「祭り」に集う人々を書きたい
今朝もバスから見える長良川を、スマホを窓に押し当てて撮った。
長良橋を渡る間の数秒、毎日のように見る景色なのに見飽きることなんてない。
こんにちは。こんばんは。
「こよみのよぶね」noteを書いているライターの小笠原ゆきです。
岐阜市で生まれ育ちました。
この記事は少し個人的な内容も含まれますが、本でいうところの「はじめに」になるかと思います。読んでいただけたら嬉しいです。
わたしにとっての長良川は家族や仲間とバーベキューしたり、友達と花火をみたり、県外の友達と歩いたり、仲間や友達と川飲みして語り合う、そんな思い出が詰まった場所です。
長良川での思い出に加わったのが、冬至の日の「こよみのよぶね」です。
関わるきっかけは不安に勝った好奇心
わたしは2012年に初めて参加しました。
それはとても偶然で、突然始まりました。
チャイがおいしい大好きなお店で、その日も一人の時間をまったりと過ごしていました。
そこに現れたのは、その年の制作リーダーの一人、山本さん。
「あ、いた! こよみのよぶねで行灯作らない?」
参加予定だったチームがキャンセルになり、誰か作りそうな人がいないか探していたそう。そこに「いた」のがわたしでした。
立ち上げに関わっていたハワイアンイベントでの参加を打診されたのです。
3メートルほどの大きな数字の行灯を竹を組んで作る。女性が多いチームで作れるのか不安はありました。と同時に、大人の図工みたいだなとわくわくする自分がいました。
もう一つ大きな決め手、それは日比野克彦さんという存在。
美術館でみて強烈に印象に残っている作品ってありますか?
わたしの中に印象深くあるのは、小学生のときに見た日比野克彦さんのダンボールアートなのです。
純粋に、見て楽しかった、わくわくしたから記憶されているのでしょう。
どんな人なんだろうという興味があって、参加を決めました。
友達になりたい人たちがいる
先日、初回から参加し制作リーダーも務められたお二人の方とご一緒する機会がありました。
その時の会話で、
「大人になってから友達ができる機会って少ないよね。」
知り合いが増える機会はあれど、友達と言える関係性までの密度がある機会は確かに少なくなっていきますよね。
そんな機会になるのが「こよみのよぶね」だという話で盛り上がったのです。
そうなんです!
わたしも参加して友達ができました。
わたしが関わり続けている一番の要因は人なんです。
年齢も業種も住む地域も違う人たちが集う。
年に一度、冬至にだけ会える人もいます。
「ぶっちゃけ、なんで書こうと思ったの?」
そう問われたので、その時ちゃんとぶっちゃけられなかった返事をここに書きます。
わたしが友達になりたいと思える人たちがいっぱいいるからです。
「こよみのよぶね」に集う人たちを書きたい。
書くには取材をする。話を聞ける機会を作っちゃおうと思ったからです。
タモリさんの名言がありますよね。
このnoteを勢いで作ったわたしは、「こよみのよぶね」を知ってもらいたいという気持ちが一番なのですが、ここに関わることになった人たちのことを書きたいと思います。
そして友達になりたいです。
真剣に楽しみたいと思います!
イベントじゃない。祭りなんだ!
制作リーダーさんたちとの会話の中で、何気なくわたしが発した言葉がありました。
「このイベントが……」
すると、「こよみのよぶね」に欠かせない元制作リーダーの吉川さんが少し前のめりになり、わたしの目を見て言いました。
「イベントだと思っていない! これはお祭りだ!」
もう一人、その場にいた通称「親方」、古川さんも大きく頷きます。
そうだ、お祭りなんだ。
長良川という岐阜に住む、関わる人にとって大切な場所で開催している意味。
わたしも小さい頃に地元のお祭りで毎年お神輿を担いでいました。地域の隅々までまわり、みんなで食事をし、大人たちはお酒を飲み、住んでいる人たちの顔を見る。
それは当たり前に何十年と続いていました。
その後何度か引っ越しても、地域のお祭りを見る機会はありました。
そこに住んでいる人たちの顔が見れました。
全国には数え切れないほどのお祭りがあります。
先祖代々伝わってきたものがあります。
そのために帰省するくらいの情熱があります。
お祭りなら、1000年続くことも夢ではないかもしれない。
図書館で祭りに関する本を見ていたら、1冊の本に出会いました。
川崎市岡本太郎美術館 編 『岡本太郎と日本の祭り』
その中に書かれている岡本太郎さんの言葉をご紹介します。
祭りに参加したくなってきませんか?
家でもない、学校でも職場でもない、一年に一度集う場所があったらいいと思いませんか?
気軽に地域とか年齢とか関係なく参加できる祭りがあったら楽しいと思いませんか?
ここに記します。
「こよみのよぶね」はイベントじゃない! お祭りなんだ!
昨年の「こよみのよぶね」当日、川に浮かぶ船が一番きれいに見える場所、長良川右岸プロムナードで一人の男の子が両親と一緒に歩いていました。
泣きながら彼は
「あの船に乗りたい!」
そう訴えていたのです。笑ってしまうくらいかわいらしくて、でも彼の顔は本気でした。
この子がいつか行灯を作り、見る側でなく船に乗る側になって参加してくれる日がくるように、この祭りが続くことを願っています。