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数字に一喜一憂せず、画面の向こうを意識して発信するということ(『書経』大禹謨篇)

今回取り上げるのは『書経』大禹謨篇からの言葉。

道に違いて以て百姓の誉れを干むる罔れ。
(読み:ミチにタガいてモッてヒャクセイのホマれをモトむるナカれ)

『書経』大禹謨篇

正しい道から外れたことをしてまで、人々から人気を得ようとしてはならない、という意味。

邪道な方法で人気取りをしようとする政治を戒めたものになります。

ちなみに、「百姓」の読みは「ひゃくせい」。

農民のことではなく、天下の民衆のことですね。


SNSやブログ、動画や音声など、いつでもどこでも発信ができる現代。

感想や意見などを気軽に表現できるようになったのは良いことですが、その一方で、以前よりも「周囲からの評価」がついて回るようになった気がします。

SNSではいいねの数やコメントの数、ブログでは閲覧数や検索順位、動画や音声では高評価と再生数などなど。

気軽に発信できるからこそ、自分のアウトプットに対しても、気軽に評価がついてしまいます。

そして、評価がつくと周囲と比べてしまうのが人間というものです。

「同じような記事なのに、あの人のほうが話題になっている……」
「いっぱい投稿しているのに、全然いいねがつかない……」

こういった悩みは割と身近なものではないでしょうか?

かくいう私も、noteでのスキの数や閲覧数などに一喜一憂していた時期がありました。

毎日のようにそれらの指標を計測していると、ときどき伸びの悪い期間があったりするのですが、そうするともう大変です。

「変なことを書いてしまったのではないか」と不安になってしまうのです。

今思うとただの季節性の現象(例:大型連休中で皆さん忙しいとか)だと思うのですが、当時の私は不安のあまり色々と検索しました。

すると、「〇円でSNSのいいねの数を増やします!」とか「〇〇するだけでSNSのフォロワー激増しました!!」みたいな文言が目に入ったのです。

動揺していた私ですが、これを見て少し冷静に。

軽く調べてみたところ、あの手この手を使えば、数を増やすこと自体はそれほど難しくないみたいでした。

ですが、「そこで得た数字は、果たして自分にとってどのような意味を持つのだろうか」と疑問に思ってしまったのです。

確かにそういった手法を使えば、そのときの問題は一時的に解決したかもしれません。

しかし、その場合、本来私がnoteで届けたいと思っている方々とは全く異なる層が集まることになります。

きっと、そこで集まった方々は中国古典や歴史に全く興味がないことでしょう。

これは私の「読者の方に中国古典を身近に感じていただく」という想いに反することです。

数を追い求める方法も確かに一つの手段ではありますが、私には合わないなと感じました。

そういうことを徒然なるままに考えた結果、数字は気にしないことにしたのです。

今では、たった一人でも良いので、私の記事を見て中国古典や歴史に興味を持っていただけたらそれで十分だと思っています。

この気持ちの切り替えが功を奏したのかは分かりませんが、それ以降、徐々に私の記事を読んでくださる方々が増えました。

本当にありがとうございます。

実は、今回の『書経』の言葉には続きがあります。

百姓にさかろうて以て己れの欲に従う罔れ。
(読み:ヒャクセイにさかろうてモッてオノれのヨクにシタガうナカれ)
※「さかろうて」の漢字は「口編に弗」と書きます。

『書経』大禹謨篇

人々の願いに逆らってまで、自分の欲望に従ってはいけない、という意味です。

最初の言葉と合わせて私なりに解釈すると、読者の皆様の願いを無視して数字取りに走ってはいけない、ということだと思います。

私の記事を読んでスキやフォローしてくださった皆様は、きっと大なり小なり、古典や歴史、教養などに興味をお持ちのことでしょう。

そういった皆様の願いや想いを大事にして、古典や歴史を身近に感じるような記事をこれからもお届けしていきたいです。

皆様にとって有益な記事をお届けすることが、ひいては私の「読者の方に中国古典を身近に感じていただく」という願いを叶えることにつながるのだと信じています。

道に違いて以て百姓の誉れを干むる罔れ。
(読み:ミチにタガいてモッてヒャクセイのホマれをモトむるナカれ)

『書経』大禹謨篇

今回は、正しい道から外れたことをしてまで、人々から人気を得ようとしてはならない、という言葉をご紹介しました。

数字だけを追い求めるのではなく、画面の向こうにいる皆様に寄り添った発信を続けていきたいです。

まだまだ暑い日が続きますが、体調管理に気をつけて、一緒に発信を楽しんでいけたら良いですね。

それでは今回はここまで。

また次の記事でお会いしましょう👋


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