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駅前散策日記 JR芦原橋駅編

 「JRの駅の近くには必ず本を買える店がある」を証明すべく、知らない駅を降りてお散歩するという企画、職場のある弁天町駅、そのお隣の大正駅に続いては大正駅の隣の芦原橋駅を下車してお散歩することにしました。

 お腹も空いていたので駅前で何か軽く腹に入れてから書店探しを、という青写真を描いていたのですが、芦原橋駅を降り、北口改札を出たところにあったのはケンタッキー。せっかく初めて降りた駅なのに知ってるケンタッキーに行くのはなんとももったいない気がしたので、もう少し歩くことにしてみました。

 なにわ筋という大きい道沿いを歩いていると不安な気持ちになりました。雨模様だったからというのもありますが、なんというか、道も建物も何もかも、一つひとつがでかくて巨人の国に迷い込んでしまったかのようなのです。どちらかというと絶対に阪神の国なんですが、なんにせよ町全体が阪神や巨人が獲ってきそうな2割3分20本でチャンスに弱い外国人助っ人みたいに大味なんです。普段、京都という小ちゃい小ちゃい町に住んでいるものですから、あまりにでかいガランとしている街並みに出くわすと本当にこれでいいのか、と不安になるというわけです。もちろん書店なんぞは無い。これなら駅から割と近いところにあったファミリーマートで雑誌でも買って帰るのだった。

 なにわ筋を直進するも、それがどの方向へ直進しているのかを私はわからなかったんですが、進行方向に「十三」と書いてあったので、なんとなく方向が掴めました。右手には「なんば」と書かれてあります。右へ行くとたぶん、JR難波駅があるはずで、そうなると、仮に書店を見つけてもそれはもはや芦原橋駅の最寄りではなく難波駅の最寄りということになってしまうから、それを避けたい私は十三の方向へ歩いていきました。

 しばらく歩いていくと、どうやら今歩いているなにわ筋の右隣、つまりおそらく東隣には御堂筋があるのではないか、ということを肌で感じとった私はどこぞの交差点で右折してみたところ、神座ラーメンを発見したので入店。白菜が乗ってるラーメン。去年亡くなった友人のかとちゃんは、白菜のイントネーションが私と違っていて、それが妙にイラッとすることがあったことを思い出しました。いまはもう一度、あの白菜のイントネーションが聞きたくて、私は一人、あのイントネーションで「白菜」とつぶやきながら完食しました。

白菜はあのイントネーションで


 そして気づけばアメリカ村。これはもはや、芦原橋駅の最寄りとは言えないはずですが、そんなことは問題ではなく、とにかく降りた駅から書店が見つかるまで歩くのがルールです。今日、そうやってルールが変わりました。心斎橋PARC◯っていうショッピング施設のなかに一軒書店があったのですが、これが、まったくよくなかった。と書くと悪口になる。まったく私に合わなかった。その書店と私の両方を知ってる人がいれば「そら、涌井くんがあの店行っても絶対に違うと思うわ」と言われるに違いないから、書店が悪いのではないはず。かといって私が悪いわけではないのですが、なんといえばいいのか、カフェが併設されていて、カレーなんかも食べられるんですが、そのカレーの名前が「元彼の好きだったカレー」だったりしまして、ああ、ここは私の来るところではないのだと悟ったのです。漫画が置いてあったから、ちょうどいいから『チ。』の7巻を買おうと思ったら1巻と最終巻(8巻)だけが面置きされていたり、合わないと思ってしまったらことごとく合わないものなのです。同じ書店でも「かわいい」とか「オシャレ」とか思ってしまったらそのつもりで買い物できるのですが、冷めてしまったら一つひとつが「無い」と思えてしまいます。どちらが悪いかといえば、やっぱり書店ではなく私が悪いのだと思う。

 それなりに歩いたあとにようやく見つけた書店との相性がよくなくて落ち込みながら心斎橋を歩いていますと、すぐ近くにBOOKOFFがありました。あるじゃーん!筒井康隆の短編集と湊かなえ『贖罪』と池波正太郎『剣客商売』第12弾を買いました。芦原橋駅の最寄りの書店が心斎橋のBOOKOFFてどういうことやねんと思いますけど、それはそれで面白い大阪散歩でありました。

安定のBOOKOFFなのだ

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