓声を上げたいくらいに。
もういいってばぁ。。。
もしかして、読書会のたびにボクの興味を慮って選んで来てくれているのかなぁ。。。
彼なら、それもありえるかも。
以前、亡くなった友人の本棚を見せてもらった時のことを書きましたが、誰かがボクの好きな本をたくさん持っている(読んでいる)って、うれしい発見です。
しかも、亡くなったあと、その本棚を前にしているときの大きな感動や癒し。
ボクは、彼の本棚の前に立つたびに、大きな癒しを感じます。年に何度も戻りたい場所になっています。
本って読書することだけが、体験ではないですね。
本は本当に本質を著しています。
そうか、だから「著す」って漢字なんだぁ。。。
大きな喪失と癒し、そんなことを感じた2021年でした。
さて、「MF Top3」の話に、やっと戻ります。ええ加減にせいやぁ。。。
彼は、2021年に読んだ本のTop3を、ミステリー・SF、ノンフィクション、社会評論・自然科学と3つのジャンルに分けて、それぞれのTop3と番外編を選んで来ていました。
もち、社会評論・自然科学ジャンルのトップが『Humankind-希望の歴史』でした。
クラフトビールのTop3を紹介したメンバーもいました。
「紹介ついでに、そのクラフトビール持ってこなかったの?」と訊くと、
「無理です」
そりゃそうですね。価格を聞いてビックリ。1本4000円するものも。
ほかに、尖りすぎているジャルジャルの漫才3つを紹介した参加者も。
Youtubeでそれぞれ10分程度のネタを鑑賞しました。便利な時代ですね。
ボクは?
決まってるでしょ。
歌って踊らない「インド映画」。
これしか考えられなーい!
でも迷いました、たった3本選ぶって超たいへーん。
結果、ボクが選んだのは、
『きっと、うまくいく』2009年
『マイ・ネーム・イズ・ハーン』2010年
『バルフィ』2012年
番外『めぐり逢わせのお弁当』2014年
でした。
『バルフィ』は是非見てほしい映画です。
世界中の、ボクがこれまでに見た映画のTop10を選んだら、必ず入る1本です。
さぁ、2022年はオミクロンの大流行で始まりました。
でも、おそらくこれがコロナ騒動の最終コーナーかもしれません。
我々はこの2年間で何を学び、何を考えたのか。
今年、その成熟度合いを問われるのだとしたら。
読書、そしてコミュニケーション。
それしか、我々には学ぶ術はないよ~、って、それ以外に思いつかないボクには、この2年はあまり意味がなかったってこと?
こうしてnoteに戻ったボクは、つまり、また「まんぼう」や「せんげん」に振り回されるってことですね。その期間中、しばらくをnoteでお付き合いください。