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観劇感想(2024)

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劇団ヅッカ+Paul.U『登録された鉄の隙間、風の子たちのステップ』  の感想

劇団ヅッカ+Paul.U『登録された鉄の隙間、風の子たちのステップ』 の感想

作・演出/マツモトタクロウ(会場:Traffic Tokyo 六本木)

ハクビシンを見る相手の気を引きたくて彼女は嘘をつく。タップダンスする男や手が長い女性と知り合いになって。

今回は、ミュージシャンPaul.Uと共作したアルバムの発売記念パーティの表題作として上演された作品。

出番がPaul.Uを含んだDJに挟まれる形で上演される。選曲がシアトリカルで、劇への期待を高める。
連射される不可

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東京にこにこちゃん『ネバ―エンディング・コミックス』 の感想

東京にこにこちゃん『ネバ―エンディング・コミックス』 の感想

作・演出/萩田頌豊与(会場:駅前劇場)

少女はとある長期連載漫画が好き。その漫画は亡くなった母親が愛読しており、母が詠むことのできなかった最終回がどうなるか楽しみにしていた。転校生で一人だった彼女だが、転校先は漫画を知らない子たちばかりで彼らに漫画の楽しさを教え周りには友達が増えていく。
そして漫画の展開も終盤になりどんな最終回か皆で予想する、が・・・。

新たな傑作。
いつも通り頭のねじが外れ

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コンプソンズ『岸辺のベストアルバム!』 の感想

コンプソンズ『岸辺のベストアルバム!』 の感想

作・演出/金子鈴幸(会場:下北沢 B1)
これから上演される演劇は私が作った演劇。
見知らぬ少女と出会う少年、偶然出会ったママ友、歌舞伎町に秘められた秘密。暗躍する存在の目的は一体。

傑作。
いくつもの物語が同時進行し、やがてひと繋がりになるという構造はすでにやり尽くされているが、フィクションの世界で自由奔放に暴れ散らかして見たことない破壊力。
幸せそうに見えたママ友たちは、疎遠なり問題を抱える

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宇宙論☆講座『宇宙論☆講座 the BEST & the WORST』 の感想

宇宙論☆講座『宇宙論☆講座 the BEST & the WORST』 の感想

作・演出/宇宙論☆講座(会場:北とぴあカナリアホール)

上演しようと思ったが、出演者のぺけが寝坊で遅刻してしまったため開演時刻10分推しのアナウンスをする。しかし、劇団側の都合で推すことにブチギレた観客が抗議をする。そんな彼に、過去の上演を思い出す提案をする。

これまでの良かったシーンだけを抜粋というコンセプトだが、近年メタ演劇を主軸にしている宇宙論なので、ただの総集編にしないだろうと思ったが

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かながわパフォーミングアーツアワード2024 の感想

かながわパフォーミングアーツアワード2024 の感想

かながわパフォーミングアーツアワードのコンペの感想。
元々、神奈川かもめ演劇祭として始まり、かながわ短編演劇アワードになり2回目の改名。安定しないねぇ。
元々アート色の強いコンテストだったが、この改名はその表れか。
6団体の作品が上演され、グランプリを目指す。
またコンペ外である高校演劇2校、神奈川県立厚木高等学校演劇部(3月16)日々輝学園高等学校横浜校演劇部(3月17)も上演される。これが変わ

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B子『さんぽハイ』  の感想

B子『さんぽハイ』  の感想

作・演出・出演/B子 (会場:イズモギャラリー)
温泉で乳繰り合う男女を覗き見。女の体を触る男に女は趣味の散歩の話をするが、どこかおかしい。彼女の語る場所は住んでる街には存在しない場所で

今回で見るのは3作目だが、一番強烈。
覗き見男と男女の話を主軸に様々なエピソードが入り乱れる。濁流のように奇想天外が訪れ、B子の脳みその中。無秩序に非現実的な光景が入り乱れてくる。しかし、これは女が散歩する世界

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若手演出家コンクールの感想(2024)

若手演出家コンクールの感想(2024)

毎年恒例の若手演劇人三冠の一つ。

割と不作気味の年が多いが今年はどうか

鈴木あいれ(コメディアス)『キャッチミー開封ユーキャン RTA』
借金を抱えた人間が挑む人生を賭けたゲーム。それは1時間以内に狭い箱から脱出すること。ようやく手を一本出せる穴から手を伸ばし、箱の壁面にあるギミックを解いていくが・・・。
彼らの出世作を、コンクールの制限時間1時間のタイムリミットにリメイク。リアルタイムで役者

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老若男女未来学園『球(kyu)』   の感想

老若男女未来学園『球(kyu)』 の感想

作/森悟  、 演出/山﨑陶熙(会場:新宿眼科画廊)
男は大学の友人に会いに来たが彼が住んでいたマンションは無い。近くの喫煙所にやってきた地元の男女に尋ねてみるが、分からない。女性は人生相談が得意らしく、試しに友人と過ごした大学時代の思い出を話してみる。

過去への悔恨。過ぎ去ってしまった大学生時代、自堕落な学生時代に寄り添ってくれた友人への思い。
と、ドラマティックになりそうな内容だが、なんだか

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若手演劇人三冠2024(若手演出家、かながわパフォーミング、せんがわ劇場)

若手演劇人三冠2024(若手演出家、かながわパフォーミング、せんがわ劇場)

若手演劇人三冠とは、若手演劇人が取るべき登竜門的3つの賞
若手演出家コンクール
かながわパフォーミングアーツアワード
せんがわ劇場演劇コンクール
のことである。
東京圏の賞だが全国の劇団が対象であり、上演主体のコンテストで戯曲賞でもお題の戯曲があるわけでも、無名有名バイアスもかからない。そんな賞がこの三つ。
文学賞とかスポーツとか映画にはあるのに演劇には三冠がないから私が勝手に呼び始めた。今年のフ

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王子小劇場『見本市』 の感想

王子小劇場『見本市』 の感想

王子小劇場が主宰となり開催する、無名の若手劇団限定ショーケース。
第1回は強烈な面白さのオドルニクを始め、紙魚、食む派、南極ゴジラ、キルハトッテ、海ねこ症候群などその後1年で人気を急上昇させた劇団が参加。全団体面白いショーケース史に残るとんでもない高レベルだった。
2年ぶり第二回。今回は前回を超えるか。

Aグループふわふラプニカ
『出血大サービス‼︎天使の羽根もぎもぎ放題〜ただいまセール中〜』

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