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モンテディオ山形 補強診断〜チーム別補強診断#22〜

こんにちは。
Jリーグも開幕してから数ヶ月が経ち、すでに後半戦が始まり、チーム状況を見直しての目標の再設定が行われています。
そこで、「チーム別補強診断」シリーズでは、2022シーズン開幕に向けた各チームの補強に関して、現時点までの成績などを踏まえ評価を行っていきたいと思います。
その上で、各選手の補強診断を『S』から『D』の5段階で評価をし、最後はチーム全体の総括も行おうと考えています。
これまでのシリーズ同様、上位カテゴリーから、北から行います。
第22回となる今回は、モンテディオ山形編です。
なお、すべての情報は9月8日時点となるので、ご了承ください。
また、試合出場などのスタッツは、transfermarktを引用します。

補強動向

改めて、今オフのモンテディオ山形の補強動向を振り返っていきましょう。

なお、この表は以前の記事『2022Jリーグチーム別考察#23 ~モンテディオ山形編~』に記載されている表になります。
また、この表に記載されていない移籍情報は以下の通りです。
【IN】
 喜岡佳太 ←AC長野パルセイロ(完全移籍)
 樺山諒乃介 ←横浜Fマリノス(期限付き移籍)
 デラトーレ ←アトレチコ・ゴイアニエンセ(完全移籍)
 藤原悠汰 ←サガン鳥栖(期限付き移籍)
 ディサロ燦シルヴァーノ ←清水エスパルス(期限付き移籍)

【OUT】
 木村誠ニ →FC東京(復帰)
 吉田朋恭 →栃木SC(完全移籍)
 鈴木国友 →松本山雅FC(復帰)

*木村選手、鈴木選手は今年の加入ですが、すでに退団しているため言及しません。
*夏加入の選手は加入後間もないため、言及しません。

試合結果

選手個人個人の試合での出場データなどをみる前に、まずはチームとしてのここまでの成績を見ていきましょう。

J2リーグ

天皇杯

個人スタッツ

それでは、ここからはオフの移籍市場で加入した選手をポジション順に(GKから)見てきましょう。

①後藤雅明(←ツエーゲン金沢)

試合スタッツ

・Jリーグ

・天皇杯

獲得理由

そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。

 昨季は、ツエーゲン金沢の絶対的守護神でした。比較的、攻め込まれる機会が多いチームの中で、孤軍奮闘をし、評価を上げ、J1昇格を目指すモンテディオ山形へ、J2の中でのステップアップ移籍を果たしました
 山形は、藤嶋選手は残留したものの、ビクトル選手、櫛引選手といった実力者が相次いで移籍してしまっていることがあり、今回の後藤選手の獲得は藤嶋選手と熾烈なポジション争いを繰り広げることが期待されているでしょう。

考察

 開幕戦で、移籍後初スタメン初出場を果たすと、その後も全試合で出場しています。審判の協議規則適用不備により再試合になった第8節は11分のみの出場でしたが、それ以外の試合ではスタメンフル出場しており、完全に守護神になれたと言えます。
 ポジション争いのライバルに思われた藤嶋選手ですが、7月のエリートリーグにおいて、負傷をし全治半年となっており、今季は後藤選手が主軸で揺らぐことはないでしょう。

評価

評価は『A』としました。
 元々、期待値が非常に高い選手であったため、決して期待値を大きく上回っているとは言えません、一方で、完全に主力になっていること含め、『A』評価としました。

②大友竜輔(←アスルクラロ沼津)

試合スタッツ

・Jリーグ

・天皇杯

獲得理由

そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。

 昨季は、育成方期限付き移籍でJ3のアスルクラロ沼津へ期限付き移籍していました。昨季は、J3で20試合に出場し、主力ではありませんが準レギュラーとなりました。
 GKが3選手退団したこともあり、今季より所属元のモンテディオ山形へ復帰しましたが、藤嶋選手に加え後藤選手など実力のある選手がいるため、主力としての働きが期待されているわけではないでしょう。

考察

 開幕より、ベンチにも入れず4番手となっていました。が、7月の藤嶋選手が怪我を負い、負傷離脱していることや、さまざまな要因が重なり、再試合となっていた第8節では79分に出場し、自身初めてJ2のピッチを踏むことになりました
 が、ほとんどの試合では依然としてベンチ外となっており、3番手GKの立ち位置になっていると言えます。

