読書の記録 筒井康隆『農協 月へ行く』
昭和54年に初版が発行されていますから僕より1個年上です。その品のなさ、傍若無人、やりたい放題の成金趣味で全世界を震え上がらせ外国の辞書にも載った「ノーキョー」の皆さんの月旅行の顛末を描く表題作をはじめ、小松左京さんの超大作『日本沈没』のパロディ『日本以外全部沈没』ほか全7作の短編小説集。最後に収録されている『村井長庵』の医師村井長庵はこれまで読んできたあらゆる物語の登場人物のなかでいちばんクズでした。この村井長庵を筆頭にクズ人間がたくさん出てくるんですが、そのクズぶりの幾らかが自分の中のクズな部分に刺さります。ちょっとそういう部分があるんです。いや、ちょっとどころじゃないかもしれない。汚かったりいやらしかったり情けなかったり横柄だったり、そういうところ、自分にもあるよなーって思ってしまう。こういう話を書き切れるんだから筒井康隆ってめちゃくちゃ常識人なんだろうな。
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