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読書月報

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親の仇のように本を読む。その記録、報告書。実際敵討ちなのである。高校時代鬱で読めやんかった分を取り返すように。一冊の本は自殺の遅延である。
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2022年5月の記事一覧

2022年4月に読んだ本

2022年4月に読んだ本

4月です。

1 永井みみ『ミシンと金魚』★★★★★

西荻・今野書店で気になり購入。
うーん、これはすばらしい。なぜ前回の芥川賞候補にならなかったのかが不思議だ。認知症の語り手が限られた語彙で、しかしこれ以上ないくらい生き生きと描き出す狭い世界と自身の生涯。小説にとって何よりも大事なのは語り、その声であるということを、改めて突きつけられる。宇佐見りんのデビュー作『かか』にも通づるような独特の訛り

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