評価

評価は『B』としました。
 元々、主力としての獲得(復帰)ではなかったということを踏まえ、試合にはなかなか絡めていませんが、期待値を下回っているとは言い難いと考えました。

③川井歩(←レノファ山口FC)

試合スタッツ

・Jリーグ

・天皇杯

獲得理由

そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。

 元々、サンフレッチェ広島でプロ入りをしましたが、J1の厚い選手層により6試合の出場に留まっていました。期限付き移籍をしたJ2のレノファ山口では、主力として活躍し、最終年度(昨季)には完全移籍へ移行し、山口では通算82試合出場
3得点5アシストを記録
しています。
 J2での経験が豊富なサイドバックへと成長したことで、山口よりも本格的にJ1昇格を目指すモンテディオ山形へのステップアップ移籍を果たしました。川井選手の攻撃参加やポゼッションへの高い適性は、ピーター・クラモフスキー監督のサッカーには適応できる選手ということも含め、主力になることも期待されての獲得でしょう。

考察

 開幕当初は、なかなか出場機会を掴むことができませんでしたが、第6節の東京ヴェルディ戦で、本職ではない右サイドバックで移籍後初出場を果たすと、その後は継続的にスタメン出場をしています。
 本職である、左サイドバックでの起用が多いものの、試合によっては右サイドバックや右サイドハーフでの起用もあり、ユーティリティ性も存分に活かしています
 ここのところは、9試合連続で左サイドバックでスタメン出場を継続中であり、完全にレギュラーになったと言えるでしょう。

評価

評価は『A』としました。
 主力としての活躍も想定されての獲得であったなか、開幕当初はなかなか出場機会をつかめませんでしたが、第6節でデビューした以降は、継続的に出場しており、現在のパフォーマンスは期待値を上回っているでしょう。

④坂本稀吏也(←興国高校)

試合スタッツ

・Jリーグ

天皇杯

獲得理由

そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。

 高校入学当初は、セレッソ大阪の下部組織に所属していた選手ですが、途中から興国高校に加入すると、頭を使ったプレーを見せ、一気に台頭した選手です。センターバックを本職としつつも、サイドバックやボランチを務めることができる選手で、サイドバックやボランチをやる際には、「大型ーー」というふうになります。
 頭を使うサッカーというのは、クラモフスキー監督のサッカーとの共通点でもあるため、1年目から近くでサッカーを学び、2年後3年後には台頭してほしいという意味合いに思えます。

考察

 高卒ルーキーということもあり、なかなか安定してメンバーに入るということはできていません。一方で、最近はベンチ入りする試合数が増えており、チーム内でレギュラーになるほどではありませんが、それでも少しずつ序列を上げている印象で、着実にプロの世界に適応してきていると言えるでしょう。

評価

評価は『B』としました。
 高卒ルーキーでありながら、徐々に試合に絡んできており、着実にプロの世界に適応してきている状態というのは、期待通りと言えそうです。

⑤チアゴ・アウベス(←GKSグリヴィツェ)

試合スタッツ

・Jリーグ

・天皇杯

獲得理由

そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。

 ポーランドの強豪チームでプレーしていたサイドアタッカーで、名古屋グランパスに所属しているヤクブ・シュビルツォク選手とはポーランドで同僚でした。持ち味は、スピードのサイドアタッカーで、爆発的なスピードだけではなく、落ち着いてボールをホールディングする力もある選手です。
 海外での実績面でも非常に豊富な選手で、意味合いとしてはJ1に復帰するためのラストピースのようなイメージではないでしょうか

考察

 合流が少し遅れてしまった影響で、開幕当初はベンチ外が続いていましたが、それでも、第6節から交代出場で日本デビューを果たすと、その後は、多くの試合に出場しています。
 一方、出場試合数自体は多いものの、絶対的なレギュラーかと言えばそうではなく、スーパーサブという方が若干現状に近いのかなという印象も受けます

評価

評価は『C』としました。
 海外での経験の豊富さや実績面を見ると、レギュラーに定着できるのかなとも思っていましたが、なかなかそうはいかないという現状は、少し期待値を下回っていると言えるでしょう。

⑥小西雄大(←徳島ヴォルティス)

