モミの木 (心の感想文)
クリスマスの時期になると読みたくなるお話。
アンデルセンの
「モミの木」
はじめて読んだ時は、とても複雑な気持ちになったのを覚えています。
でも、何度も読んでると、ふっと湧く気持ちがあって。
外の世界を夢見ることは、本当は素敵なことだし、外の世界を知らない若いからこそできることでもある。
そして、自分の心に従い、実際に夢を叶えた瞬間の輝きは、なにものにもかえがたく、そして確かにあった。
その素敵な世界が、きっと続くと信じている最高潮の時に、えっ?と思う違う景色が現れる。
この年になって思うのは、人生は変化していくし
ものごとも、変化していくということ。
その中で、一瞬の永遠を生きるしかない。
ずっと、じっと、安心でぬくぬくした幸せな空気のなかで生きていけたらいいけれど、
人生って結構、こういうことなのではないかと思う。
別れを知らない人はいないし、
大切な人やものができれば
必ず、それがなくなった時は、哀しみが生まれる。
大切なことと、哀しみは、となりあわせ。
だからと言って、大切なものに出会わなければ良かった?と思う?
そんなことは決してないですよね。
大切なものに出会った事実は
誰にも奪えない。自分が手放さない限り。
その時々の気持ちに従い、夢を見て動くことは、その時々をちゃんと生きたということにもなるんじゃないかな。
あとで、えっ、こんなストーリーは想像してなかったよ〜と思う未来に遭遇しても。
「なんで、僕はその時その時の喜びを感じてこなかったんだろう」と、モミの木は最後言うけれど。
君は十分やったよと、私は言いたい。
きっと、人も同じ。
そして、こんな未来なら、もうちょっと考えたのになと思ったとしても、きっと、タイムマシーンに乗って過去に戻っても、やっぱり同じように生きるのかもしれない。