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「生きている充実感」と、花がもたらすもの
現代は「生きている充実感」が
少ないのかもしれません。
こんにちは。Kou Flower Art Studioです。
突然すみません笑
ゆるりとお茶でも飲みながら読んでもらえると嬉しいです。
「社会で生産される文化(流行)は、その社会の『欠如』を表す」
これは、坂本龍一さんの1984年の直筆の言葉を拝見したとき、
ふと心に浮かんだことです。
この言葉を目にした瞬間、思わずどきっとしました。
それはまるで、今の時代を映し出しているように感じられたからです。
現在の日本の流行を調べてみると、
「AI」「推し活」「タイパ(タイムパフォーマンス)」といった言葉が
目に入ります。
よく耳にする言葉ですが、
なぜこれらが流行しているのかを考えてみると、
「足りないもの」を補おうとする人の心の動きなのではないかと感じはじめました。
例えば、、
• 「安心して話せる場」がないから、AIチャットが広がる。
• 「自分を全力で肯定できる場」がないから、推し活が流行る。
• 「ゆっくり味わう時間」がないから、タイパ重視の文化が根付く。
つまり、今の社会では、「つながり」「自己肯定」「満足感」が不足しているのかもしれません。
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物質的には満たされているはずなのに、
なぜか心の飢餓感が埋まらない。
私自身、いけばなを学びながら、この対比を強く感じることがあります。
スマートフォンを見ていると、何かをしているような気になりますが、実際には頭も心も動いていません。
けれど、画面をスクロールしながら何かを埋めようとしている感覚がある。
埋めたいものは時間なのか、寂しさなのか、知識なのか……。
それは自分でもよくわかりません。
(そもそも、何を調べようとしていたのか忘れてしまうこともあります。)
一方で、花をいける時間は「ただ目の前のものに集中する時間」です。
おそらく、広い視点で見れば無意味なことかもしれません。
時間やお金をかけて、すぐに枯れてしまう花の枝を曲げたり折ったりしながら、美しく仕上げる。最後は枯れて捨てる。
生きるために必要な知識ではないかもしれません。
けれど、花の香りを感じ、枝の流れを見つめ、手を動かしながら、
ただ花と向き合う。
そこには何かを埋めるのではなく、
変えがたい「今ここにあるもの」に夢中になれる時間があります。
花を飾ると、なぜ心が満たされるのでしょうか?
花を飾ると、ふっと心が落ち着くことがあります。
それは目には見えませんが、心の栄養のようなものなのかもしれません。
この「満たされる感覚」を感じる瞬間、
私は不思議と飢餓感に襲われることがありません。
つまり、生きている充実感を満たすには、
「心の栄養」を摂ることが大切なのではないでしょうか。
Kou Flower Art Studioを始めてからは、その感覚がより強くなりました。
私はさらに深くいけばなを学ぶために、勉強をし続けています。
正直なところ、行くまでは面倒に思うこともあります。
けれど、花をいけてみると、思いがけず満足のいく形になったり、
逆に思うようにいかずに悩んだりする日もあります。
花の青い香りを感じながら、手を動かし、
枝の流れを見つめ、神経を研ぎ澄ませて正解を探していく。
何か特別なことをしているわけではありません。
ただ、目の前の花と向き合う時間があるだけ。
けれど、その時間の中では、心が自然と満たされていくのです。
こういうとき、私は不思議と「足りない」と感じることがありません。
もしかすると、本当に心が満たされるのは、
「足りないもの」を埋めようとすることではなく、
**「今ここにあるもののみに集中すること」**なのかもしれません。
今回の作品のテーマは「リズム」
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花は声を出して歌うことはありませんが、枝先の重なりや流れが音の波のように響き合い、視覚で感じるリズムが生まれます。
軽やかさ、テンポ感、間の美しさ
——これは、日本文化のいけばな独特の表現でもあります。
今回の花材には、3月3日の桃の節句にちなんで「桃」を選びました。
長寿の象徴とされる桃の花は、
今もそっと私たちの暮らしに息づいています。
そしてこの作品は、Kou Flower Art Studioの理念である
「特別な日は生花を愛でる贅沢を楽しみながら、普段の暮らしには気軽に楽しめる花を取り入れられるようにしたい」
という想いから生まれました。
枯れないアーティフィシャルフラワーと、
本物の水のような透明感を持つマジカルウォーターを使用し、
「捨てる」「枯れる」という工程をなくすことで、
長く暮らしに寄り添うデザインに仕上げています。
花を飾ることで、
**時間がゆっくり流れるような「充実感」**を感じていただけたら嬉しいです。
今回の作品は、minnne・creemaにて数量限定で販売中です。
ギャラリーはこちら↓
https://minne.com/items/42260300
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最後に
坂本龍一さんの言葉から気づきを得て、作品のヒントをいただきました。
改めて感謝と追悼の意を込めて。
ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。
もし違う視点をお持ちでしたら、
ぜひコメントでお聞かせくださると嬉しいです。
それでは、また、ぜひ。