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創作、エッセイ、思考

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自作した小説、エッセイ、詩っぽい何かをまとめています。引用文は架空の作者と本です。
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記事一覧

砂漠の夢を見た。白い砂漠。
生きているものは何もない。暑くもない。ひたすら砂だけが続いている。
砂をすくい上げると、それは届かなかった言葉たちだった。
ぼくは自分の言葉の砂漠に立っている。
ここは己の孤独そのものだ。
静寂が叫んでいる。

小鳥遊ひよの
7か月前
4

道具にされた子どもの話

以前、母に訊ねたことがある。 「なんでぼくを産んだの?」 「なんでって、できたから産んだ…

小鳥遊ひよの
7か月前
6

日日是好日

地域活動支援センターのスタッフさんたちとのお別れの日でした。 出会って半年。あっという間…

小鳥遊ひよの
8か月前
6

春にして君たちを離れ

春は出会いと別れの季節だと言うけれど、別れが多すぎない?! バランス取れてないよ?! 『…

小鳥遊ひよの
8か月前
12

悲しいと伝えることの必要性

その人に悪気がなくても、何気ない一言に傷つくことってありませんか? ぼくはそういう一言に…

小鳥遊ひよの
8か月前
14

正論を言えば相手には必ず勝てる。でも、人間は負け続ける生き物だろう? 負けて、負けて、それでも粘り強く生きていくのが人生じゃないか。どうせ負けるのなら、カッコよく負けようぜ。正論じゃなくて、きみのそんな話が聴きたいんだ。

小鳥遊ひよの
8か月前
5

その人は「滝」

その人は話す時に、目線を外さない。 私の瞳の奥にある、言葉にならないものを見ようとする。 「目は口程に物を言う」が、 「目は耳程に物を聴く」のだと、理解した。 私はその瞬間、その人の中に森の奥で飛沫を上げる滝を見た。 力強い流れをまといながらも、滝つぼではじけ飛ぶ水滴は爽やかだ。 決して触れることは叶わない大自然の奇跡。 でも、その水の軌跡を眺めているだけで、私の心にあった汚れは下流へと流されていく。肺に吸い込んだ空気が、心を透明にする。 ここは、安全な居場所だった。 その

「いいかい、きみはもっと自由に人を憎んだりすればいいのさ。感情を抑え込んで無かったことにしようとするから、そいつは呪いになる。呪いになった感情は、もう一人では処理できない代物だ。祓うには他人の力が要る。もっとも尊く、何よりも遠い感情。ぼくを祓うには、誰かの愛が必要ってことさ」

小鳥遊ひよの
8か月前
5

それは自己責任だったのでしょうか?

「自己責任」 1 自分の行動の責任は自分にあること。「投資は—で行うのが原則だ」 2 自己の…

小鳥遊ひよの
9か月前
10

充電コードと人間関係は絡まるものよ。

小鳥遊ひよの
9か月前
4

「私だって愛されたいって思うよ。ただ、それを愛という形で受け取れるかどうかわからない。相手の感情が強いほど、それは恐怖へと変わってしまうから。どうして無価値な私に執着するの?期待に応えられない罪悪感と、期待に応えようとする自己犠牲に支配されてしまう。愛されたくて、愛されたくない」

小鳥遊ひよの
9か月前
7

「ビルの屋上へ行ったら、私は死んでしまうのか試してみたいのです。私の幸せから奪われた一本の鍵によって、屋上への扉は開けられてしまった。幸せは酸化して辛さへと錆びている。人はビルから墜ちて死ぬのではありません。求める幸せと現実の辛さの落差によって死ぬのです」

小鳥遊ひよの
9か月前
7

「あの人は絵に描いた餅のようなやさしい人ですね」
「それ褒めてないから。嘘吐きってこと?」
「餅だけに嘘もつき立て、つき放題ってやつです」
「あなたの性格の方が餅より粘りがあるわね」
「そこはお気餅表明ってことで」

小鳥遊ひよの
9か月前
4

『孤独な荷物の謎』

「お届け物です」 私はアパートの玄関へ出ると、そこには誰もいなかった。外を眺めても去っていく人影すらない。空耳か? よく見ると足元に荷物らしき段ボールが置かれている。送り状はない。黒いマジックで『7』と殴り書きがしてあった。7とは何だろう? そんなことを哲学する日が来るとは思わなかった。7が孤独な数字だというのは、森博嗣先生の『すべてがFになる』で得た知識だ。その孤独な番号が割り振られた段ボールの中身は何だろうか。 アパートで独り暮らし。バイトでどうにか食いつないでいる孤独