093 近頃の若者は、、、

という書き出しから始めたら、どうせ「近頃の若いもんときたら、、、」って年寄りの苦言かと思うでしょ?

でも、違うんだなぁ、、、

最近、九条Tokyoに来るようになった若者2人について、今日は書きたいと思っています。
本来、ここでは常連客については書かないという禁を破ってまで、どうしても書きた~い。

禁を破ってと言えば、林子平。
落語家じゃないですよ。

江戸時代後半に全国を歩き回って勉強し、このままでは日本は世界から取り残されて大変なことになると、『三国通覧図説』『海国兵談』の2冊を著して、幕府から発禁処分を喰らって郷里の仙台で蟄居のまま、54歳で亡くなりました。

ペリーが開国を求めて日本にやってきたとき、ペリーは小笠原諸島は米国の領地だと頑強に言い張ったのですが、なんと、江戸幕府は林子平が書いた『三国通覧図説』の中に小笠原諸島はアメリカが独立する百年も前に幕府の役人が訪れ、日本の領土だと記されていることを見せて、撤回させたのです。

それも、『三国通覧図説』は幕府により版木ごと廃棄処分されていて、オランダ商館長が秘かに持ち帰っていた1冊をフランス語訳したものが欧米で流通していたものを、たまたま江戸幕府が買って持っていたという始末。

林子平の辞世の歌は
親も無し妻無し子無し版木無し 金も無けれど死にたくも無し
だそうです。

ボクはジョン・レノンの「イマジン」を愛するアナキストですから、国境なんてものはな~いと信じていますが、林子平えら~い!

話戻って(また~、どこに戻るの?)

ある青年は、あることがあって、人生を変えようと仕事もやめ、ついでに住まいまで引っ越してきたことから、九条Tokyoと出会いました。

その生き方の潔さ。それだけでも感心しちゃいますが、B to C から、専門的なB to Bのセールスに仕事が変わったからと、休日の土曜にランチに来てくれたあと、これから会社に行って専門的な資料を読むため勉強に行くというのです。

昭和の匂いがする企業戦士?

いえ、そんな感じはまったくないんですよ。
きわめて今どきの超やさ男。

その土曜日も(どの日のことよ~)、後からやってきた年配の女性客とボクの会話をずっと黙って聞いているので、
「これから会社に行って勉強するのなら、会計しようか?」と訊くと、
「いえ、勉強になるから聞いています」だって。彼女が帰っていくまでいました。

その後も、様々な会社の先輩を連れて来てくれたり、わざわざ途中の駅に寄って、
「前にこのお菓子もらったのですが、おいしかったので、食べてもらおうと思って買ってきました」って。

先日、九条Tokyoの常連客で忘年会をやったのですが、ボクに引き合わせようと、最近できたGFを連れて参加してくれました。

まるで、息子?
いや、子どもだと、男同士ここまで話せる仲には、なかなかなれませんね。

そして、もう一人の若い男性客。

なぜか、九条Tokyoの九条ネギオリーブオイル炒め掛け酒粕マーボウ豆腐丼(ながーい!)を気に入ってくれ、ほぼ一日おきに食べに来てくれます。

「最近、越してきたばかりなんです」

「そんなにマーボウ丼が好きなら、谷根千にある美味しい中華料理屋を紹介してあげようか」

「いえ、このマーボウ丼は中華料理屋のとはちょっと違いますから」

3度目に来た時、別の客だと思って話していたら、
「ボクですよ」と言われました。ボケてますね。

でも、見た目がまるで違ったんですよ。

「いつもと違って、今日はビジネスモードなもので」

「これまでは、リモートだったってこと?」
どんな仕事をしているのか訊くと、ドローン関係とか。

「これから、しばらく来れません」

いちいち、そんなこと説明しなくてもいいよ、と答えながら、その理由を尋ねると
「郷里というか、おばあちゃんの家にしばらく帰ります」

リモートでどこでも仕事ができるので、店をやっているおばあちゃんを手伝いながら、向こうでしばらく仕事をするとのこと。

驚いたのは、そのおばあちゃんに毎月、仕送りをしているって言うのです。
お母さんにではなく、おばあちゃんに、ですよ。

「店のメニューは一つしかなくって、給食みたいな店なんです。開店以来、一度も黒字になったことがないんじゃないかなぁ」

それはウチも同じだよ、という言葉は飲み込んで、どんだけステキな青年なんだと思ってしまいました。息子にほしい、、、ってことを言いたいんじゃないですよ。

おばあちゃん子なのかもしれませんが、しばらく店に来れなくなるってことを、わざわざ説明しに来てくれる、その心遣いに感動しちゃったんです、ボクは。

日本ではひとまずコロナ騒動は落ち着いていて、その理由を理化学研究所などが説明していますが、飲食店の多くにはお客さんは戻ってきていません。ウチも緊急事態宣言中のほうが賑やかだったかも。

でも、この1年も不思議な出会いがたくさんあり、ボクは小さいけれど、誰かに伝えずにはいられない「奇跡」をたくさん見てきました。偶然と呼ぶには、それはあまりに尊い出会いだった気がするのです。

まるで、映画「めぐり逢えたら」みたいな。

常連客になった人との奇跡の出会いは書かないようにしようと決めているので、ここには書けないことが多く、休みがちになりがちなこのnoteですが、今回の2人はどうしても伝えたく、、、

彼らはきっとこのnoteまでは見つけないだろう、読まないだろうと決めつけて。

歴史を紐解けば紐解くほど、自分も含め男がつくってきた歴史に失望してきたボクは、6月に親友が亡くなったこともあり、この先なんだか生きていく楽しみってあるんだろうか、と思う日が多かったのですが、この11月以降、ちょっとうれしい気がしています。

もう少し歴史の先を見届けよう。自分も、有機栽培や食料自給力向上にエールを送ると決めた目標を見失わずに歩いて行こうと思えるようになりました。

12月30日・31日は
【物々交換バザー】
 どなたでも出品自由。交換するものがない方はココロザシだけでOK。

12月31日15時からは、
【MF〇×3】 誰かに伝えたい「マイフェチ」を3つ紹介しあう会
 これは、「誤配だらけの読書会」からのスピンオフ企画です。ボクは大好きなインド映画について語る予定です。

そして年が明けて

1月23日15時からは
【短歌好きあつまれ~】
 この会では短歌はつくりません。「距離」「闇」「再生」をテーマに、好きな短歌を見つけてきて紹介し合う会です。ステキな短歌に出会えますよ。聴くだけの参加もOK。
 引き続き17時からは、参加メンバーの奥田亡羊さんの第3歌集『花』出版記念パーティを企画しています。こちらもどなたでも参加OKです。

1月29日15時からは
【歴史トーク】ついに再開!
 イスラエルから考える国家とは何か
 特別教室の歴史
 亀甲文字から考える漢文明
 林子平または最上徳内または、みなもと太郎『風雲児たち』

ボクはいま、最上徳内って人がとても気になっています。
どなたかいい資料を知りませんか。ぜひ教えてください。

そして、ちょっと気が早いですが、みなさんも、よいお年を。
「も」っていうのは、ボクは今回紹介した若者2人のおかげで、少し癒されてきた気がしているからです。

でも、まだ店は一向に癒されていないんだよねぇ。。。

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