ヘアードネーションは罪??必要なのは選択肢を提供できる世の中になること
◆ヘアードネーションは罪なのか
最近見た記事の内容が、ヘアードネーションについてでした。タイトルを見て、僕は驚きます。
【無邪気な「ヘアドネーション」に潜む"罪”。なぜ「いいこと」で終わらせてはいけないのか?】
なぜ驚いたかというと、僕もヘアードネーションをやったことがあるからです。しかもいいことだと思って誇らしげに切り落とした髪の毛を寄付しました。ヘアドネーションに書いた記事も張っておきます。
個人的にかなり注意を引くタイトルで、自分がやったことは間違いだったのかとドキドキしながら記事を拝見しました。
今回のキーワードは「選択肢」です。
◆ウィッグの提供が「差別」を助長する?!
記事によると、ヘアドネーションを日本で初めて行った団体、「ジャーダック」が提供してきたウイッグは、ほとんどが女性に提供されたと話しています。
この現状に対して、ジャーダック代表の渡辺貴一さんは記事に対して以下のコメントをしています。
僕らはこれまで、600以上のウィッグを提供してきました。その9割が女性です。活動をする中で、ウィッグを使う多くの人たちに出会ってきました。
5歳くらいの女の子が、友達と遊んでいて暑くなったら職員室に行ってウィッグを外して汗を拭いて、またウィッグをつける。ご両親は先生に対して、他の子には、ウィッグをつけていることを言わないで欲しいと思っている。女の子は暑くて何度も職員室に行く──。
なぜこんなことが起きるのでしょうか。女の子が「髪の毛がない」「短髪」だとどんなふうに周りから見られるかを想像してみてください。ジェンダーに基づく役割への紐付けが前提になっていると思うんです。
髪の毛を寄付してもらい、ウィッグを作って渡す活動そのものが、「ウィッグっていいでしょう?髪の毛があることは素晴らしいですよね」という、髪の毛に問題を持たない人たちを中心に作られた社会構造の中に、たまたま髪の毛がない人たちを押し込めてしまう側面が否めないのではないかとずっと悩んできました。
ウィッグを渡せば渡すほど、「長い髪の毛って美しいでしょう?女性らしいでしょう?」という考えを、暗黙に強要してきたと言われても仕方がない側面があると思っているんです。
一方で、脱毛の症状によって「地獄のどん底」にいたけれど、ウィッグによってその状態を脱して社会に馴染んで生活していこうと前を向いた人もいます。だから必要なのは「選択肢」なんです。
ウィッグがあれば、病気や何かしらの理由で髪の毛がない人に対して貢献している、貢献につながることだと思っていた僕の前提が覆りました。
美容師の練習用マネキンにもなると話を聞いたことがあったので、ウィッグにならずとも何かしらで役に立てる。そう思っていました。
実際はウィッグを提供した9割が女性だと今回知りました。ウィッグを渡すたびに、髪の毛が長い方が女性らしいでしょう、という暗黙の強要。そういったジレンマを知れたことが学びでした。
その反面、必要としている人も確かにいると思います。だからこそ一概に「いいこと」で終わってはいけないと強く感じました。
◆必要なのは選択肢
女性らしさを強要することになっている反面、ウィッグがあることでどん底から立ち直ることができた方もいると話しています。
だからこそ、生き方に合わせて選択できる世の中、社会になっていく必要があるなと強く僕は思いました。
もちろん、ヘアドネーションは本来捨てられてしまう髪の毛も、必要とする誰かの手助けになることは確かです。
ドネーションは「寄付、寄贈」という意味があります。
寄付という言葉が、イコール「いいこと」としてとらえられていることも原因の一つかもしれません。ただヘアドネーションの場合は、差別を助長する可能性もあるということを知っておく必要があると思います。
少なくとも僕はヘアドネーションをして、いいことをしたと思っていた張本人なので、心に強く響きました。必要なのは選択肢を提供できる世の中になっていくこと、意識改革だなと感じます。
◆最後に
ヘアドネーションが差別を助長するかもしれない
僕がこの事実を知っていたとしてもドネーションはしたと思います。なぜなら必要とする誰かのためになってほしいと思うからです。
この現状があることを「知る」ことがとても大切だなと感じました。僕自身ヘアードネーションをやったことがあるからこそ目に留まった一つの記事ですが、そうでもなかったら見過ごしていたかもしれない。
そう考えると、今まで「いいことをした」と思い込んでいる自分がいたなと思います。今回この記事に出会えて、僕自身の価値観の幅を広げることができました。
個人的には学校教育でも取り上げたら面白いのかなと個人的には思います。
大人になってからだと、僕もしかり考え方、価値観が凝り固まりがちですからね。
そして会話を続けていくこと、一人でも多くの人にこの現状を知ってもらうことで、少しずつ社会は動いていくと僕は信じています。そのために僕自身も日々アンテナを張って、アップデート、発信してきます。
ではまた!