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お悩み相談:後悔との向き合いかた


はじめに

みなさん、こんにちは。
久しぶりにお悩み相談会をお送りします。

これは、ハスノハというお坊さんが答えるお悩み相談ウェブサイトに寄せられた相談に、私コウブンが回答する企画です。

人生には誰しも悩みがつきものですが、その悩みにどう向き合い、どう乗り越えていくのか。
今日は皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

お悩み相談:20年前の脱輪事故

40代の男性から「過去の後悔で物凄く不安です・・・・」という相談が寄せられました。

20年ほど前、会社の営業車を運転中に脱輪事故を起こしてしまった。
その車は、ステーションワゴンタイプの代車で、少し古く綺麗ではない車両だった。
それを路肩に脱輪してしまい、通行人の方にウインチで引き上げてもらうことに。
車の底面に傷がついた可能性があったものの、先輩の「別にいいやろ?」という言葉を信じて報告せずに済ませてしまった。
その車は整備工場から借りていた代車であった。
今になって脱輪が原因で故障や事故が起きていないかと不安になり、報告しなかったことを後悔している。

https://hasunoha.jp/questions/73406

とのことです。

相談への回答

誠実さという美徳

この方の誠実さには本当に感銘を受けます。
20年という長い歳月を経ても、この出来事を鮮明に覚えており、深い罪悪感を持ち続けているということは、非常に真摯な性格の表れですね。
そして、その誠実さこそが、この方の大きな強みなのだと私は感じています。

出来事を客観的に見る

ここで少し、この出来事を客観的に見てみましょう。
事故の程度を考えると、脱輪後も運転可能だったことから、深刻な損傷はなかったと推測されます。

また、整備工場から借りていた代車は定期点検があったはずです。
もし重大な問題があれば、その時点で必ず発見されていたでしょう。

さらに、20年という時間が経過していることを考えると、その車両はすでに使用年限を迎えている可能性が高いと考えられます。

当時としては確かに報告するべきでしたが、実際の影響という意味では、それほど深刻な事態にはならなかった可能性が高いのです。

経験を活かす道筋

若手社員として先輩の判断に従ったことは、当時としては自然な行動だったと言えます。
むしろ、現在の不安な気持ちは、強い責任感の表れなのです。

この経験は、職場環境の改善に活かせる貴重な教訓となり得ます。
たとえば、後輩指導の際に「車両の異常は必ず報告する」という基本的な姿勢を伝えることができます。

失敗から学んだことを、次の世代に伝えていく。
それは、とても価値のあることだと思うのです。

仏教の教えから学ぶ

仏教では、満月(15日)と新月(30日)に「布薩(ふさつ)」という反省会を行います。

これは単なる反省会ではなく、自身の行いを振り返り、戒律をどれだけ守れたかを確認し、より良い未来に向けて改善を誓う大切な機会なのです。

年に一度は「大布薩」として、より徹底的な反省を行います。
このように、定期的に自身を見つめ直す機会を設けることで、私たちは少しずつ成長していけるのです。

反省と成長について

反省することは大切です。

しかし、その反省が自分を縛り付けるものであってはいけません。
反省とは、より良い未来を築くためのステップなのです。

そう考えると、20年も経った今、この出来事を思い出し、深く反省されているという事実は、むしろ素晴らしいことかもしれません。

なぜなら、それだけ誠実に人生と向き合っているということだからです。

おわりに

過去は変えられませんが、その経験を糧として未来に活かすことはできます。
この経験を活かして職場環境の改善に貢献することで、不安な気持ちを前向きな力に変えることができるはずです。

それは単なる反省を超えて、誰かの人生の道標となり、あなた自身の誇りともなる可能性を秘めています。
これからも誠実に、でも少し肩の力を抜いて、前を向いて歩んでいってください。

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蓮城院副住職のコウブンでした。

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