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【感想】書籍「星の王子さま」

「星の王子さま」サン=テグジュペリ著

大学の課題で、自分が人生に迷った時、助けや指針を得る目的で、課題図書である名著を読んで、レポートを作成するというものがありました。
私が選んだのが、『星の王子さま』です。実は読むのは初めてではなく、以前に一度は読んでいるはずなのですが、いかんせん忘れっぽい私は、その時、何を思ったのか、まったく思い出せないのでした。

この後は、その際のレポートから一部抜粋して、内容を大きく書き換えて、お送りします。なお、レポートの提出は無事終わり、単位取得できてます。

砂漠で遭難した主人公が、一人の少年に出会います。その少年は、元々ある星にいて、そこから旅をして、地球にたどり着いたのです。彼は「ちび王子」と呼ばれました。そして、「ちび王子」とお別れするまでの物語です。「ちび王子」は地球に来るに至った経緯を、主人公に話します。

「ちび王子」が星を出るきっかけになったのは、一輪のバラとのすれ違いです。また、旅の途中で様々な人と出会い、交流をします。その中の一人(一匹)であるきつねは、友だちになる、つまり「なつかせる」ためには、時間も我慢強さも必要だと説きます。また、人との交流で、一輪のバラの大切さにも気づくのです。

インターネットが普及して、距離や時間を問わず、人は簡単に他者と繋がれるようになりました。ただでさえ、人との関係に悩みは尽きないのに、その範囲が広がってしまえば、悩みも増えます。繋がるのは簡単になりましたが、その関係を深めるのには、時間も忍耐も必要です。

ですが、私たちはそれらを費やすことを惜しんでいないでしょうか。そして、せっかく築き上げた関係も、ほんの少し価値観が合わなかっただけで、さっさと手放してしまってないでしょうか。。それは相手のせいだと決めつけていませんか。逆に自分のせいだと悩んではいないでしょうか。

人と関係を深めていく期間は、とても大変だし、自分の心も大きく揺り動かされます。時には面倒だと、投げ出したくなることもあるかもしれません。相手と築き上げた繋がりは、決して目には見えません。また、関係が深くなった後でも、相手の思いや価値観は、もちろん見て確かめることができません。

目に見えないものを信じるのは楽ではありません。正直、本当に繋がっているか不安になるし、そんな不安を抱えるくらいなら、なくてもいいじゃないかと思います。ただ、『星の王子さま』では、「大切なことは目に見えない」といいます。

『星の王子さま』は、「合わない人とうまく付き合うには?仲違いした友人と仲直りするには?」といった人間関係の悩みを解決するのに有効と言われて読んだのですが、元々友人が少ない私は、仲違いする人もいないし、合わない人とは、自然と距離を取ってしまいます。どうしてもダメという人も、今までいなかったんですよね。

なので、人と関係を深めていくにはどうすれば?という観点から、読みました。人によって、いろいろな読み方ができると思います。童話かなと思われがちですが、読むと奥の深い物語です。でも、文体はまったく堅苦しくないので、読みやすいと思います。もし、人間関係についてお悩みの方は、自分のことに照らし合わせて、本書を読んでみてはいかがでしょうか。

以上、説那せつなでした。

私が読んだのは角川文庫のもの。大学からは岩波少年文庫のものを薦められました。訳者によって、表現が異なるので、読み比べると、面白いかもしれません。

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説那(せつな)
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