試合スタッツ

・Jリーグ

・天皇杯

獲得理由

そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。

 ガンバ大阪のユース出身の選手で、プロ入りから活躍した徳島ヴォルティスでは150試合程度に出場しており、主軸となっていました。そして、ボランチやセントラルMFでのプレーが本職ですが、得点能力も高い選手でチャンスメイクもできる選手です。
 昨季は、J1でプレーしていたこともあり、山田康太選手らの主力選手に加えて、ターンオーバーなどの時には主軸になれる立場が期待されているのではないでしょうか。

考察

 開幕当初は、ベンチ外や途中出場が続きましたが、それでも第12節でスタメン出場を果たした後は、継続的にスタメン出場を果たしています。今では、完全に主力になっており、獲得は成功であったと言えると思います。

評価

評価は『A』としました。
 当初は、出場機会をなかなかつかめませんでしたが、今では完全に主力になっており、攻撃のスイッチを入れるという面で非常に期待値を上回っていると言えます。

⑦新垣貴之(←ギラヴァンツ北九州)

試合スタッツ

・Jリーグ

・天皇杯

獲得理由

そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。

 J3に昇格してしまったギラヴァンツ北九州より完全移籍で加入した選手です。本職は、サイドハーフの選手で、北九州では100試合近い試合を経験しました。
 中村選手などが退団してしまっているのが、今期の山形であり、その穴を埋めるという意味合いでJ2経験者の新垣選手を獲得したと言えるのではないでしょうか。

考察

 開幕から第15節までは全ての試合でベンチ外となっており、新天地でクラモフスキー監督のサッカーになかなか適応できていないような印象を受けました。しかし、その後は継続して出場機会を掴みましたが、ここまでに先発機会は1試合のみ、それもボランチでの出場となかなか序列が上がらない状態です。
 現在は、負傷を負っており、負傷離脱中となっています。

評価

評価は『C』としました。
 決して、レギュラー候補としての獲得ではなかったとは思いますが、それでも現在のような稼働率では期待値を下回っていると言えそうです。

⑧河合秀人(←松本山雅FC)

試合スタッツ

・Jリーグ

・天皇杯

獲得理由

そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。

 昨季、J3に降格してしまった松本山雅で主力としてプレーしていた選手で、FC琉球でのプレー経験もあるなどJ2での経験が豊富な選手です。
 得意としているポジションは、センターラインの攻撃的なポジションですが、サイドハーフやボランチでのプレーも可能な選手でスピードなどというよりはボールを落ち着かせることができる選手です。
 山形のクラモフスキーサッカーにも適応できる選手と考えられ、層が薄くなっていた中盤に準レギュラー候補としての獲得と言えるでしょう。

考察

 開幕当初は、途中出場により多くの試合に出場していました。が、5月から7月にかけては、ほとんどの試合でスタメン出場を果たしましたが、最近はまたベンチスタートが増えています
 しかしながら、「準主力」としては十分な働きで、ほとんどの試合に出場はしています。

評価

評価は『B』としました。
 獲得当初に想定された起用割合や起用法は果たしていると考えられ、評価は『B』としました。

⑨山田康太(←横浜Fマリノス)

試合スタッツ

・Jリーグ

・天皇杯

獲得理由

そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。

 昨季も、期限付き移籍でモンテディオ山形でプレーしており、クラモフスキーサッカーの中心選手として活躍していました。横浜Fマリノスの下部組織出身の「ハマのプリンス」は、今季より完全移籍となりました。
 今季からも、継続して山形の攻撃の軸となることが期待されています。

考察

 開幕から、当たり前ですが序列が高く、多くの試合でスタメン出場しています。しかしながら、昨季と比べると得点数・アシスト数が少なくなっており、目に見える結果がもう少し欲しいところです。
 また、これまでと比べるとフル出場の機会が少なくなっており、依然として序列は高いですが、昨季ほど絶対的な存在とは言えないでしょう。

評価

評価は『B』としました。
 昨季と同程度の活躍を見せていれば、評価は『A』もしくは『S』であったとは思いますが、現状は少し昨季よりも成績を落としておりこのようにしました。

⑩荒川永遠(←興国高校)

試合スタッツ

・Jリーグ

・天皇杯

獲得理由

そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。

 興国高校から加入した荒川選手は、168cmという小柄な選手でありながら、古橋選手にならぶボディバランスを記録している選手で、大器の片鱗と言えます。
 身長・体重を見ても、プロのレベルで通用するレベルとは言えず、未来の主力候補としての獲得でしょう。

