コロナ禍の救世主「想像力」
空想癖
小さい頃から空想癖がある。
本を読むのが好きだったので、没頭するあまり現実世界と本の世界の区別がつかなくなって、しょっちゅう空想していた。
小学生の時に好きだったのが、佐藤さとるさんのコロボックル物語シリーズ。コロボックルが本当にいるんじゃないかと、学校の帰り道に探したこともある。
歳を重ねるごとに読書量は減っていったけれど、培われた空想癖だけは生き残り、退屈な授業ではシャーペンの上をコビトが走り、不毛な会議中には上司の頭の上にコビトが座っていたりした。
そして今、自分の子供達と空想の話をするのが楽しくてたまらない。
特に息子は私の空想癖の血を引き継いだのか、いつも私の想像力を遥かに超えた話を聞かせてくれる。ファンタジー的なものもあれば、やや現実的な空想も。ちなみに昨晩、寝る前に息子と2人で盛り上がった会話のテーマは、ママの大好物であるいくらと合う食べ物は何か。丼や寿司だけじゃないはずだ。いくらカレー、いくら餃子、いくらケーキ、いくらドーナツなんてどうだろう?白熱した議論の中、なんかお腹空いてきたねーと言いながら、息子は眠りに落ちた。
コロナ禍を救った想像する力
旦那が渡航して日本でワンオペ育児をしている間、前回の記事であまり大変じゃなかったと書いた後で思い出した苦労がある。それは移動手段を失ったことで、子供をあちこち連れて行けなくなったこと。
私がペーパードライバーだったので、旦那の渡航と同時に自家用車を手放した。結果、私たち家族の移動手段は徒歩、公共交通機関、自転車の3択。週末は近所の公園に連れて行くのが精一杯。蜜を避け自然と触れ合えるような場所に子供を連れて出かけている友人たちが本当にうらやましかった。そもそもコロナ禍であまり出かけられなかったというのは本当に好都合で、コロナじゃなかったらもっと不自由を感じていただろう。
もっといろんなところに出かけて、子供達にいろんな体験をさせてあげたい、と申し訳ない気持ちを抱えつつ、でも心のどこかできっと大丈夫という自信もあった。
それは、子供達の想像する力を信じていたこと、
そして私自身がその想像する力で不自由を乗り越えた過去があったからだ。
幼少期、私の家庭は裕福ではなく、小学校高学年に上がるまでは自家用車すらなかった。家族で旅行に行ったことは皆無。週末も父親が不在なので(パチンコするか寝てるか)、母親と近所の公園で遊ぶか、家で遊ぶか。
それでも私は出かけられないことが不自由だと感じたことがなかった。
それは、空想癖があったから。
母方の祖父が読書好きで、年に一度の帰省の際にいつも本を買ってくれた。その本の中で私は、いろんな国に行き、いろんなものと触れ合い、いろんな体験をして、小さなコビトとも遊んだ。これが最高に楽しかった。海に行ったことはなかったけれど、海の音や砂浜を歩く時の足裏の感触は想像できたし、畑に行ったことはなかったけれど、土の匂い、風の匂いは想像ができた。
テレビも大好きで、特に制限されることなくあれこれ見ていたので、そのおかげで、日本のいろんなところに旅をした気分にもなった。ちなみに私が初めて新幹線に乗ったのは高校の修学旅行、初めて飛行機に乗ったのは就職活動。改札をうまく通れずビビーっとなって焦ったこと以外、幼少期どこにも出かけれなかったことがこれまで足枷になったことはない。
子供の想像する力を信じる
ワンオペ育児で私が外に連れ出せない間、子供達は家の中でぬいぐるみを総動員してごっこ遊びをよくしていた。「どここかに連れてってよ〜!」と言われるのではとビクビクしていたけれど、結果一度も言われなかった。
そして、渡航後の2週間の隔離措置。持参したおもちゃも少なく、部屋から一歩も外に出られないという劣悪環境、今度こそ「退屈だよ〜!」と言われるのではと怯えていたけれど、これまた一度も言われなかった。むしろ2週間、彼らは部屋の中で汗だくで遊び倒していた。
どこかに連れて行ってあげなくては、何か新しい体験させてあげなくては。
そう思っていたのは私だけで、子供達は何もない環境も楽しむ力を持っていた。
そして現在、渡航後のタイはほぼロックダウン。相変わらずどこにも行けないし、学校も幼稚園にも行けない。「小学校ごっこ」や「幼稚園ごっこ」をしている子供達を見るとちょっと切なく泣きたくなるのだけれど、子供達の想像力と学校や幼稚園の再開を信じて見守っている。
想像力は未来だ
これは『映画ドラえもん のび太の月面探査機』でのドラえもんのセリフ。月にはウサギがいると信じるのび太を、ジャイアンたちが馬鹿にするところから始まるこの映画。劇中でドラえもんが叫ぶこのセリフが大好きで、子供と一緒に何度も観たけれど、コロナ禍の今、改めて名言だなと感じている。
想像力は未来だ!人への思いやりだ!
それを諦めた時に破壊が生まれるんだ!
浮かぶ空想から未来が生まれるとお源さんも歌っている通り、大人の自分達も、想像することの力を、信じてみたいと思う。
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