KIRISEN MONTHLY COLOR 12月の色は燃える様な美しいもみじのBURGUNDY
群馬県桐生市の染色工房、桐染の平本ゆりです。久しぶりの投稿になってしまいました。
さて、今回は普段SNSでは詳しくお話しきれないKIRISEN MONTHLY COLORについて書きたいと思います。
いつも桐染のSNSを見てくださってる方は知って頂いてると思いますが、桐染では毎月季節の色を提案しています。
12月の色はこれまでGREEN、紅白(朱赤と抜染)を選んできましたが今回はBURGUNDYに決めました。
ここ数年冬がどんどん暖かくなってきてる気がしていて、毎年12月〜翌年2月までの3ヶ月の色がなかなか決められないでいました。季節感が掴めない冬…特に2023年はそう感じました。11月頃まで薄着で過ごせてしまったし。
12月は毎年家族でお墓参りに行くのですが、ノコギリ屋根の工場の街並みが見渡せるお寺に先祖のお墓があります。桐生らしい景色の見渡せるお寺さん。そのお寺には立派なもみじの木が立っています。
見て!すっごくキレイな色じゃないですか!?
お寺に行くたび、この美しいもみじを見ては圧倒されてしまいます。こんなにも自然の中に美しい色があるの…!?と。
あまりにもキレイに赤く染まっているので、偽物の様にも見えてしまう程。あーもみじは12月が1番キレイなのかもしれない…と近年感じています。ちょっと前までは10月頃が見頃だったんじゃないですかね?
ご先祖様にお参りをして、美しいもみじがあまりにも頭に残っていたので12月の色はもみじの赤にしようと決めました。みなさんにも美しいもみじに目を向けて欲しい!と思ったのです。
色を決めたら、色を作る作業へ
もみじをイメージして赤っぽい色をKIRISEN MONTHLY COLORにしようと決めたなら、さぁ色を作る作業に進みます。
KIRISEN MONTHLY COLORと連動して、お洋服の染め直し受付もしているので、色を作る工程はマストとなります。
過去に朱赤で受付はやった事があったのですが、あまり人気は無かったな…と過去のデータを見つつ。朱赤は鮮やかな赤だったので染め直しにはあまり向かない色だったみたいです。多分みなさん派手過ぎて自分の洋服が染まるイメージが出来なかったのかな?
過去に受け付けた朱赤はこんな感じの派手な赤でした。こういう赤を朱赤と呼びます。印鑑の様な赤です。印鑑の赤も朱印て呼びますよね。そんな赤でした。
今回はもう少しくすませた赤にしたいと思っていました。肌馴染みも良く、深い赤にしたかったのです。頭に描いた理想の赤を作る過程にはいります。私はこの色のイメージをする過程を大切にしています。より明確な色を先ずは頭の中で思い描きます。現物である色では無く、頭の中だけにある理想の色をより具体的にイメージしてから染色に入ります。
写真はデータの違う赤です。上から順に色を作り、徐々に理想の赤に近づけて行きました。上から3番目が今回決めた理想の赤です。
1番目だとややピンク寄り。なんかイメージと違う。もっとこっくりとした色にしたいと思い2番目へ。2番目はやや紫寄り。これは赤紫にも見えて理想の赤ではない。
そしてようやく3番目へ。このくらいのこっくりとした深い赤を求めてた!そう納得してからサンプルに入ります。こうやって微調整をして色のデータを確定させています。
サンプルを染めてみる
みなさんにこの深い赤をお知らせする時、色の名前を決めるのも大切にしています。このこっくりとした赤にピッタリな言葉だと思いBURGUNDYと言う事にしました。BURGUNDYという言葉の響きも好きですし、2023年は夏からずっとBURGUNDYという言葉が頭から離れなかったので、それも選んだ理由でした。個人的にとても好きな赤に仕上がりました。
みなさんに染め直しのBEFORE & AFTERをお伝えする為に、必ずサンプルを先に染めています。視覚で伝える事は元グラフィックデザイナーだったので大切にしたいと思っているので、時間が無くても必ず染めてから写真撮影をしてビジュアルを作ります。
よく、フォトショで色付けてるの?とデザイナーの友人から聞かれるのですが、必ず実物を染めて、必ず実物を写真に撮っています。
正直、あくまでイメージ画像なので、フォトショで色を付けてビジュアルを作る方が時間もかからず楽です。
でも、染色って計算通りに行かない事が多い。お洋服の素材や元の色によってどう仕上がるか予測不可能な部分も多少あるんですね。なので、必ず実際にサンプルをやってみて、みなさんにお見せしたいと思っています。染屋なので、染色には誠実に向き合いたいと思っています。
こんなプロセスを経て、毎月みなさんにKIRISEN MONTHLY COLORを提案しています。始めた当初は毎月色を提案する事がかなり大変で、毎月息切れしていました。
それでも毎月続けてきたのは、染屋の存在をみなさんに忘れて欲しくないから。染屋ならではの美しい色を知って欲しいという思いで続けています。たまにお休みしてしまう月もありますが…。
続けて行くうち、毎月の色を楽しみに待ってくださってる方も増え、大変嬉しく思っています。
今回はKIRISEN MONTHLY COLORの舞台裏についてお話しました。最後まで読んで下さりありがとうございました。