考察

 高卒の選手ということもあり、なかなか試合に絡むことはできませんでしたが、それでも時たまベンチ入りをし、これまでにリーグ戦1試合、天皇杯1試合に出場しています。

評価

評価は『B』としました。
 ここまでの試合への絡み方は決して満足のいくものではありませんが、高卒ルーキーで未来への投資という観点に立つと、決して期待値を下回っているとは言えなさそうです。

⑪横山塁(←東洋大学)

試合スタッツ

・Jリーグ

・天皇杯

獲得理由

そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。

 J下部の強豪、FC東京U18より東洋大学に進み、今季よりモンテディオ山形へ加入しました。
 一瞬のスピードにも定評のあるサイドアタッカーで、主戦場は右サイドハーフです。クラモフスキー監督のサッカーにも適応できるように、頭を使ったプレーもできる選手であり、一年目から積極的に試合に絡むことが期待されているでしょう。

考察

 開幕節からスタメン出場するなどいきなりポジションを奪ったかのようにも思えました。第7節までは、5試合に出場(うち、4試合は先発)するなどしっかりチームの序列が上がっていましたが、攻撃的な選手としてなかなか得点やアシストといった結果を出すことができず、その後はほとんどの試合でベンチ外となっています。
 最近は、負傷も負ってしまい、負傷離脱となっています。

評価

評価は『C』としました。
 開幕当初の活躍は、期待値を大きく上回っているという印象でしたが、その後は序列が低下し、負傷離脱も相まってまったく試合に絡むことができておらず、現状は期待値を少し下回っているとも言えそうです。

⑫藤本佳希(←愛媛FC)

試合スタッツ

・Jリーグ

・天皇杯

獲得理由

そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。

 昨季は、J3に降格してしまった愛媛FCでプレーしており、愛媛FCでは104試合22ゴールを記録しており、ヴィニシウス・アラウージョというスペシャルな選手が退団してしまったモンテディオ山形において、点取屋の獲得は急務でした。一方、ヴィニシウス・アラウージョ選手の成果を一人で出すのは至難の業であるのも事実です。

考察

 開幕当初より新しいストライカーとしてスタメンに抜擢されると、得点力不足にあえぐチームの中で15節までに7得点を記録するなど非常によいパフォーマンスを見せていました。
 一方、その後は負傷離脱を負ってしまい今シーズン絶望となっており、藤本選手の2022シーズンは終了しています。

評価

評価は『C』としました。
 正直、この評価に関しては非常に悩みました。しかしながら、一瞬の輝きよりも継続した輝きの方が価値があると考え、このようにしました。

⑬デラトーレ(←アトレチコ・ゴイアニエンセ)

試合スタッツ

・Jリーグ

・天皇杯

獲得理由

そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。

 昨季は、ブラジル一部リーグに所属している、アトレチコ・ゴイアニエンセに所属しており、ブラジル1部リーグ、セリエAでも60試合を超える実戦経験がある選手です。
 藤本選手同様、退団したヴィニシウス・アラウージョ選手の穴を埋めることが期待されていると言えるでしょう。

考察

 開幕当初は、多少合流が遅れてしまいベンチ外が続いたものの、その後はスタメン出場の機会は少ないものの、それでも多くの試合で途中出場をしており、スーパーサブのような立ち位置を確立しています。
 得点数も9得点と結果を出していますが、スタメン出場をした試合での得点が少ないのは気になるところです。

評価

評価は『B』としました。
 スタメンでのエースという働きができていないというのはマイナス材料であるとは思いますが、それでもスーパーサブとして出場した試合では結果を残しており、二桁得点も固いと言えそうです。

全体評価

それでは、全選手の評価を振り返っていきましょう。

後藤雅明 A
大友竜輔 B
川井歩 A
坂本稀吏也 B
チアゴ・アウベス C
小西雄大 A
新垣貴之 C
河合秀人 B
山田康太 B
荒川永遠 B
横山塁 C
藤本佳希 C
デラトーレ B

以上のことを踏まえた総合評価は以下のとおりです。

全体評価は「B」としました。
 今年の山形の特徴は怪我人が多いということです。藤本選手や横山選手など加入当初は非常に良いパフォーマンスを見せていた選手が相次いで負傷離脱している現状を考えると、やむを得ないとはいえ、『A』評価以上は難しいと思います。

最後に

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