【心と体】コンビニトリップ
さっきコンビニに行ってきたというあまりに普通の出だしですが私にとってはちょっと普通じゃなかった
子供が寝て、なんだか今日は妻も寝た。
お疲れ様です。
なんかちょっと飲みたいなぁ。 コンビニ行こうかな。
そもそも深夜に一人コンビニ行こうなんて思ったの、結婚してから9年で初めてだ。
面倒くさがりな私はいつも車で移動する。
だけれどエンジン音で万が一、2人を起こしてしまったらかわいそうだ。
かといって歩くのはめんどい。 チャリで行こうか。
自転車に乗ることすら何年ぶりのことか。
案の定、乗っていない自転車の空気は抜けていた。
大丈夫、製造業はコンプレッサーを持っているものだ。
プシューっと一瞬で空気を注入。
もしも起きてしまった時のために「ちょっとコンビニいってくるよー」と妻にLINEを入れておく。
いざ行かん、片道2分の旅へ。
「お、まじか」
景色が違う。
自転車の速度と深夜の電灯はとても相性がいい
なんだか懐かしい。
懐かしいと思うのは、よくコンビニに行っていた結婚前のことを思ってなのか、なんなのか。 あっという間に到着。
リラックスして入店する私の後ろから駆け足で「親切すぎるほど見た目で分かりやすい輩」がゼーゼー言いながら駆け足で私を追い越して店に入った。
私は警戒心が強い。
一瞬で3パターン浮かんだ。
①店員に「おい、金を出せ!」 これは通報するタイミングに困る。 私にそのセンスが問われるので自信がない。
②私に「痛ってーな兄ちゃん!」 なんとも古風な挑発だが、そんなこともあり得るくらい「分かりやすい風貌」をしていた。 なんなら降りた車にいわゆるアニキらしき人が待っていたのを見た。 こわいこわい。
③自動扉に「蹴りガッシャーン!」 そんなこと通常ありえない。 だけれどそれがあり得るんじゃないかというくらいの速さで私を追い越したのだ。 おそらくそうなったら私は怯えつつ「ケガしちゃうから落ち着きましょう」と言うだろう。
答えはどれも違った。
店内にあるゴミ箱に持ち込んだ私物のゴミをガンガン詰めて走って車に戻った。
「マナー違反したいならもっとマナー違反しなさそうな風貌の方が動きやすいだろうに。」不器用さんだなぁ。 そう思った。
関わりたくないから、レジ前のバイト君も見て見ぬふりをしていた。
正解だと思う。
店内をウロチョロしながらも必要な買い物だけ済ませてピコーンとお会計をし店を出た。
で、まだいた。 アニキと輩が乗った車だ。
私が自転車を進めたと同時に車が発信したものだから、少し驚いた。
「これ、付けられて面倒ごとに巻き込まれたらどーしよ。その時はスヤ太よ、妻よごめん。 ちょっと飲もうと思った私の行動が浅はかだった。」
こんなことで人生が詰むことはいくらでもあり得る。
「やっぱりだめ!警戒する。」
自転車をとめスマホを見るふりをした。
すると車はトロトロと帰っていった。
チャリの方が速いくらいゆっくり過ぎる。飲酒運転か?
私を認識できない距離になったので私も帰った。
帰りの途中で思い出した。
なんだか懐かしいの理由を
私は20年以上前の学生時代、深夜のコンビニでバイトをしていた。
けっこう長かったし、今思えばそこでの経験や出会いは有意義だった。
深夜だから輩はけっこういた。
そんで、輩にいつも気に入られた。
「兄ちゃんいいやつだな。これ俺からのおごりだよ。」
そんなこともよくあった。
「受け取れません!」と言いながらもお小遣いをもらったこともある。
「気に入った」と言われ強制的に握らされるのだ。
とくに私が何かしたわけでもない。
彼らが話しかけたことに対して応対していただけだ。
私の返事はだいたい同じ。
「いいっすよ」「いいっすね」「すごいですね!」「笑っちゃいました」
あぁ、今思えばどれも「同調」だ。
そうか、彼らはそれが嬉しかったのかもしれない。
だけれど普通に本音だし「別にいーじゃん」というスタンスは今も同じだ。
店内でラーメンをすすり団子を食う。 座り込んで私にグチをこぼす。
店の決まりとか法律とか、あんまし関係ない。
他に客もいないし、私と1対1なのだから2人のルールが合えばそれでいい。
そもそも悪気なんて感じないことがほとんどだった。
カゴいっぱいの可愛いものを詰めて「ねーちゃんたちが喜んでくれるんだ!」って意気揚々と。ほほえましい。
輩の口から「おれ本当は寂しんだ。」若い金髪の他人に打ち明ける勇気。面白い。
それはさておき。
そんな経験とは別に、当時私にはバイト仲間がいた。
なんとなく一緒に居て、なんとなくダラダラ喋っていた貴重な仲間だ。
私は大学生。 他は専門学生や高校生。 おばちゃんおじちゃん。
裕福、貧乏、DV受けてるやつ、親から全否定されたやつ、手首の傷が絶えないやつ、中絶したやつ、愛に飢えてるやつ、レイプされたやつ、鬱のループから逃げられないやつ、恋人への依存が強すぎるやつ、バカでマジメな愛しいやつら。
みんな仲が良かった。
〈あいつら今なにしてるかな〉
それが「懐かしい気持ち」の一番の理由だと気づいた頃に帰宅しました。
たかが、されど、20分の旅。
それをここまで広げてしまう私はけっこうすごいなぁという自画自賛で締めます。
「端から見れば同じような毎日だけれど視点を変えれば発見と感動に満ちていて変化と未知に溢れている」
無駄な経験なんてない。
いや、無駄な経験なんてなかったって思える域に行きたい。
無駄な経験なんて無いと言い張りたいからもう少しだけがんばってみる。
心の持ちよう。
心をそこまで運べるように。
何かしらの壁を克服して心の手を引いて連れていきましょう。
心と体はなんだか友達だと思う。
ではまた★
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