令和6年読書の記録 冨田勝『脱優等生のススメ』
私の収集癖をくすぐりまくる「ハヤカワ新書」のNo.007。
得意科目を極めるよりも、共通テストに向けた5教科7科目の勉強が優先される日本の学校教育。だがそのように「与えられた問題をそつなくこなす」優等生は今、着々とAIに代替されつつある-。やりたいことで、やる価値があることなら、やらない理由がない。点数かせぎをやめて、自分の「好き」を徹底的に追求しよう。慶應義塾大学先端生命科学研究所の初代所長が、山形県・鶴岡の地から次世代のイノベーターを多数輩出してきた20余年の経験と自らの研究者人生をもとに語るメッセージ。
↑本書そでの部分の紹介文引用
高校受験を控える息子がいることもあり、いろいろと考えさせられました。
小学生のうちは、教科書に載っている基本的なことについては、ある程度暗記することは必要だし、「読み書き計算」などの基礎的な勉強も生きていくうえで欠かせないけど、高校生になっても「教科書を覚えた人が勝つ競争」をやることの意味はどれだけある?それは「点数をかせぐためだけの勉強」であり、本来の学問の面白さは生徒には伝わらない。試験や受験のために「興味のない教科書を覚える」ことをしないといけないのは、多くの生徒にとって苦痛なのではないか。
と、こんなことが割と序盤に書いてあって、確かに。と思ういっぽうで、自分自身、数学や理科系の知識のなさで今、困っていたりもするので高校卒業までくらいを「基礎的な勉強」の範疇として覚えてもらいたかったりもする。
好きなこと、やりたいことはどんどんやってほしいと思うけど、高校卒業レベルの知識はまんべんなく身につけておいたほうが将来きっと役に立つとも思う。でも両立は難しくて、現状の受験のシステムでなんとか大学まで行くには残念ながら「興味のない教科書を覚える」ことが優先されてしまうんですよね。というジレンマを抱えつつ、でも私自身、大学に受かるための勉強というのはいっさいしたことがなく、試験でいい点数をとるためのテクニックを身につけるために塾に通うということはしませんでした。同じ「興味のない教科書を覚える」でも、それを試験のためではなく、もっともっと未来の自分のためにしてくれたらいいのにな、なんて思いながら、試験勉強に立ち向かう息子の姿を眺めています。
それとは別に、この本は齢四十四の私にとっても今後の人生の指針となりそうな言葉がたくさん紡がれておりました。
著者の冨田勝さんは、一人で五千回ポーカーを繰り返し、「スリーカード」と「ツーペア」はどちらのほうが出やすいかの統計をとるなど、実にマニアックなことを徹底的に極めたことがあり、そんなしょうもないことでも、極めれば感動したり評価したりしてくれる人がいることも知っています。こういう姿勢、こういう事実は私をとてつもなくワクワクさせてくれます。今の世に蔓延る冷笑主義の正反対をいってますよね。改めて自分もこうありたい、と強く思いました。嘲笑う人、多いですけどね。
自分のやっていることは間違いじゃない。
ただ、まだまだ不足しているだけなのだ。
齢四十四にして何も成し遂げていない大人をも奮い立たせてくれる言葉が実にさりげなく散りばめられています。
普段、薄くて浅い知識をひけらかしてくるマジョリティおじさんのくそ面白くない自慢話を聞かされて辟易している分、ものすごく潤いがあります。
「ピンチ」はあなたが何もしなくても一方的にやってくることがありますが、「チャンス」はあなたが行動を起こさないと掴むことはできません。
あとがきの最後の最後にまでこんなに力強く背中を押してくれる言葉がありました。
今一つ、自分に自信を持てなくて、このままでいいんやろか、と自問しながら生きている中年にも突き刺さる一冊です。
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