コミュニケーションのためのピープルアナリティクス
データ分析の目的の一つに、意思決定に客観的な「ものさし」を提供することがあります。KPIに対してゴリゴリっとチェックしていくような話ですね。
その一方で、数字から新しい議論の種を見つけ、コミュニケーションを促す役割も大きいのではないかとも思います。
こちらはKPI云々というよりも緩いと感じる方もいらっしゃることでしょう。しかし、人事分野でのデータ分析では、この点こそがとても重要ではないかと感じます。
これに関連して、人事御用達のサイト「日本の人事部」に興味深いインタビュー記事が掲載されていました。
このインタビューに出てくる「共感と納得感の醸成」というのはとても大切な話だと感じました。
人事に限らず、データ分析のプロジェクトでは、分析の依頼者(クライアント)が「良く知っている」「わかっている」話が報告書の8割程度占めているべきと先輩から言われていました。
クライアントがびっくりするような驚きの結果というのはそう出るものではありませんが、もしそれが出たとしても全体の一部として報告すべき、というアドバイスです。これは、コミュニケーションを考える上で大切な話ではないかと思います。
特にデータ分析プロジェクトに初めて参加するクライアントの場合、データ分析のアプローチ、アウトプットに慣れるのに時間がかかります。そのため、いきなり複雑な統計モデルを使って巧妙なアウトプットを出したとしても、あまり響かないのです。
また、そのアウトプットが直観と異なっていると円滑な議論が進みません。ドメイン知識やそのビジネスに対する勘所を有しているのは、やはりクライアントなのです。データ分析者は常にこの点に念頭に置き、クライアントに追いつくように努力しつつも、常にクライアントをリスペクトすべきだと思います。
以上の話は分析の依頼者とデータ分析者の関係について述べたものですが、人事部の中のピープルアナリティクスチームに着目すると、人事部と事業部門との関係も同様です。ピープルアナリティクスチームは、事業部門と議論を円滑に進めるようなアウトプットを出すことを求められるでしょう。
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